私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

リーダー不在の世界を「Gゼロ」と呼ぶ。グローバル経済危機です。医療物資の供給、人とモノの移動管理は国際連携が必要になって来ました。

2020年04月30日 | 国際協調

 

自宅庭の花壇

新型コロナウイルスの感染拡大は、パンデミックを経て国際社会はどう変化して行くのでしょう。

国際通貨基金(IMF)は14日、最新の世界経済見通しで、2020年の世界全体の成長率を前年比3.0%減として、1月の予測(3.3%)から大幅に引き下げたと伝えられています。

世界の経済成長を引張ってきた米国が5.9%減と急減し、中国は今年80年以降で最低の1.2%増の成長にとどまりました。

欧州の減速も顕著で、イタリアが9.1%減、 スペインが8%減と死者数の多い国が経済的にも大きな打撃に見舞われました。

米国の国力低下と中国の台頭、欧州を始め世界各地での分断が始まりました。

国際政治学者イアン・ブレマー氏は、国際機関のG7もG20も、機能しないリーダー不在の世界を「Gゼロ」と形容しています。

新型コロナウイルスは全くを持って未知のウイルスで、ワクチンの完成には1年半はかかると言われています。

100年前の「スペイン風邪」では3年間に死者が5千万人にも上り、自国内では48万人が亡くなり、患者数は2,400万人に上りました。20世紀最悪のパンデミック(世界的流行)とされています。

「新型コロナウイルス」の感染拡大が、中国武漢市で初めて確認されたのは今年の1月28日です。中国内で人から人への二次感染が分かった初のケースです。

感染確認から僅4カ月で欧米にも感染が急拡大して、世界へ340万人を超す勢いで増加を続けています。

この勢いで増えれば、新型コロナウイルスは3年間で2400万人となり、スペイン風邪を凌駕するでしょう。

国別の感染者の最多は米国で100万人、スペインが23万人、その次には15万人以上のイタリア、フランス、ドイツの欧州国が続きます。

新型コロナウイルスの死者は、感染者全体の7%である21万人を超えました。

ウイリスの脅威を歴史的に見て行くと、16世紀に欧州から新大陸に持込まれた天然痘の大流行も、第1次世界大戦末期のスペイン風邪も、いわば当時のグローバリズムの中で生じたものです。

「グローバリズム」とは、人、モノ、カネの国境を超えた移動を言います。

近年の感染症例SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)も世界に飛び火しました。

今回のような経済市場のグローバル化は、驚くほど拡大が急速で広範囲であることから、世界各国は中国の市場を当てにしました。

世界的な市場競争が中国に企業進出を促し、EU諸国のように、自由と民主主義の理念によって移民を受け入れ、広範囲な人口移動をもたらしました。

そこへ世界的な観光ブームが加わり、人の移動が感染を拡大しまさた。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策には、国家としての対応と個人としての振舞いの二つの側面があります。

イベントや外出の自粛要請があったり、臨時休校で子供たちが教育を受ける管理が奪われたりした場合には、公衆衛生を確保する政治責任の問題があります。

コロナウイリス感染が強い細菌である場合は、その脅威を防ぐ強い国際機関のリーダーがいない時は、現下の医療機関でも対応できず、コロナウイリス感染に人類が負けるしかありません。

新型コロナウイルスの感染脅威がどの程度であるか分からない現状にあるときは、政府においても経験的に確立的に採り得る行動を予測できません。

緊急事態宣言による政府の自粛要請はどの程度、国民に説得可能であるかについて京都大学教授井田高典氏は、自発的に行動できる中間層の6割程度だとします。

「利害が相反する国家と個人とをつなぐのは、他者を思いやる人間性。今の日本では、それが大きく損なわれている。」と話すのは江籐祥平上智大准教授です。

「政治が初期の自粛要請ベースで対策を進めて行くのは、政治においても、経済的損失を補償するコストもかからない一番楽な方法だからです。これは責任を国民に押し付け、結果的に総動員体制と言うべき相互監視システムを作り上げてしまいます。」江藤氏は警告しています。

日本政府の外出の自粛や商業施設などの休業要請は、首相が先に、国民に全国一斉の休校を求めた新型インフルエンザ対策特諸法に基づく措置で、この要請や指示に従わなくても罰則はありませんでした。

