給食に使用するモヤシの調達が困難となったため、使用食材を変更します、と福岡市教委が26日、市立小学校の児童の保護者宛てにこんな文書を出した。理由はモヤシを納入していた市内業者の突然の廃業にあった。
モヤシを巡っては、生産業者の廃業が後を絶たない。全国の生産者で作る「工業組合もやし生産者協会」(東京)によると、1995年に全国で550社以上あったモヤシ生産者は現在、2割以下の95社に減った。
多くが経営難による廃業という。モヤシの原料として中国から輸入する緑豆の価格が20年前から4倍以上に高騰している一方、スーパーでの安売り競争が激化して利益が上がらないことが背景にあるという。
デフレ経済の中でモヤシは安売りの目玉商品にされてきた。1袋(200グラム)の小売価格が1桁円の時期もあり、協会は文書を出すなど繰り返し窮状を訴えてきた。
2024年7月時点での小売価格は地域によって20~60円台まで上がってはいるが、原材料費や光熱費の上昇が続く中、利益が上がりにくい構造は変わらないという。
物価高の中、モヤシの安さは消費者に魅力的だが、年間を通じて安定供給できるモヤシは客にとっては安くて当たり前で単価が100円以上では買ってもらえない。スーパーが客寄せのため利用した結果、生産者にしわ寄せが行き、さらには学校給食にまで迷惑をかけてしまった。
確かにスーパーに行くと、モヤシの種類が増えてはきているものの、一番廉価のもので40円止まりで、これが売れ筋で山積みになっている。ついで、60円台、70円台くらいのもやしが売られている。
料理番組を見ていると、物価高騰のおり、廉価で栄養豊富なもやしは、お料理のかさましの優等生なんです、とよく説明している。20~30円台で売られているもやしは、生産者にはどれくらいの利益があるのかと思っている。どのようなものにも適正価格があるだろうとも思う。
コロナ以降、円安も相まって次から次へと、今まで当たり前で普通だったものの問題が明らかになってきている。