私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

官製春闘「賃上げ目標3%」、日銀の異次元緩和「2%物価上昇率」、政権の赤字財政拡大策で日本は滅びる。

2018年03月16日 | 国の財政政策

 

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5年目となる「官製」3%以上の賃上げ目標、黒田総裁就任5年を超える異次元緩和の日銀政策、2%上昇を物価目標とするアベノミクス経済、どれもこれほどの無謀な財政拡大への依存をしていいとは思えません。

政府は、ノーベル経済賞受賞の米プリンストン大学のクリストファー・シムス教授の理論に従っているのです。

シムズ理論は「金融政策は同じ処方を続けたのでは効かなくなる。景気を押し上げる必要があるときに政府が借金をして財政出動をする。これからは増税してすぐに回収することはないと国民に思わせる。」のです。

政府の財政再建策には増税や歳出削減が必要ですが、安倍政権は選挙を意識してこれを避けているのです

アベノミクス実施から5年、各種経済指標は良好です。

名目国内総生産(GDP)は40兆円以上増加し、求人倍率は26年ぶりの高水準です。

株価はアベノミクスの始まる前の2倍を超えています。外国人観光客は急増し、ホテルが急増しています。

この長期的好景気が続いているのに経済は浮揚しているとは言えません。

マネタリーベースを2年で2倍に増やし、超金融緩和政策で100兆円に及ぶ財政投資を行いました。

日銀のゼロ金利政策はもう20年近く続いています。

量的緩和政策でお金は市中にだぶだぶに流れ、家計に保有する金融資産はこの間に1.5倍の1800兆円に膨らんでいます。

その資産の半分は消費されず、現金か銀行預金で貯蓄されています。

株価の上昇・景気拡大は1%の富裕層を作るだけです。

2000年以降は、経済はゼロ成長で人口減少・高齢化社会が進んでいます。

お金は、一部は国債や投機的金融市場に向かい、国の財政は赤字であるのに国債価格は維持されており、株式市場はバブル的様相を示しています。

金融緩和政策による持続的な成長があっても、企業の構造的変化が出て来て、投資には多く結びついていません。

長期停滞と呼ばれる先進国の趨勢的な成長率の低下と、21世紀のAIによるオフィスの自動化です。

近い将来には労働人口の半分の職業が、技術的にはAIに置き換えられます。

世界では企業の総務、経理、人事などのホワイトカラーは消えてゆくと見られています。

日本には、そこに「人口減少と超高齢化」の波が加わる大問題があります。

20年後、税収が頭打ちになり、財政が悪化すると、財政破たんが現実味を帯びて来ます。

「国の財政政策が危機」に陥ると何が起きるでしょう。

政府資金が流出し、円安加速で超インフレ。金利が上がり、利払いが膨らんで財政破綻します。

終戦直後の日本では、国の債務のGDP比率は250%を超えたため、国が財政破綻しました。

預金や不動産などに最高税率90%の空前の「財産税」を貧しい人にも例外なく対象として収奪を断行しました。

徴収した財産税は一般会計予算に匹敵する規模に達し、その財産税を原資にて、国債を償還しました。

その際、政府は国民が預金を引き出せないように「財産税」に先行して「預金封鎖」を実施したのです。

国家は、いざとなれば「課税」という合法的な手段で国民から資産を収奪するのです。

国と地方の長期債務残高は、平成29年には1108兆円となりGDPに対する割合は196%となって、終戦直後の250%に迫っています。

債務残高の殆どは、国債ですが、これを国民が負担すると一人当たり874万円になります。

現在では世界最低の債務国になっています。

私は年金受給者で住んでいる土地は有りますが、株はやっていません。

国が破綻したとき土地は国に取られて住む所が無くなります。

終戦直後の「財産税の悪夢」の二の舞はご免です。

アベノミクスの実施から5年で戦後2番目の長期好景気が続いて、社会の成熟があり我々の生活が真の意味で十分ではありませんが快適に暮らせるようになりました。

地球の全人口の1%に満たない100億ドルの富裕層を作るための経済活動を今後も続けていく必要はありません。

日本で言えば、2014年に年収1億円以上の収入があった人は1万7348人、全就業者の0.027%いました。

そして、同じ年に非正規社員やパートタイマーの増加で年収300万円以下の人口は4割に達し、格差社会を生みました。

金融緩和政策によって消費を喚起するのは難しいことがはっきりしました。

今国民が求めているのは、公共的で格差のない社会です。モノが溢れる物質的な豊かさではありません。

経済膨張主義や超赤字国債はもはや限界だと思われてなりません。

蘇生

 

 

 

 


