私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

「ゆがんだ関係を正す力」が今の世界には在るのか。

2017年02月21日 | 民主主義社会の崩壊

 

岐阜県谷汲 華厳寺谷汲踊り

半年ほど前に哲学者内山節は「日本の古代には怨霊があった。謀略などによって無実の罪を着せられて死んだ人の霊が、怨霊となって祟ると考えられた。

その怨霊は、関係のゆがみが生み出したもので、ゆがんだ関係の中で死を迎えたために成仏できず、怨霊になったと考えられる。」と述べています。

内山節は、企業や労働の非正規雇用関係の中でデーター偽造や粉飾決算が起きる背景の中に怨霊を見ています。

内山節は日本の伝統的な道徳観や倫理観を見ていますが、自由貿易に背を向けるアメリカのトランプ大統領、イギリスのメイ首相にはグローバル化した世界経済に背を向けて、一人勝ちを目論んでいます。

米英は、近代化以降、経済や科学技術が飛躍的に成長して便利さや多くの物を消費する生活を手に入れて来ました。自由や平等、民主主義が機能する社会を理想として世界に君臨して来ました。

ところが、自由も平等も民主主義も社会の欠陥が目立つようになると、世代間の意識のずれ、富と教育の格差、近隣住民、家族の崩壊により何れも機能しなくなり、政治制度・選挙制度によっても理想的な社会は築けなきなりました。

この構造は、若い世代にある種の絶望感を広げています。

日米間のトランプ・あべ会談による蜜月は共同会見で言及があったように、地域紛争や難民、貧困、感染症など様々な課題に直面しているとき、双方が「米国第一主義」「TPPから脱退」宣言を修正することはありませんでした。

ゆがんだ関係を作り、保護貿易や移民入国制限で理想社会に背を向けるようでは未来はありません。

富は分かち合うからこそ力になります。独り占めすると争いを招きます。「米国第一」での一人勝ちの発想では、世界の平和に繋がりません。

「米国に富を取り戻す」としてトランプ大統領は政権人事でウォール街の長富裕層を任命しています。

欧米のビジネスマンやIT技術者のようなエリート層は、国境を越えて仕事をしており、資産を増やす過程では税逃れにタックスヘブンのパナマ文書にある通り巨大な富を生んでいます。

グローバル化し富が偏在化した世界経済では、中下層の貧困大衆は自国政府がどうなろうと生活が変わるほど重要でなく、選挙に関心も薄くなって行きます。

この動きが先進国に一般化する時代には、米国は指導者の劣化を招いています。金利上昇、ドル高は一時的なトランプ景気であって、このままでは経済が伸びる見通しはありません。

八方塞がりは米国だけでなく、日本も同様です。

世界経済が地域ごとにブロック化して行くことを見据えて、日本は困難があっても近隣諸国と連携を強めて、一人勝ちを望まず、諸国の国内情勢にも寄り添って共助・協力すべきです。

いまこそ日本は、武力や集団的自衛権の行使でなく、日本の歴史が世界大戦や日ロ、日中、日米戦争の歴史であったことを常に反省の機会と捉え、中国との軍拡競争は止めましょう。

困難があっても憲法9条の規定を世界に高く「平和の旗」を掲げて行きましょう。戦争を起こさせない努力を重ねて行くことが大切です。

蘇生



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