外出の自粛や休業は、移動の自由や営業の自由など、憲法が保障する個人の権利を制限するものです。従って、感染拡大防止策を採る上でも、国民の権利の制限は「必要最小限のものでなければなりません。」と明記しています。

しかし、首相が特諸法により専門家の意見を聞く仕組みがあり、憲法上の緊急事態として政府に権限を集中させた場合には、国民の憲法上の権利に基ずく歯止めも設けられなくなる可能性があります。

ゴールデンウイークに入り小中学校に2週間の休校宣言を出した安倍首相は5月4日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の外出・休業を31日まで延長し、対象地域を全都道府県にすると発表しました。

世界では、自由と民主主義国の欧米諸国でも、外出禁止や都市封鎖など「むき出し」の権力行使が目立ち、中国なども独裁体制国と同一視は出来ません。どの国も法秩序が想定していない事態への対処と言う問題に直面しています。

世界経済は2か月前には国際通貨基金(IMF)は3%超のプラス成長を見込んでいました。ニューヨーク株式市場でも、ダウ工業株平均は2月12日、2万9551ドルと史上最高値を更新しました。

世界の中央銀行の金融緩和で資産価格は底上げされ、いつにダウ平均が3万ドルに達するかと話題になっていました。

そのバルブはすぐにはじけて、コロナ感染がニューヨーク経済を凍りつかせてしまい、米株式市場は2月下旬以降つるべ落としの急落が始まり、1ヶ月で2万ドルを割ってしまいました。

直後に起きた米国産WTI原油先物価格が、史上初の「マイナス価格」に陥り、米国はコロナ対策の財政出動には史上最大の計3兆ドル(約320兆円)の資産規模に膨らみました。

今後のコロナは、日米欧など先進国だけでなく、中国も高齢化が進み、コロナ感染の影響が長引き、低成長が常態化します。財政問題の解決は極めて難しくなります。

国民の生命を脅かし、経済に大きな打撃をもたらす新型コロナウイルスへの対応を「戦争」に例える世論も多い。

米国のトランプ大統領は「戦時大統領」と名乗り、中国の習近平主席はこの戦いを「人民戦争」と称し、フランスのマクロン大統領も「我々は戦争状態にある」と述べました。

医療現場では、まさに「戦場」のような過酷な光景が繰り広げられています。

世界で起きているのは、公衆衛生上の緊張事態と、それに伴う経済、社会の危機です。

コロナウイリスを乗り越えるには、生命と暮らしを守るため、国と国に連帯を呼びかけ「緊急事態」には冷静な対応が、「危機」には慎重な情報収集が必要です。

日本経済の最大の問題は供給過剰にあります。空き家が増えているのに、新築住宅を建て続けています。食品や衣服も作りすぎてロスが出ています。

グローバル経済に戻すのではなく、アジア諸国との近隣経済で、無理な経済成長より無駄をなくし、労働時間を減らすべきです。

「自粛」や「出口戦略」と言う名のもとに、国民に我慢を求め続けるのは止めるべきです。

                蘇 生

 

 

 

 

 

 


米国は、新大統領にトランプ氏選出しました。ロシア、英国に続き米国までも保守主義者を指導者としました。世界は協調から戦国時代に入りました。

2016年11月10日 | 国際協調

 

横浜港の夕景

米国は、世界の警察官役から手を引いただけでなく、米新大統領トランプ氏は移民を犯罪者と呼び、強制送還や国境線に壁をつくる。自国産業を守るためTPPから脱退し、日本の防衛のために経費は出さない。日本や韓国の安全保障には核兵器を持てばよいとします。

トランプ氏は、自国を優先して同盟関係にあった他国と利益を奪い合うパワーゲームをすると言っているのです。

米国世論は、開票当日までトランプ氏の当選を予測していませんでした。民主党との接戦が予想された州の多くを共和党が獲得して当選しました。

トランプ氏は、選挙中に白人至上主義の暴言や女性蔑視、移民排除を唱えました。中間層の衰退で貧富の格差拡大により目覚めた中間層は、SNSなどネットを通じて見も知らずの人と意気投合によって、トランプ現象が起きたのです。

グローバル化した世界経済が低迷しているから貧富の格差が拡大するのです。成長がないから経済の収益が一般市民に分配されないのです。中間層が貧困化するのは当然のことです。