日銀総裁はなぜ黒田東彦続投なのか。日銀金融政策委員会は「ぬるま湯」政権に寄り添っていてよいのか。

2018年02月21日 | 国の財政政策

 

 138ツインタワー 凧揚げ祭り

安倍政権は、4月に5年の任期を終える黒田東彦日銀総裁を続投させる人事案を決定しました。

今月初めの米国株式市場の急落から始まった世界同時株安が、一段落したことで安倍政権は世界恐慌の心配はないと見て決断したのでしょう。

日本の経済状況を5年間つぶさに眺めてきた首相が、担当大臣と協議して決めたことですが、この人事案は安倍一強体制下では衆参両院の同意を得て、国会で正式に決定されるでしょう。

常識では日本中の事業者の仕事が増えて、従業員の給料が上がれば、景気は好調で株は上がります。

しかし、ここ数年、景気が良くなると「株が下落する」非常識が、世界中でまかり通っているのです。

日米欧の中央銀行は、この10年間ゼロ金利やマイナス金利、量的緩和など前例のない規模の超緩和を次々と繰り出して、市場のテコ入れをしてきました。

本来の経済政策は、景気が悪くなった際には利下げを行って経済を下支えし、景気が良くなった際には利上げを行って経済の過熱を防ぐというものです。

日銀が行っている現在の大規模な金融政策は「非伝統的な金融政策」です。

民間の金融機関はお金を貸出し先が見つからないとき、政府が発行する国債を買い、その利子で収益を上げようとします。

これでは景気の回復につながらない日銀は、民間が保有している国債を大量に買い上げ代金を民間の銀行口座に振り込みます。

お金の量が増えれば金利が下がり、企業が設備投資に踏み出すほか、物価が上がると考える人が増えれば、人々が今のうちにお金を使うようになるのが狙いです。

安倍政権が株や債券、不動産などの資産価格の下支え政策を執ったことで、投資家にとって「心地よい環境」「適温経済(ゴルディロックス)」が長く作られて来ました。

安倍内閣の大量の赤字国債による量的緩和政策とアベノミクス理論が、日経平均株価上昇を長期に渡り支えて来ました。

異常な金融政策とアベノミクスを4年間続けて来ても、物価は目標の2%に届かず、目標の達成は6度も先送りされて、物価は上昇どころか以前の水準に逆戻りしています。

この5年間の実質成長率は平均11.1%で、当初予算の規模は6年間連続で過去最大となりました。

国と地方の長期の借金残高は、年度末で最高の1,107兆円になる見通しです。

この好景気が続く米欧日で、株は今月5日と8日には、3かぶか日間で2,000ドル下げて世界の同時株安が広がりました。

米で長期金利が年2.85%の高水準となったのがきっかけでした。

米国では景気が悪くなったのではなく、景気拡大で資金需要が増えたのと雇用統計で賃金の伸びも予想以上の年2.85%になり、長期金利の上昇が企業への悪影響となることが懸念されたからです。

