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ガン発症の最大の要因は「運」

2020-12-24 10:24:04 | 健康・医療
ガンの家族歴や喫煙などの習慣は遺伝子変異と関連しますが、正常な細胞分裂の間に起こる偶然の複製エラーははるかに大きな要因となります。

細胞の分裂に先立って、遺伝子の複製が行われますが、ここでDNAが不安定となり遺伝子の「コピーミス」が起こることがあります。この突然変異がたまたま発ガンに関連する遺伝子に起こると、ガン細胞ができてしまうわけです。

この辺りのガン発症の可能性については、コピーミスの頻度などこのブログでも取り上げています。心臓にほとんどガンができないのは、心筋細胞では細胞分裂が原則起きないため、突然変異も見られないことが理由とされています。

脳には悪性の腫瘍ができることがありますが、これは神経細胞から発生するものではありません。神経細胞は常時伸縮している心筋細胞と同様に、極度に分化し電気を使って情報通信を行っていますので、細胞分裂は行えません。

神経細胞を支え、自身は細胞分裂も行う「神経膠細胞」から多くの悪性腫瘍が発生するのです。遺伝子のコピーミス自体を完全に避けることはできませんから、長生きをして細胞分裂の回数を重ねていけば、ガン細胞が発生する確率も高くなってきます。

ガンが年齢と共に増えていくのは当然で、日本人の男性の3人に2人、女性の2人に1人がこの病気に罹患するようになった理由は、急速な高齢化にあります。

また喫煙や飲酒などの生活習慣や感染症などの環境因子は、遺伝子の複製ミスの確率を大きく左右します。

ガン関連の感染症として重要なのは、胃ガンの原因の98%とされるピロリ菌や、子宮頸ガンの原因のほぼ100%といわれるヒトパピローマウイルス、肝臓がんの原因の約8割を占める肝炎ウイルスなどです。

なお遺伝の影響は環境因子よりずっと少なく、発ガンの原因全体の5%にすぎません。このピロリ菌が胃ガンの原因というのはどうも疑わしい気がしますが、この説がだんだん強くなっている気もします。

環境因子に全く問題がなくても、ミスを排除することはできません。遺伝子の偶発的なコピーミスがガン発症の背景にありますので、ガンができるかどうかは「運」の要素もあるといえます。

タバコを吸ったことのない人が肺ガンになるのは「運が悪かった」ということになります。米国の研究者が2017年に発表した論文では、発ガンをもたらす遺伝子変異の3分の2は、偶然起きたDNAの複製エラー、つまり「不運」によるものだと結論付けています。

個人の努力も大切ですが、運の要素を否定することはできません。ガンという重大な疾病を運で片付けるのはやや残念な気もしますが、全ての病気なども「運が悪かった」とあきらめるのも一つの生き方かもしれません。


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