第6問 学習距離規制事件について (keita)
2011-11-10 16:19:42
木村先生,こんにちは。
大学院の仲間と「憲法の急所」を使用して,答案を書き,互いに添削しあうというゼミをやっています。
今回は,そのゼミの中で議論になった点について,先生にお聞きしたいと思います。
第6問の学習距離規制事件に関する質問です。
急所では,第6問の原告の主張において,「憲法22条1項によって,職業選択の自由のみならず,選択した職業を継続する自由を保障している」(P.223)とし,本件条例・本件不許可処分がX社の憲法上の営業の自由を制約している,とあります。
ここで,疑問に思ったのが,本件において原告側から,「営業の自由」について検討する必要があるのか?という点です。
原告からすると,本件規制は,許可制による職業選択自体の規制であることを主張するだけでよく,わざわざ営業の自由の規制と言うことを主張しなくてもよいのではないか,という意見がゼミの中で出ました。
本件規制は,塾を開設した「後」の規制ではなく,そもそも塾を開設する「前」の規制であることから,営業の自由を主張する意味がよく分からないのです。
論証例(P.242 Q6 3行目)を見ても,「許可制による職業選択自体の規制であり」といっていることから,端的に職業選択の自由だけを主張すればよいのではないのでしょうか?
むしろ,被告の方から,「そもそも,Xは,既に全国規模で学習塾を経営しているのだから,塾の経営という職業選択は認められている。本件規制は,Xにとっては,新たな
塾の開設という事業の拡大が規制されるという点で,職業活動が制限されているというものである。だから,違憲審査基準も厳しいものとする必要はない。」というような反
論として,主張されるものではないか,という意見がゼミで議論となりました。
本件において,原告が「営業の自由」について主張する理由又はメリットがあるのか,先生の考え方を聞かせて頂きたく,コメントをさせていただきました。
>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-10 16:35:12
こんにちは。なるほど。
ええとですね、最近の学説は、
職業選択の自由と営業の自由を概念として区別しなくなってきてるんです。
だって、選んでも遂行できないなら
選ぶ自由を保障してることにならないでしょ。
ということで、営業の自由と独立に
職業選択の自由という概念を立てる必要はなく
22条1項は、営業の自由保障規定と位置付ければいい
と考えられてきているのですね。
ただ、クラシックな学説では両者を分けるので、
職業選択の自由と書いてももちろんOKだと思います。
というわけで、それほど深い意味はないのですが、
どうでしょうか。
Unknown (keita)
2011-11-10 17:42:22
お忙しい中での返信,ありがとうございます!
職業選択の自由と営業の自由の概念が区別されなくなってきていることについては,知りませんでした。
その視点からもう一度急所をみて,ようやくスッキリしました。ありがとうございました。
>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-12 12:03:27
スッキリして頂いて、何よりです
2011-11-10 16:19:42
木村先生,こんにちは。
大学院の仲間と「憲法の急所」を使用して,答案を書き,互いに添削しあうというゼミをやっています。
今回は,そのゼミの中で議論になった点について,先生にお聞きしたいと思います。
第6問の学習距離規制事件に関する質問です。
急所では,第6問の原告の主張において,「憲法22条1項によって,職業選択の自由のみならず,選択した職業を継続する自由を保障している」(P.223)とし,本件条例・本件不許可処分がX社の憲法上の営業の自由を制約している,とあります。
ここで,疑問に思ったのが,本件において原告側から,「営業の自由」について検討する必要があるのか?という点です。
原告からすると,本件規制は,許可制による職業選択自体の規制であることを主張するだけでよく,わざわざ営業の自由の規制と言うことを主張しなくてもよいのではないか,という意見がゼミの中で出ました。
本件規制は,塾を開設した「後」の規制ではなく,そもそも塾を開設する「前」の規制であることから,営業の自由を主張する意味がよく分からないのです。
論証例(P.242 Q6 3行目)を見ても,「許可制による職業選択自体の規制であり」といっていることから,端的に職業選択の自由だけを主張すればよいのではないのでしょうか?
むしろ,被告の方から,「そもそも,Xは,既に全国規模で学習塾を経営しているのだから,塾の経営という職業選択は認められている。本件規制は,Xにとっては,新たな
塾の開設という事業の拡大が規制されるという点で,職業活動が制限されているというものである。だから,違憲審査基準も厳しいものとする必要はない。」というような反
論として,主張されるものではないか,という意見がゼミで議論となりました。
本件において,原告が「営業の自由」について主張する理由又はメリットがあるのか,先生の考え方を聞かせて頂きたく,コメントをさせていただきました。
>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-10 16:35:12
こんにちは。なるほど。
ええとですね、最近の学説は、
職業選択の自由と営業の自由を概念として区別しなくなってきてるんです。
だって、選んでも遂行できないなら
選ぶ自由を保障してることにならないでしょ。
ということで、営業の自由と独立に
職業選択の自由という概念を立てる必要はなく
22条1項は、営業の自由保障規定と位置付ければいい
と考えられてきているのですね。
ただ、クラシックな学説では両者を分けるので、
職業選択の自由と書いてももちろんOKだと思います。
というわけで、それほど深い意味はないのですが、
どうでしょうか。
Unknown (keita)
2011-11-10 17:42:22
お忙しい中での返信,ありがとうございます!
職業選択の自由と営業の自由の概念が区別されなくなってきていることについては,知りませんでした。
その視点からもう一度急所をみて,ようやくスッキリしました。ありがとうございました。
>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-12 12:03:27
スッキリして頂いて、何よりです