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少子化問題とその対策

2020-02-03 10:30:37 | 時事
少子化が急速に進んでおり、政府もさまざまな手を打ってきていますが少子化の勢いは鈍っていないようです。

これまでの少子化対策は、いずれも「誰もが子を持ちたいと望んでいる」という事を前提としています。子を持ちたくても「経済的に余裕がない」「仕事と子育ての両立が難しい」といった障害があり、その障害を取り除くことが少子化対策の主眼になってきました。

確かに多くの人は子を持ちたいと望んでおり、自分の遺伝子を残そうとする生物の基本的な欲求に根差しています。

しかし避妊や中絶の技術が発達した結果、こうした生物学的な仕組みは出産にはつながらなくなっています。つまり生物学的な動機付けは、少子化対策の基盤としては効力が弱まってきています。

子を持つことの動機づけとして、昔は経済的な動機付けも働いていました。年金制度が整備される前は、年老いて働けなくなったとき、老後の生活は自分の子に支えてもらう必要がありました。

年少時の死亡率が高かった時代には、子がいなくなる危険を避けるために多くの子をもうけていました。しかし現在は年金制度が整備され、子を持つ必要がなく年金が支えてくれます。つまり現在は経済的な動機付けも働かなくなっています。

この現在の年金の仕組みは、現役世代が支払っている保険料を原資にして、高齢者に年金を支給するという形になっています。子を育てるためには何千万円かの費用がかかりますが、子を持たない人はそれを自分のために使うことができます。

そして老後は他の人が何千万円かの費用をかけて育てた子供たちに生活を支えてもらっているといえます。

言い換えると、子を持つ人から子を持たない人への所得転移が生じていることになり、子を持たない人は子を持つ人に「ただ乗り」しているわけで、これは同義的な問題として捉えることもできます。

そこで経済的な動機付けが子を持つことを促進するように、社会制度を設計しなおす必要があります。効果が期待できる対策として、「子を持たない人には、社会保障(年金と健康保険)の保険料を増額する」という措置が考えられます。

現在は子を持たないことが経済的に有利になっていますが、子を持たない人の保険料が高くなり、子育ての費用と変わらなくなれば、子を持たないことの経済的な利点は消えます。

現実問題としては実現の可能性は低そうですが、この対策には予算措置を必要としないという利点もあり、年金制度と少子化問題の解決にも貢献しそうな気がします。

どうも日本には子供が欲しくてもできない家庭もあるといった反論がすぐに出て、こういった議論ができない風潮がありますが、そういった問題も含めて検討してほしいものです。


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