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老化した脳の神経回路を修復

2021-04-30 10:24:33 | 健康・医療
私の昔からの友人が認知症を発症してしまいました。

2,3年前から兆候はあったのですが、先日PCメールが開けなくなったという電話がありましたが、その理由も分からず全く同じ内容の電話が3回もかかってきたのです。

認知症ではないのですが加齢で衰えた脳の神経回路を修復させる受容体を突き止め、その仕組みを発見したと国立精神・神経医療センターなどの研究グループが発表しました。神経回路の機能を支える構造の「髄鞘」が脱落しても修復されるようです。

髄鞘は神経細胞で信号を伝える本体の「軸索」を取り囲む膜で、絶縁体の役目をして信号の高速伝達を支え神経細胞の健康維持に役立っています。髄鞘は「オリゴデンドロサイト」と呼ばれる細胞が神経細胞に巻き付いてできています。

加齢に伴ってオリゴデンドロサイトの前駆細胞は分化が難しくなり、髄鞘が修復しにくくなります。髄鞘の脱落は健康な高齢者でも見られ、この辺りの詳しい仕組みはよくわかっていないようです。

研究グループはマウスを使い、遺伝子の発現を調べる実験を行いました。その結果髄鞘が修復しやすい条件のオリゴデンドロサイトでは、「APJ受容体」が豊富に発現することを突きとめました。このAPJ受容体を欠損したマウスでは、髄鞘の脱落や運動機能の不調が見られました。

APJ受容体に結合する分子のひとつに、さまざまな臓器で作られるホルモンである「アペリン」がありますが、老齢のマウスでは体内のアペリンが減っていることが分かりました。多発性硬化症になったヒトの脳内のオリゴデンドロサイトにもAPJ受容体が発現していることも確認しました。

また培養細胞を用いた実験で、APJ受容体の活性化がヒトのオリゴデンドロサイトの分化も促すことを見出しています。一連の結果より髄鞘は、アペリンとAPJ受容体が働いて修復されることを発見し、脳の神経回路の修復力低下や、修復させる仕組みの一端が解明できました。

髄鞘の損傷は多発性硬化症のほか脊髄損傷、脳梗塞、アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症、統合失調症など幅広い疾患で起こると考えられています。

髄鞘を修復させる治療薬はまだありませんが、アペリンやAPJ受容体の働きを調べれば、将来的にこうした疾患の治療薬の開発や、高齢者の脳機能向上に役立つ可能性があるとしています。

研究グループはアペリンは脳の外で作られており、脳の研究は脳内に特化した話が多いが様々な疾患などで起こる脳と他の臓器の関係性は非常に興味深いと述べています。

今回の発見はすぐに修復に使用する治療薬に結びつくものではありませんが、脳の神経回路の解明が進めば新たな脳疾患の対処法につながるような気もします。


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