会場変更についても
ずいぶんと悩み、検討を重ねました。
50年近く運動会の開催実績があり、
保護者皆様も我々教職員も
「青空の下の運動会」をイメージしてきており、
屋内開催への変更については多少にかかわらず
抵抗感を覚える方もいらっしゃると思います。
かくいう私も、その一人でした。
一方で、
保護者の方より長年頂いていたご意見の一つに、
「雨天による運動会の日程延期による負担が大きい」
という点がございました。
中でも前日・当日の変更決定によるお仕事等への影響を
できるだけ回避する重要性は、
共働き世帯の増加等により年々高まっておりました。
また、会場変更を加えるにあたっては
子どもたちの将来を見据えたなにかしらの観点により
判断したいということもありました。
例えば、
そもそも「屋外開催」「屋内開催」の違いについて考えるなど、
別の視点から運動会という活動を再考してみたいと思い、
運動・スポーツ関連の資料も読み続けておりました。
出典元を失念してしまいましたが、
あるアスリートのインタビュー記事に
「トップ選手と呼ばれる人たちが
砂の上で競技を行うスポーツはほとんどありません。」
という言葉が載っていました。
この言葉はかなり新鮮で、
当時私は、部屋の天井を眺めながら
様々なスポーツを思い浮かべてみたのですが、
確かにほとんどありません。
日本ではいくつか残っている
「内野(ないや)は土」というプロ野球の球場は在りますが、
それですら
本場MLBでは内野が土というボールパークはほぼ皆無です。
日本の場合には戦後の学事予算等の都合で
土の校庭が一般的ですが、
運動・スポーツを通じた福祉が先行している欧米を見渡せば、
土の校庭を見かけたことがありません。
緯度が高い地域では体育館をはじめとした屋内運動環境が
1980年代から90年代にかけて既に高度に発達し、
子どものうちから様々な運動・スポーツが
屋内で行われるようになっていました。
つまり、アリーナ(体育館)は運動用に設計された
様々な種類の運動に適しているという事実があり、
運動に適しているかどうかという観点で見れば、
屋外も屋内も
同等に適している環境であることがわかります。
文責 中矢謙一郎