ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「心臓の肥満」という中性脂肪蓄積心筋血管症

2022-06-15 10:26:32 | 健康・医療
私はいわゆるやせ型体系なのですが、数年前からへその下部のお腹がポッコリしてきました。特に夕食後風呂に入るときなどやや目立つのですが、これも中性脂肪の蓄積かもしれません。

こういった中性脂肪が心臓や血管に溜まり、重い心不全や狭心症を引き起こす病気があるようです。「中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)」と呼ばれ、近年診断基準が作られ病気の進行を止めて回復を目指す薬の開発も進められています。

「心臓の肥満」とも呼ばれるこのTGCVは2008年に日本で発見されました。2020年末時点で診断された国内の患者は336人ですが、診断されていない事例も多いとみられ、患者数は数万人と推計されています。

中性脂肪は身体を動かすエネルギー源で心臓や肝臓、筋肉で多く消費されますが、これをうまく分解できないと心臓の筋肉や心臓の血液を送り込む冠動脈の細胞内にたまり、心臓の肥大や動脈硬化を引き起こします。

一般的な動脈硬化では動脈の内側にコレステロールが沈着していきますが、TGCVは血管の細胞内に中性脂肪が蓄積された結果、血管が厚くなって血液の通り道が狭くなります。

TGCVの患者は心不全や狭心症などの診断を受けているケースがあり、じっとしていても胸が痛み息苦しくなるなど、治療を繰り返しても改善が見られなければこの病気の可能性があります。

中性脂肪が蓄積するのは心臓だけではなく、骨格筋の細胞に中性脂肪がたまると全身のエネルギーが足りなくなり、疲れやすい、手足の先が冷たい、空腹や寒い時期がつらく感じるといった傾向も見られます。

このTGCVは血液検査では発見が難しく、細胞内に中性脂肪がたまっても血液に含まれる中性脂肪の値に直接影響しないためです。診断には心筋細胞内での中性脂肪の分解状況を、放射性医薬品を使って画像化する「心筋脂肪酸代謝シンチグラフィー」が重要となります。

この検査法はあまり聞いたこともありませんし、特殊な病院に行く必要がありそうですが、レントゲン検査で調べる方法もあるようです。TGCVになると、動脈硬化が進んだ冠動脈全体が枯れ枝のように細く映るのがポイントとしています。

最近では治療薬候補も見つかり、母乳に含まれる「カプリン酸」が心臓の細胞内にたまった中性脂肪を溶かし、細胞のエネルギー源になることが分かってきました。このカプリン酸の治療薬実用化に向けた臨床試験も行われているようです。

こういったTGCVのような診断者が少ない病気は、医師の中でも知れ渡っておらずなかなか見つけるのは難しいのかもしれません。

この治療薬が販売されるようになれば、広まっていく可能性もありますが、単なる中性脂肪の蓄積といった単純な病気も、場所によっては重篤な病につながることは知っておくべき事項なのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