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小型装置によるガン放射線治療に新たな道

2024-06-14 10:36:31 | 健康・医療
私の友人は肝臓ガンから膵臓に転移してしまい、重粒子線治療という最新の放射線治療を受けました。それによって膵臓ガンは縮小したのですが、残念ながら昨年帰らぬ人となってしまいました。

こういった放射線治療は可能な施設が本当に少なく、装置が大型であることがネックとなっているようです。量子科学技術研究開発機構などのグループが、細かい孔が多数開いたガラス板にレーザー光を当てると放射線の一種である高エネルギー電子線が発生することを実証しました。

手のひらサイズの小型レーザー装置と内視鏡を光ファイバーで結ぶことで、被爆の少ないガン放射線治療が期待できるようです。量研機構では瞬間的に光を放つパルスレーザーを出す小型装置を用い、ガスや固体の材料に当ててエネルギーの高い電子やイオンを発生させる研究をしています。

2021年には大型施設で作るよりピーク出力が低いレーザーでも、中空の炭素材料であるカーボンナノチューブに当てて電子線を発生すれば、産業や医療などで応用できると提案しました。

1ミリ四方の中に直径0.01ミリの細孔が約6000個開いた市販のガラス板「マイクロチャンネルプレート」を用いて実験しました。厚さ0.4ミリのプレートを12度傾けてパルスレーザーを当てると、指向性の高い(広がりにくい)電子線が発生しました。

対象物と2センチ離れている場合、電子線の直径は1ミリ程度に収まるとしています。金属やセラミックスなど多様な材料に微細な加工を施すために使っているレーザーより強度は劣るものの、電子線の強さがガン治療に必要とされる数十キロから数百キロ電子ボルトになることを実証しました。

実験では大型のレーザー装置でしたが、臨床では手のひらサイズでも十分と考えられます。電子線発生部も人の指ほどの大きさまで小型化できるとしています。

内視鏡に取り付けてガン放射線治療に利用することで、前立腺ガンや舌ガンにおいてガンの近くに小線源(RI)を置く放射線治療の代わりになる可能性があります。今後の課題として、瞬間的なパルスで発生する放射線がガン細胞をきちんと死滅させるかどうかを確認する必要があります。

研究チームは、パルスレーザーで発生させた電子線をガンの放射線治療に用いることができれば、これまでの治療法より被爆を低減することができると述べています。

このように放射線治療装置を小型化できれば、導入可能な施設も増え、放射線の選択肢が広がるのではないかと考えられます。


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