ごっとさんのブログ

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インスリンの新しい作用発見

2019-05-15 10:23:41 | 
インスリンは糖尿病治療に欠かせない物質ですが、ハーバード大学からこのインスリンの新しメカニズムが発表されました。

これはかなり専門的であり、私もよく理解できていない面もあるため、分かりにくい文章となってしまいました。

先進国の重大な健康問題のひとつである2型糖尿病は、大きく分けるとインスリン分泌の低下と、インスリンに対する細胞の反応性の低下(インスリン抵抗性)が組み合わさって起こります。

この結果糖代謝だけでなく、様々な代謝機能が変化した状態が起こって、色々な問題を引き起こします。これまでインスリンの多様な作用は、インスリンのシグナルを受けるチロシンキナーゼタイプの受容体だけを介して細胞の中に伝えられることが確認されています。

この時インスリンが受容体に結合したシグナルは、順々に下流の分子を活性化するカスケードを介して核内に伝えられます。もちろんこの経路は長年研究されており、その機能が覆ることはないのですが、これに加えてインスリン受容体自身が直接核に移動してきて遺伝子発現量を調節していることを発見しました。

以前からインスリン受容体が核内に直接移行する可能性は指摘されていました。研究グループは、細胞を溶解して核内タンパク質を調整する条件を工夫して、核内に存在するインスリン受容体がどの分子と結合しているかを調べ、まずインスリン受容体が転写を行うポリメラーゼ(PolⅡ)と直接結合していることを発見しました。

その他核内へどのように移行し、どの遺伝子の発現を調整しているか、これまでのシグナル経路とどこが違うのかを詳しく解析しました。

インスリン受容体は2種類のタンパク質からできていますが、それがそのまま核内に移行し、転写されている遺伝子応答モーター上でPolⅡ複合体の一部として働きます。

多くの遺伝子のプロモータ―上に存在しますが、トップに来るのはインスリンが関わるとされてきた脂肪酸代謝に関わる遺伝子で、炭水化物の代謝に関わる遺伝子にはあまりかかわらないようです。

またインスリンが結合した時にだけ核内に移行し、転写量を促進します。この経路はインスリン抵抗性の肥満マウスでは大きく低下しているようです。その他新しい知見もあるのですが、今回発見されたメカニズムが基本的にどこが違うのかは、単に直接核内に入るだけのような気もします。

この新しいシグナルは、遺伝子のスイッチというより、発現の量を調節するダイアルのような役目をしています。肥満マウスを用いた実験から、いわゆるインスリン抵抗性がこの新しい経路にかかわることが示されたことは、糖尿病研究が新たな展開を見せるのではないかという期待もできそうです。

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