米国内陸部でのヒスパニック系及びアジア系移民の増加が白人の安定した生活を揺るがしており、多くの共和党支持者は自分達の利益を移民が奪っていると考えているのです。

現在では世界の国家の多くは、政治状況が流動的になって、刹那的な共感や反発のまま政治的判断をしています。欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の国民投票も同じでした。欧州連合は移民や難民問題を抱えて瓦解の危機にあります。

しかし、英国では欧州連合離脱を選択したのは65歳以上の高齢者でした。トランプ現象は白人層・高学歴集団の投票でした。

「階級断絶社会」の著者チャールズ・マレーは高学歴集団が「見掛け倒しのエリート」と化し、労働者階級は貧困に沈んで「結婚、勤勉、正直、信仰」と無縁の「新下層」に転落したと解き、この危機が白人社会を直撃したと断じています。この新下層が選挙においてテレビやネットワークで「仲間」を見出したのでしょう。

グローバル化した経済の中で中間層が恩恵を受けないことは、社会の底辺で働く外国人のせいではありません。人口減少期に入って移民や外国人はそれぞれの国に大切な人的資源となっています。感謝すべきで排外主義を掲げることは慎むべきです。

世界の警察官米国が自国中心主義・孤立主義をとるのであれば、国際秩序は一挙に崩れて、中国、インド、ロシア等が気ままな経済政策とITを活用して世界経済を混乱に巻き込んでくることが予想されます。

無秩序な国際関係が予想される中で、日本は、軍隊を外国に派遣して紛争の片棒を担ぐのでなく、平和憲法の下に地道に国連の中で世界の紛争を無くする努力が欠かせません。

日本の保守政権も米国との協調関係を模索していくでしょうが、従来通りの緊密な連携は難しくなって、アジア諸国との関係強化のために独自の軍拡政策を進めるでしょう。この道の先には大きな戦争が待っています。

欧州の安全保障体制にも揺るぎが出て来ました。北大西洋条約機構(NATO)が米国の協力が得られ無くなれば、フランスとドイツの右傾化で、バルト三国とともに欧州解体に進む心配が出て来ます。

国際関係が混乱せる時こそ平和憲法を持っている日本が、後進国の先頭に立って、国際協調主義を進めて行きべきです。

蘇生

 

 

 

 

 


英国のEU離脱、EUが求めた地域の平和と安定は、これからどうなるでしょうか。日本における賃金格差、構造改革を考える。

2016年06月25日 | 国際協調

 

山県市三光寺のアジサイ 

英国の国民投票で、欧州連合(EU)離脱派が勝利したことは、欧州諸国28か国が主権の一部を手放して結集した平和と安定の理想社会から英国は離脱し、主権を取り戻し、自由な経済獲得と移民を阻止することになるのです。

働きやすい理想社会であるEUに集まって来た移民が増えすぎて、福祉や医療は、イギリス国民にサービスが行き届かなくなりました。農・漁業者には仕事がなく、金がない。移民がこれをみんな奪っていき、失業率も3割を超えてしまいました。

高齢者、低所得者の離脱派は、国民投票で「EUから実権を取り戻す。」と主張しました。

これに対し、好景気と多文化主義を謳歌していた若者、高所得者、高学歴者の残留派は、離脱がもたらす経済的な打撃を前面に専門家の試算を援用して離脱は「英国の損失」だと反対しました。

政治・経済エリートの残留説得は、両派の僅差での争いには、逆効果であったようです。

英国のAU離脱国民投票を参考に日本の参院選を見て行きましょう。

安倍政権は、参院選に成果を出している「アベノミクスの継続」を公約にしている。首相は成果として有効求人倍率は24年ぶりの高い水準にあるとしています。

首相が成果として上げている有効求人倍率は、若者不足で123店舗が店員を募集しても集まらない状況では、好景気といえる状況ではありません。消費が停滞していて、アベノミクスが成果上げているデータがないことが分かります。

アベノミクスの狙いは、経済をデフレから脱却させることです。「第1の矢」で日銀の金融緩和で大量の資金が出回り円安が進んで、株価が上昇しました。「第2の矢」で公共事業を増やし、「第3の矢」で法人税減税を進めました。