5日の株下落後、米議会では防衛費など大幅な予算拡張に合意したことが加わって、財政悪化が金利上昇を招くとして、9日に再度株価が大きく下がりました。

その後は、米欧日の株価下落は落ち着いています。

5年前に黒田氏は異次元緩和、国債購入を目玉に物価上昇は2年限定で日銀総裁に就任したのでしたが、5年が過ぎても目標は達成できていません。

日経株価大暴落の中で、安倍内閣は今年4月の日銀総裁改選に黒田総裁留任を閣議決定しました。

このまま「心地よい環境」を続けても「異次元緩和の後遺症」の心配はないのでしょうか。

アベノミクスの理論の支柱といわれる浜田宏一内閣官房参与は、アベノミクスの行き詰まりを認め、首相に金融政策の転換を提言しました。

異次元緩和政策の「お金の量」から「金利」を目標にする金融政策に転換を求めたのです。

株市場の専門家の「適温経済」とは、熱くも冷たくもない、ちょうどいい熱さのスープを飲んでいる状態です。

「心地よい環境」とは、釜の底はとんでもない強火で熱されていて、いつ沸騰するかもしれないし、底が抜けるかもしれない静かな危険です。

超金融緩和による経済環境が変わって、日銀が市場から大量のお金を引き上げる必要が生じたのです。

株や債券、不動産の市場は大崩れする可能性が出て来たのです。

経済状況は、国債を買い続ける「金融緩和の弊害」が目立って来ました。

年金を運用する国債利回りの悪化は老後の不安を生んでいます。

貯蓄型保険の保険料値上げや販売停止が相次いでいます。

17年に銀行が不動産業向けに新たに融資した総額は、異次元緩和の開始以来初めて減りました。

アパート経営では、想定通り家賃収入が入らなくなりました。

民間銀行の国債保有は緩和前から半減し、日銀が買える国債は減っています。

金融機関が資産運用に必要な国債を日銀が買ってるからです。

日銀の国債保有は発行額の4割超に達し、超低金利が常態化しています。

上場投資信託(ETF)の買い入れは株価をゆがめると指摘されます。

日銀の買い占めで市場に出回る国債が減れば、国債が品薄になり長期金利は下がりますが、品薄が酷くなると国債は不安定になり金利上昇を招くことになります。

長期金利も上がりやすくなり、日銀の金利操作も難しくなって行きています。

日銀は16年9月に長期金利操作策を導入しました。

国債買い入れに偏った政策を修正して、金利の急変動を抑える方向へ軸足を移しました。

国債買い入れペースは、年80兆円を掲げていましたが、昨年はその半額の40兆円程度です。

「市場に流すお金の量を増やす」政策からマイナス金利や長期金利操作を積み重ねる方向に変質しました。

今月に入って無制限で国債を買って金利を下げる「指し値オペレーション」を7か月ぶりに行いましたが、金利低下幅は小さく、効果は薄れているようです。

メガバンクにおいては、国内店舗の削減や配置の見直しを打ち出しており、緩和の副作用が一般向けの金融機関に向かいつつあります。

このような「異次元緩和の後遺症」で問題なのは、財政拡大への依存を強める可能性が出て来たことです。

日本は、先進国では最悪の財政状況なのに、さらなる借金拡大の危険性が増してきました。

景気を押し上げる必要がある時には、政府が借金をして財政出動します。

浜田宏一参与は、日本は財政赤字の拡大は恐れずに財政出動し、消費税増税はデフレ脱却が実現するまで延期するというのです。

財政拡大の亡霊は「これからは、将来、増税をしてすぐ回収することはないと人々に思わせる。そうすれば人々も金を使い、マイルドなインフレが起きる。」と言います。

国民や一般投資家は増税や歳出削減を避けたいのですから、それに都合がよいシムズ理論(米国プリストン大のシムズ教授の理論)に安倍政権が飛び付いたのです。

シムズ理論とは、政府は財政再建を放棄し、インフレを起こすと宣言→国民がインフレを予想→お金の価値が下がり国の借金(債務価値)は縮む→デフレも脱却ーです。

次の状況が出て来て、シムズ理論がうまくいくとは思えません。

財政再建を放棄すれば国債が暴落し、市場の標的となって制御不能となりかねません。

日本がデフレから抜け出せないのは社会保障など「将来不安」からであり、不安を増幅するインフレ予想や消費が高まるからです。

財政運営が危機に陥ると何が起きるのでしょう。

資金が流出し、円安が加速すると超インフレになります。

金利が跳ね上がり、利払い費が膨らんで財政は破綻します。

そして国家はいざとなれば「課税」という合法的な形で、国民から財産を奪うことができる「暴力装置」と化します。

アベノミクス理論の支柱といわれる浜田宏一内閣官房参与のように、4年でころころと政策を変えるような人材ばかりで構成する安倍内閣や、4年近く異常な金融緩和を6度も引き延ばす黒田日銀総裁には安心して国の金融政策を任されません。

日本国憲法改正案、国の安全保障法、防衛費拡張予算などについても、国民の声に耳を貸さないで強行する安倍政権の政策運営には問題があると思われてなりません。

安倍政権を選挙で選んだのは国民だから仕方がありませんが、現政権の一強体制は国民生活に支障がある政策ばかりでよくありません。

国民の皆さん、ここらで一つ「国を作り変えるような若い政治家の出現」を見たいと思いませんか。期待しています。

蘇生

 

 

 

 

 

 


日本人の平均寿命80.67歳を超えました。中高大学校同級生はまだ半数以上います。戦争を知る老人は、日本について語る場が無くなりました。

憲法は、アメリカのマッカーサーに準備してもらったかもしれませんが、一院制を二院制に、土地を国有から私有に替えたのは帝国議会草案でした。 議会の審議では自衛戦争の放棄は草案の中にあり、吉田首相も正当防衛や、国の防衛権による戦争もしないと壇上で明確に述べていました。 草案は、衆議院は反対八票の絶対多数で、貴族院の満場一致で可決しました。 ただし、衆議院では九条二項に「前項の目的を達するため」を加えて修正しました。二項は戦力を保持しないとしており、後に、自衛のための戦力が議論されることになりました。 憲法改正から68年の昨年は、安保法改正で国会や、法律家、若者、お母さんが、戦争を意識させるとして、議論されるようになりました。 平和は、日本だけでなく、世界中が戦争をしない国にしないと続きません。しっかりと政治を見て行きたいと思います。