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殺虫剤の使用で蚊が増加

2019-07-10 10:38:41 | 自然
殺虫剤は蚊を減らすのに失敗しているどころか、天敵を殺してしまうことによって、むしろ蚊を繁栄させているかもしれません。

アメリカユタ州立大学の研究グループが、殺虫剤が生態系に与える影響について、新たな問題点を明らかにしています。調査はコスタリカで実施されました。そこに生息する蚊は、害虫駆除を目的とする一般的な薬剤に対して耐性を進化させていました。

一方蚊の天敵はそうした進化を遂げておらず、結果的に蚊の個体数を急増させてしまいました。研究グループは、人間の手が入っていないエリアよりも、農園にいるときの方が蚊に刺されることが多いことから、この調査に着手したようです。

まずブロメリアという植物に注目しましたが、これは米大陸の温暖な地域にみられる植物で、樹木や岩壁などに着生しています。重なり合った葉の中心に水がたまり、そこに蚊を含む多くの昆虫の幼虫が住んでおり、蚊の発生場所となっています。

グループは、殺虫剤が使用されていない森の中のブロメリアと、中には20年以上にわたって殺虫剤が散布されているという農園内のブロメリアを調べました。

コスタリカのオレンジ農園では、アブラムシを駆除するためにジメトエートという殺虫剤を使用していますが、この薬剤は他にも多くの昆虫を殺します。

調査によって分かったのは、殺虫剤が使用されているにもかかわらず、オレンジ農園には手つかずの森に比べて2倍もの蚊がいるという事でした。しかし蚊の幼虫の天敵であるイトトンボの幼虫は、農園では著しく少なくなっていました。

グループはこれらの蚊とイトトンボの幼虫を実験室に持ち帰り、様々な濃度のジメトエートにさらしてみました。農園の蚊は森の蚊に比べて10倍濃度のジメトエートに耐えられることが分かりました。一方で農園のイトトンボの幼虫にはそうした耐性はありませんでした。

昆虫研究者によると、この研究結果はさらに大きな図式の一部のようです。蚊の抑制が世界的に困難になっているのが現実のようです。

世界各地で、多くの一般的な殺虫剤に対して蚊が耐性を持つようになっており、特に危険な病気を媒介する種については懸念が大きいとしています。

耐性の進化は殺虫剤がもたらした不都合な結果のひとつにすぎず、他にも「競合解放」と呼ばれる現象があるようです。これは殺虫剤を耐え抜いた数少ない生き残りが、たった1世代で個体数を回復させるというものです。

今回の研究のように、人間の活動により生態系が乱され、人間の都合が悪い種が増えるという事はよくあるような気がします。このようなことは必要悪的な側面もあり、どう解決していくかは難しそうな気がします。


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