この結果はどうですか。恩恵は大企業止まり。円安で物価が上昇し、賃金は上がらず、国民の負担は重くなり消費は冷え込みました。この間、アベノミクスの成果がないのに、企業を優遇して国の借金だけは膨らみました。

「新第3の矢」を参院選に公約にするには、過去の3本の矢について、国家予算を検証する必要があります。政府はアベノミクスで税収が21兆円増えたと自慢しますが、消費税分を除けば13兆円に過ぎません。政府の財政運営は杜撰で信用が置けません。

アベノミクスの成果がないのに国の借金が増えています。この借金は、若者が将来負担することになります。法人税減税をして、アベノミクスで企業だけを優遇するのでは、国民は納得できません。

「新3本の矢」を公約する前の通常国会において、政府は消費税増税を、2年半延期しています。国民の年金、保育施設や介護職員の待遇改善などの社会保障制度の財源はどう確保するのか全く分かりません。

財源不明のまま参院選を迎える政府は、国民、特に高齢者、低所得者、将来のある若者に対して無責任だと言うほかありません。

大きな問題は、世界中の長期間の景気停滞です。資本主義は欲望が飽和し、収益の上がる投資先が無くなっています。経済学者ケインズは「資本主義の終焉」としています。

前回のブログ投稿の通り、世界の中の富は世界の人口の3%の人に集まっています。資本主義国の経済の成長政策は3%の富める人の富を増やすだけです。

日本やEUでも、格差を無くす政策が緊急に必要です。

今一つは、米国の大統領選挙でのサンダース候補とトランプ候補の主張や、EU離脱の英国で起きた移民の流入で、賃金格差に立ち向かい、不公正を糺そうとする民衆からのうねりです。

国の成長力の衰えはこの先、遅かれ早かれ先進国に共通の現実です。

日本で大きいのは高齢化です。豊かさ故に国民は長寿になります。それによって働く人口割合が減り、消費の担い手が劣勢となれば、新たな需要は生まれず、経済成長が行き詰まります。

国は高齢化で税収が減る半面、社会福祉などの負担が重くなります。次世代への借金は膨らむ一方です。

日本政府のように何とか需要を生み出そうと金融政策ばかりに頼れば、市場で富の偏在を招いて、格差を広げて行きます。

伊勢志摩サミットで、世界の中の現状を「積極的な財政出動」よりも「経済危機の再発を防ぐため構造改革、金融政策」を組み合わせるとしたのはドイツ、フランス、英国でした。

情けないことにサミットの議長国の安倍首相は、G7の90年代の古い先進国の首相でした。日本将来の生活を考えるのではなく、参院選を勝ちたいだけの自民党党首でした。

いま日本に必要なことは、成長がなくとも、仕事があって、普通に食べて行ける社会であることが保証されれば「国の老い方」を目標に、切り替えて平和に暮らせます。

どの国も、老人ばかり増えた日本を攻めて来たり、金や資源を奪うことはしません。     武器や戦力は余分には要りません。

日本は、峠を超えて下り坂にいます。欧米と競い合ってきた戦前の日本ではあにません。

小さな国に1億2千万人住んでいますが、資源のない国はどこからも攻めて来られることはありません。たそがれても平和と安定で輝いていたいと思います。

老いても、日本だけ幸せに生活しようとは考えていません。

世界の中の火種だけは、無くさないといけません。

シリア難民の受け入れ、EUができてから欧州は、大国間の交流が自由となって、国同士の争いが無くなり安定が続いています。

欧州諸国では、若者の往来が活発になり、互いの習慣や文化への理解が進むようになりました。

欧州共同体(EU)はイギリスを諭して、残す努力をすべきです。

世界では、民族主義の台頭はあるでしょうが、台頭する背景と原因を共有して、寛容の精神で宗教の自由と民主主義を大切にすることです。

そうすれば、日本人のように平和に暮らして行けることを世界に示しましょう。

日本国憲法は、世界に類のない、誇ることのできる憲法です。

この様な憲法は、日本人戦没者310万人と米、中国、比島らの犠牲の上に、日米だけでなく、連合国が加わって作成されたのです。

憲法は、不都合な細かなところであっても、絶対改正すべきではありません。

どうしても外国に行って戦争をしたい人は、日本にはいないとおもいますが、集団的自衛権の行使を可能にしたのは安倍政権です。

日本国憲法第9条を守れないなら、外国へ出て行って軍隊を作ればよいと思います。

蘇生

 

