ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
http://kisenren.com
一般社団法人北洋開発協会

大統領諮問者ボリス・チトフ 投資目的の漁獲割当の第2弾実施の一時停止を求める

2022-03-17 05:23:52 | 日記

 

2022年03月17日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[大統領諮問者ボリス・チトフ 投資目的の漁獲割当の第2弾実施の一時停止を求める]

実業家、起業家の権利保護のための大統領諮問者*ボリス・チトフ(Борис Титов)は、ムルマンスク地方の漁業者を対象とした投資目的の漁獲割当の第2弾実施の一時停止を求める書簡を副首相ヴィクトリア・アブラムチェンコ(Виктория Абрамченко)に送付した。

投資目的の漁獲割当の第1弾における漁船建造プロジェクトの遅れ、ウクライナの状況にかかる制裁措置による舶用工業製品の調達リスク等を理由として指摘している。

ロシア農業省は、新たな漁獲割当として、“投資クオータ”第2弾、カニ漁獲割当オークション第2弾、そして投資目的の市場価値の高い魚種のオークションを設定する準備を進めている。

農業省案では、“投資クオータ”の第2弾では、スケトウダラ、ニシンのTACの20%以内で、漁船建造と水産加工場建設にそれぞれ10%ずつ、利用目的に応じ漁獲割当が配分される。

また、漁船建造義務が伴うカニの漁獲割当オークション第2弾として、TACの更に50%部分が対象となり、第1弾の50%を合わせると、対象資源のTACの計100%がオークションで配分されることとなっている。

しかし投資目的の漁獲割当の第2弾の設定論議の前に、第1弾のプロジェクトにさえ、支援が必要な現状となっていることが指摘されている。

現在、“投資クオータ”を利用した漁船建造契約は64件締結されているが、このうち6隻のみが船主に引き渡されている。

さらに、カニ漁獲割当オークションについては、落札者の41隻の内、義務付けされた漁船建造の竣工はわずか2隻となっている。

これらのことから、要請を受けたアブラムチェンコ自身も、“投資クオータ”の利用者とカニ漁獲割当オークションの落札者に義務付けされている漁船建造プロジェクトを期限内に実行できなかった場合の罰則の発動を2年間猶予することを先に提言していた。

*ボリス・チトフ(Борис Титов)

1960年12月24日生まれ  モスクワ国際関係大学 国際経済学部卒 起業家・政治家(*成長党党首)

原料分野の優位性を拒否したより進歩的な経済政策。

民間セクターのイニシアチブ、経済的自由と経済改革に基づく競争市場の発展を奨励。

中小企業の近代的な生産、デジタル経済の発展に向けた強いインセンティブが必要だと考えているとされる。

*成長党( Партия Роста)

成長党は、2008年、右派勢力同盟、市民勢力、ロシア民主党の三党が合流して“右派活動”(Пра́вое де́ло)として創設された。

“右派活動”は、結党にあたり、民主主義と人権の尊重、自由主義経済を主張する自由民主主義政党であると自己規定している。

しかし、その一方で右派活動の結成はプーチン、メドヴェージェフ率いるロシア連邦政府側の自由主義政党の分断、官製野党への政治工作であるという観測もあり、内外のメディアからはロシアから健全な野党が無くなるのではないかという懸念を呼び起こしているとの指摘もある。

(ボリス・チトフによる制裁措置による影響調査結果の公表)

“AFPBB News”によるとチトフは、2022年3月14日、自らが役員を務める経済研究所が、中小企業約6000社を対象に実施した調査で、西側諸国の制裁の影響があるとの回答が84%超に上ったと結果を公表している。

同経済研究所は、ロシアによるウクライナ侵攻前の2月14日-18日と、侵攻後の3月3日-7日の2回に分けて調査を実施、侵攻前では、既存の制裁の影響を受けているとの回答は26%だったとしている。

チトフは、新たな制裁に伴う最大の問題が仕入価格の上昇であり、ロシア企業はコスト増に直面し、競争力が大幅に低下する可能性があると指摘したと伝えられた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする