ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「対症療法」の大切さ

2021-01-07 10:03:30 | 健康・医療
風邪薬は市販のものであれ医師が処方した薬でも、風邪を治す薬ではなく、熱を下げたり鼻水やのどの痛み、咳などの症状を抑える成分です。

このように「症状を抑える治療」のことを「対症療法」と呼んでいます。この対症療法の正確な意味は一般にあまり知られておらず、「対処療法」と誤って覚えている人が多いという記事が「時事ドットコム」に掲載されていました。

ここでは対症療法の重要性を指摘しているのですが、本来薬というのはあくまでも症状を緩和するために作られています。

このブログのサブタイトルに「病気を治すのは薬ではなく自分自身」と書いてあるように、私はほとんどの病気は薬で症状を抑えている間に、人の力で治すものと思っています。

この記事でも強い痛みがあるときに痛み止めを使う、吐き気があるときには吐き気止めを使う、眠れない時に睡眠薬を使うといった対症療法は大切だとしています。しかしどうもこの筆者にはほとんどの薬が症状を抑えるものであるという認識がないような気がします。

例えば生活習慣病を見ても、高血圧の薬は血管を広げるなどして血圧を下げるだけで、なぜ血管が収縮して血圧が上がったのかの原因を治す薬ではありません。糖尿病もなぜ血糖値が上がってしまったかを治療するものではなく、単に血糖値を正常にする働きのある薬です。

高脂血症も同じですが、もともとなぜ生活習慣病になるのかは個人差が大きく、よくわかっていないのかもしれません。家の猫が甲状腺の亢進症になってしまいましたが、飲んでいる薬は甲状腺からのホルモンの分泌を抑える薬です。

私が知っている対症療法ではない治療は、感染症の時に原因となる病原菌をやっつける抗生物質、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬ぐらいかもしれません。ガンで痛みが激しい時に、ガンを手術で取るというのは、対症療法ではない治療といえるでしょう。

もちろんこの対症療法にも注意点があり、例えば日常的に痛み止めを飲んでいると、病状が良くなっているのか悪化しているかが分からないとか、痛みの原因が特定できなくなるといった点があります。

特に市販の薬を使うときには、こういったリスクに注意が必要です。基本的に何か症状が出た場合は、その症状を抑え患者が異常を修復しやすくするというのが治療の基本であり、薬が治しているのではないということを医師が認識してほしいと思っています。

長年薬の研究をしてきましたが、この病気はこの受容体を抑えるとか、症状をなくすことが開発目標になっています。

なぜその病気が起きるのかまで踏み込むことは、薬の研究者には無理な(分かっていないことが多いのですが)注文であり、現代医療の限界でもあるような気がします。


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