 

 

 


中日新聞の1面トップに、テロに軍事力で臨む国際的結束を疑問とする投稿掲載。

2015年12月02日 | 国際協調

 

京都嵯峨野浄寂光寺

冒頭の新聞投稿は、11月29日朝刊の1面を飾りました。フェギュアスケートの羽生結弦が世界初となる300点を22点超える合計322.40点でNHK杯を制したビックニュースをしのぎ右面トップに掲載されました。

この投稿は、沖縄に思いを寄せた亡俳優菅原文太さんの妻菅原文子さんが、夫の1周忌にパリでのテロについての思いを寄せたのです。

菅原文子さんは「フランスの悲しみや怒りを世界に届けるメディアは数多い。彼らの声は大きく、よく響く。悲しみの場所に花束が集まり、ローソクの灯が連なる。‥‥しかし、多くの市民を殺害し、自らの若い命もその場に捨てたイスラームの人たちの声を届けるメディアの声は、あまりに小さい。だから私たちには、世界の半分しか見えない。半分は暗い半月を見るようだ。」としています。

半月(はんげつ)の暗闇では、犯人たちの母や妻、兄弟や子の悲しみと嘆きが聞こえてこないとしています。暗い戦争の時代の沖縄戦で亡くなって行った人たち家族は、死を悲しみ嘆くことが許されなかたように、テロ犯人の家族には空爆の地に花束を捧げることができません。

空爆の地には、花束がなく、私たちには世界の半分しか見えていません。

私は、菅原文子さんの投稿に感動でしましたが、パリの同時多発テロを契機に、米ロを含めた国際社会が団結して、ISを現実の脅威として真剣に認識し始めてテロの封じ込めをしているときに、中日新聞がこの投稿を取り上げたことに強い感動を覚えています。

テロの拡散を防ぐ道は、空爆強化でなく、ISやアルカイダと戦っている反体制派を含めて、シリア政権が自由な選挙行程表を作って、シリアに新しい政権を選出することです。

これこそが増悪の連鎖に絡めとらわれず、「自由」や人としての営みを大切にする道で、パリの劇場襲撃で妻を失ったアントワンヌ・レリスさんと、菅原文太夫妻の声に答える道です。

このブログを作成中に米ロと国際社会が団結して17か国に国連特使らも加わって、シリアの和平に向けた国民が参加する選挙の工程表の合意にこぎ着けました。

蘇生

  


あなたはテロを憎みますか。私は過激派に「憎しみと言う贈り物を贈らない。」過激派を増やさないために。

2015年11月21日 | 国際協調

 

単線駅の日暮れ時 

パリでの同時多発テロは、劇場や国立競技場など6か所に銃を持って押し入り、128人の死者と300人の負傷者を出しました。劇場にコンサートを聴きに行っていた女性をなくした夫はフェイスブックに「私の憎しみを君たちに与えない」と投稿しました。

テロ被害者の夫はフランスのジャーナリストですが、フェイスブックで最愛の妻を亡くした悲しみに触れつつも、憎しみを超えて、残された息子と共に「自由」であり続ける大切さを訴えています。

そして、夫は犯人に対しては「君たちに憎しみと言う贈り物を贈らない。君たちはそれを望むだろうが、怒りでで答えることは、君たちと同じ無知に屈することになってしまう。」として、犯人が望む、犯行に恐怖心を持って、人を疑いの目で見たり、安全のために自由を犠牲にすることはないので、犯人の負けだと書いています。

フランスのジャーナリストの投稿は、フェイスブックで世界中で共有され共感されています。テロを無くする投稿です。これに対し世界各国には即効策がないのに、威嚇を拡散しています。

残虐なテロ行為が繰り返される国際社会において、テロを防ぐことは難しく、今回のテロ直後にトルコで開催された20か国地域首脳会合(G20)においてロシア、中国を含む共同声明で外国人戦闘員の流入を防ぐ情報共有化、資金源を断つ措置を打ち出しました。

224人が犠牲になったロシア機墜落についても、ISの爆弾テロだったことが明らかになって、ロシアが加わった米仏のシリアへの空爆に、更に、今まで慎重だった英国も前向きな姿勢に転じて、IS包囲網が出来上がり、国際連帯が強化されました。

