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破裂すると死に至る大動脈瘤

2020-09-01 10:29:16 | 健康・医療
大動脈が膨らんで瘤のようになる大動脈瘤は、破裂すると命にかかわります。

しかし瘤が破裂するまでは時間があり、自覚症状はほとんど出ません。何らかのきっかけで発見されても、治療にはリスクが伴うため治療のタイミングを見極めることが大切です。

大動脈とは心臓の上部から上に向かって出て、Uターンして下に向かい腹部に達する身体で一番太い血管のことです。その中で上に向かうのが上行大動脈、Uターンの部分が弓部大動脈、下に向かうのが下行大動脈(以上が胸部大動脈)、そして腹部大動脈につながります。

これらの大動脈の直径は通常2〜3センチですが、それ以上に瘤のように膨らんでしまうのが大動脈瘤です。動脈硬化が進むと硬く、もろくなるのは、脳や心臓の細い血管でも体の中心をとおる太い血管・大動脈でも同じです。

しかし細い血管は動脈硬化によってより細くなって詰まるのに対して、大動脈では逆に膨らんで瘤ができます。この大動脈が膨らむのかは、ほとんどは動脈硬化によってもろくなった血管が、血圧によって膨れたもののようです。

いったん膨らみ始めた血管は、進み方に差があるものの膨らみ続け、自然に元の太さに戻ることはありません。大動脈瘤が膨らみ続ければ破裂し、救命が困難なほどの大出血を起こします。

ここまで進めば激しい胸痛などを伴いますが、それまでは大動脈がいくら膨らんでも、特に自覚症状は出ません。遠位弓部の近くには、声帯をコントロールする神経が通っています。遠位弓部に瘤ができて膨らみ、この神経を圧迫すると声がかすれることがあります。

ごく稀ですが、このような声のかすれから大動脈瘤が見つかることがあるようです。自覚症状がないため、大動脈瘤は他の病気のために受けた胸部の検査から偶然見つかるケースがほとんどです。

胸部X線検査などで大動脈瘤が疑われる異常が見つかった場合、CT検査により診断が確定します。大動脈瘤は5.5センチを超えると破裂の危険性が急速に高まり、破裂せずに生存できる可能性が急速に低下します。

破裂の危険性は瘤の位置や状態などによって異なるため、治療の対象となる瘤の大きさは治療指針でも「5〜6センチ以上」と幅があります。大動脈瘤の治療には、合併症やさらには死亡のリスクも伴います。

このため破裂しない程度の瘤をやみくもに早めに治療することは、瘤の影響をなくすメリットより、治療に伴うリスクの方が大きくなりかねません。

この様にいろいろな面で怖い大動脈瘤ですが、当然薬もなくこれといった予防法もないようです。動脈硬化を防ぐ意味で、高血圧や糖尿病の治療や禁煙などが予防策となるのかもしれません。


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