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健康診断・メタボ健診の意味

2020-01-11 10:15:54 | 健康・医療
私はやせ形でメタボというには程遠いのですが、かなり多くの人がメタボ検診を受診しているようです。

このメタボ健診は2008年から始まった全国規模の新たな保険事業で、正式名称は「特定健康診査・特定保健指導」といいます。

その最大の特徴は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪が多く、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすい状態)にターゲットを絞った健診・指導を実施することです。2017年のデータでは、日本全国で約5400万人がメタボ健診の対象となっており、そのうち53%の約2900万人が受診しています。

メタボ健診では、腹囲とBMIを測定し、それに加えて血液検査による血糖やコレステロールの値、血圧、喫煙歴を用いて健康へのリスクを評価します。

そのリスクに応じて1.情報提供、2.動機付け支援(個別面接またはグループ支援を行い、6か月後に評価する)、3.積極的支援(医師や保健師による3か月以上の継続的な指導を行い、6か月後にその成果を評価する)の3つの内いずれかの介入が行われます。

この結果本当に健康増進効果があるのかが検証されています。この結論はやや難しい所はあるものの、メタボ健診による健康増進効果はほぼゼロ、もしくはあったとしてもかなり小さいものと報告されています。

この調査ではメタボ健診を受けて、指導をしっかり受けた人と指導を受けずにいる人を単純に比べています。そこではやや効果が出ていますが、指導を受けている人は健康意識が高くてまじめな人が多いはずで、受けなかったり指導をほったらかしにする人は健康意識が低い人が多いと言えるようです。

つまりこの2つのグループの健康状態の比較では、実際にメタボ健診の効果ではなく、健康意識の違いの影響を見ているにすぎない可能性があるわけです。これに関しては海外では、ランダム化比較試験という実験が行われており、そこから色々なことが分かっています。

詳細は省略しますが、こういった科学的な研究では、健診(+カウンセリング)を受けたグループと受けなかったグループの間で、心筋梗塞や脳梗塞のような動脈硬化による病気の発生率や死亡率の違いは認められませんでした。

それでもメタボ健診が健康意識を向上させる意味があるのかもしれませんが、このメタボ健診には高額の費用がかかっています。保険者が負担している総事業費は、2008~2011年度の4年間で約2269億円に達していると推計されています。

そして国費負担だけでも年間200億円以上の税金が投じられているのです。当然医療費の抑制にはつながっていないと思われます。

結局健康診断は健康な人が健康であることを確認するために受けるものという私の感じは正しいのかもしれません。病気は健診ではなく検診で見つけるものでしょう。


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