19日閉幕のフイリッピンのマニラで開かれた太平洋経済協力会議(APEC)でも、テロは世界経済の不安定化につながるとして、テロの資金源を断つ共同声明を採択しました。

この様な国際的結束で国境管理を強化しても、イスラム国(IS)は既に欧州など各国に潜入して「テロリスト予備軍」が形成されており、パリでの同時多発テロと同じような欧州やアフリカ諸国でのテロ防止には無力です。

威嚇射撃や空爆は、テロを終わらせることはありません。

それは20年前のイラク戦争がイスラム国誕生に繋がったことからもで明らかです。イスラム国のテロやサダム・フセインと米欧ロの威嚇射撃や空爆は同じ発想から来ています。町や住まいを破壊し難民を増やすだけです。

莫大な軍事費を使って、町や工場、市民や工員の命を奪って、平和や経済成長が図れるのでしょうか。20世紀に経験した幾多の戦争を見れば、負けた国ばかりでなく、勝った国も沢山の命と大きな損失を負っています。

連合国とISのこの戦争は、どちらも勝負が着く戦争ではありません。

21世紀のテロとの戦いでは、武力行使は止めるべきです。被害ばかりが双方に膨らんで、憎しみばかり増大させます。民主主義を育てて来たフランスは、避難民と共存して自由、友愛、平等を守る必要があります。

世界各国は、9・11の飛行機テロとパリの多発テロを経験したのです。

地球も傷んできました。資源も枯渇し、環境悪化も進み、70億の人口を養いきれません。   最早、資本主義も共産主義も帝国主義も民族主義も機能しません。

ミャンマーを見習って、国連を機能する連合体に作り直して、無駄な戦争を今すぐに止めましょう。

成長、進歩の経済政策は限界に来ています。地球は老齢期に入ったのです。成熟、保護、安定の社会に舵を代えて、富を求めず、急がず、競争はせず、贅沢をせず、憎しみを消すことです。

日本は、敗戦後、連合国が提供した平和、自由、平等主義を憲法にして70年の間、武器を使うことなく平和な暮らしをしてきました。外国とも良好な関係を維持してきました。

国連の安全保障理事会は20日、パリ同時多発テロを強く非難し、国際社会が団結してISと戦う決意を示す決議をしました。決議は、ISが広範囲に民間人への攻撃を続けていること、戦闘員の勧誘や訓練して、さらなる攻撃意思があるとしてテロに対抗するとしています。

国連の安全保障理事会は、テロ被害を非難するのでなく、20世紀に延々と繰り返してきた戦争と破壊を止めて、21世紀では、連合国の方から戦闘を無くする方策を協議することが、テロをなくする何より大切なことではありませんか。

国連とISは、互いに相手を非難することでなく、武器での解決や、この悪の連鎖を断ち切り、戦争と破壊を無くする責務があります。

過激派の憎しみの原因は、抑圧や格差、貧困、差別があるからです。この憎しみの原因を作っているのは有志連合国ではないでしょうか。

テロ防止有志連合国は、冒頭のテロ被害者の夫の言葉「君達に憎しみと言う贈り物を贈らない」を、同じテロ被害国として肝に銘じて欲しいと思います。

蘇生

 

 


日本人の平均寿命80.67歳を超えました。中高大学校同級生はまだ半数以上います。戦争を知る老人は、日本について語る場が無くなりました。

憲法は、アメリカのマッカーサーに準備してもらったかもしれませんが、一院制を二院制に、土地を国有から私有に替えたのは帝国議会草案でした。 議会の審議では自衛戦争の放棄は草案の中にあり、吉田首相も正当防衛や、国の防衛権による戦争もしないと壇上で明確に述べていました。 草案は、衆議院は反対八票の絶対多数で、貴族院の満場一致で可決しました。 ただし、衆議院では九条二項に「前項の目的を達するため」を加えて修正しました。二項は戦力を保持しないとしており、後に、自衛のための戦力が議論されることになりました。 憲法改正から68年の昨年は、安保法改正で国会や、法律家、若者、お母さんが、戦争を意識させるとして、議論されるようになりました。 平和は、日本だけでなく、世界中が戦争をしない国にしないと続きません。しっかりと政治を見て行きたいと思います。