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細菌性食中毒「カンピロバクター」の正体

2022-09-13 10:38:51 | 健康・医療
私は小腹が空いたときなどに菓子パンの類を買っていますが、忘れて賞味期限を数日すぎてしまうことがありますが、食中毒にはなったことがありません。

今の包装の密閉度は非常に高いので、細菌が入る余地がないのかもしれません。食中毒の原因菌は1990年代ぐらいは「腸炎ビブリオ」が多かったのですが、現在は「カンピロバクター」が増えているようです。

実際はノロウイルスやアニサキスと首位の座を争っていますが、細菌では文句なしの第1位となっています。年間300件以上の食中毒が発生し、2000人以上の患者が出ているようです。

ただしこれは氷山の一角であり、集団食中毒しか集計していませんので、単純な下痢と吐き気で済む様な個人的あるいは家族の食中毒はもっと多いと考えられます。

カンピロバクターはグラム陰性菌の一種で、10μmほどの菌体が1〜3回ほどねじれて、らせん状になった「らせん菌」と呼ばれる形をしています。菌体の両端に1本ずつ鞭毛があり、その回転力を利用して菌全体をコルク抜きのように回転させながら、比較的粘度の高い溶液中でも力強く遊泳します。

わずかな菌数で感染するのが特徴で、標準的な食中毒菌の発症菌数が100万個であるのに対し、カンピロバクターはわずか500個で発症します。

他の菌なら食材を放置している間などに増えて発症菌数に達しますが、この菌の場合は少数の菌がいる部位がたまたま加熱不十分になっただけでも感染が成立します。この発症菌数の少なさで、感染源の特定が難しいことがよくあるようです。

もうひとつの特徴がこの菌の増殖スピードの遅さです。カンピロバクターは1回の分裂に2〜6時間かかり(大腸菌の場合は約20分)、感染してから実際に症状が表れるまで1〜7日かかります。この潜伏期間の長さのせいで、いつの食事が原因だったかが分かりにくくなるのです。

感染が成立するとカンピロバクターは腸の上皮細胞の表面に付着し、細胞内に侵入して粘膜上皮にダメージを与え、激しい腹痛や下痢などの腸炎症状を引き起こします。またカンピロバクターが作り出す毒素も見つかっており、細胞致死性毒素(Cdt)と呼ばれています。

この毒素の詳細は省略しますが、カンピロバクターの厄介なところがもうひとつあります。ほとんどが1週間ほどで治りますが、食中毒の2〜3週間後にギラン・バレー症候群という別の病気を発症することがあるようです。

最初は下肢に力が入らなくなり(弛緩性まひ)、急速に上方へと進行して歩行困難や四肢の麻痺、呼吸筋麻痺などを起こします。軽症ならば数週間で回復に向かいますが、15〜20%が重症化するといわれています。

この後遺症とカンピロバクターの関連はまだ不明な部分もあるようですが、たかが食中毒といっても結構怖いケースもあり、気を付けるべき問題のようです。


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