木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

メイキングオブキヨミズ(6) 法学入門・・・ハードルが高い・・・

2012-12-13 09:54:01 | 作品情報 キヨミズ准教授
ご無沙汰しております。
教師という仕事をやっておりますが、今年は、いろいろと忙しく、
「師走」という言葉の由来が今一つ納得できない今日この頃。

おかげさまで『キヨミズ准教授の法学入門』みなさまに
ご愛読いただきまして、
多くの方にブログやツイッターなどでコメントをいただいております。

『憲法の急所』の頃から目を付けてくださっている皆様の
ブログでも、コメントをいただきました。

『憲法の急所』や「憲法学再入門」についても
いつも暖かいコメントを寄せてくださる
Rockで怠惰な1日さま、どうもありがとうございます。

私も、キタムラ君や岩渕さんのその後が気になっております。


『アニメキャラが行列を作る法律相談所』でおなじみの
ronnor様
誤植や誤りのご指摘ありがとうございます。

文献案内まで含め、
わたくしが、法学通の皆様に発信した「裏のメッセージ」を
すべて読み取ってくださっております。


また、岡山大学の井藤先生は、
法科大学院生の皆様におすすめしてくださり、
まことにありがとうございます。

確かに、あの本に書いたようなことは、
司法試験受験生にとっての基礎体力のようなものかと思い、
意外とああいうことを見落としていて、
点が伸びないということ、あるやもしれません。


まことにありがとうございました。

******************

さて、メイキングオブキヨミズ。
そんなわけで、私は、「法学の考え方」についての
依頼をいただいたわけであるが、
この依頼がなかなか曲者である。

柿内さんと平林さんのオファーは、
私の専攻する憲法学の入門書、ということではなく、
「法学」の入門書、「法的思考とは何か?」を論じる本
ということであった。

全国の大学で「法学入門」というタイトルで教えられている
内容である。

この法学入門であるが、上に紹介したronnor様のブログでも
書かれているように、
ただでさえ抽象的な法学を、さらに抽象化して
一般論・原論を教えるわけで、
数学基礎論もびっくりの難解で抽象的な講義になることが多い。

その内容も、法源と法命題、法段階説における命令の位置づけ、
根本規範の存在形式、解釈の類型論といった、
法学者や法律実務家でも、普段あまり考えないような項目が並ぶ。

法学入門を教える大家が、あまりの退屈さに
休講を決意し、喫茶店に入ったところ、
講義のあまりの退屈さに欠席を決意した受講生とあって
師弟の心の交流を行ったという話はあまりにも有名である。
       (長尾龍一『法哲学入門』参照)

というわけで、これを淡々と描いても
恐らく星海社様の経営に悪影響を与えるだけに終わるのではなかろうか、
という不安がよぎった。

しかし他方で、「法学入門」のハードルの高さを知らない
柿内さん、平林さん(お二人とも法学部出身ではない)は、
きっと面白い話になるだろうと、気楽にニコニコしている。

どんな本を書いたもんか・・・。
こうして、私は、しばし長考に沈むことになった。

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2 コメント

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はじめまして (高校生1)
2012-12-30 22:07:12
木村先生、はじめまして。兄から勧められて先生の新書を読んだ高校生です。今まで法学ナビゲーションしか法律の先生が書いた本を読んだことがなかったのですが、とても面白かったです。ところで、僕は法学部に興味がある一方、役人という仕事に興味もあるので行政学というものも気になっているのですが、先生の本では説明がありませんでした。行政学というのはどんな学問なのか、教えていただければ嬉しいです。同様に、経営学なども説明がなかったように思いますが、政治学、経済学、社会学、法学の四つだけを取り上げた理由も教えて欲しいです。
先生の過去の記事を読んで、シューベルトの後期ソナタの記事が気になりました。後期ソナタ、僕大好きなのです。お忙しいと思いますが、続きが読めると嬉しいです。
あれこれたくさん書いてしまいましたが、先生の新書を読んで、僕の中で堅いイメージだった法学が、少し血の通った、温度のあるものをして認識されるようになりました。もちろん、法学原論とかはすごい堅いものなのでしょうが。いい本に出会えて嬉しかったです。ありがとうございました。
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>高校生1さま (kimkimlr)
2012-12-31 12:16:20
こんにちは。
シューベルトの記事、書こうと思って結局かけずにここまでひっぱってしまいました。
ありがとうございます。いいですよね。後期ソナタ。

さて、行政学と経営学ですが、
まず、行政学は、政治学の一分野ということになり、
政治学科や政治学部で教えられることが多いです。

統治の大きな方向性を決める部分が政治、
大きな方向性を決めたあと、それを
実施する過程が行政です。

たとえば、そもそもオリンピックを招致するかどうか
を決めるのが狭い意味での政治、
オリンピックを招致するとして、
どうやってアピールしたり、競技場を建てるのか
を決めるのが、行政ですね。

行政も広い意味での政治に含まれるのですが、
政治学の細分類になると、別れてゆくという感じです。

他方、経営学は、経済学の一分野で
経済学部の中に経済コースと経営コースがあったりする
大学も多いですね。東大はたしか
そういう風に分かれていた気がします。

一方、経済学部と別に、商学部や経営学部を
おく大学も多いですね。

経済学は、抽象思考で、経済現象を扱いますが、
経営学というのは、
商取引や経営組織運営のノウハウを具体的に教える
という感じで、
学問というより、専門学校での実践知の伝達のような色彩が強くなります。

というわけで、行政学や経営学は政治学や経済学に含まれるので、
イントロダクションの本としては、あのような感じになった
ということです。

高校生の方に読んで頂けて、とてもうれしいです。
良い本に出会えたといってくださって、感無量でございます。
また遊びに来てくださいね。

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