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腫瘍内科と抗ガン剤

2020-02-16 10:44:49 | 健康・医療
現在のガン治療の標準治療は、手術と化学療法、放射線療法が三大療法となっています。

この内抗ガン剤治療(化学療法)は、副作用も強くあまり良いイメージがありませんが、これをコントロールして、患者に合った最適治療をするのが腫瘍内科医となっています。

多くのガン細胞はその場でじっととどまっているわけではなく、急速に細胞分裂を繰り返しながら増殖し、組織を突き破って血液やリンパの流れに乗って全身に移動しようとします。

手術で取り切ったと思われたガンが、ミクロレベルで血管やリンパ管に忍び込んで残っている場合があります。このガン細胞が手術後、数カ月〜数年後に全身をめぐり他の臓器で増殖し目に見えるレベルになることを再発や遠隔転移と呼びます。

このようにミクロレベルで残っているかもしれないガンや、遠隔転移を起こしたガンをやっつけるのが全身療法である抗ガン剤、薬物療法になります。抗ガン剤の使い方は、主に3つの方法があるようです。

1つ目は抗ガン剤だけでガンを治せる場合で、血液ガンや若者の胚細胞性腫瘍などに限ります。これらのガンは非常に進行が早いのですが、抗ガン剤が非常によく効くため抗ガン剤を積極的に使います。

2つ目は手術後(または術前)に投与することで、ガンの再発を予防し治癒率を高める場合で、放射線療法と併用して治癒率を高める場合もあります。術後治療が有効なガンには、乳ガンや卵巣ガン、大腸ガン、肺ガンなどがあります。

手術後に行う抗ガン剤は「念のために」とか「どちらでも良い」というものではなく、明らかに抗ガン剤の効果が証明されていて、再発予防が可能なガンで行うとされています。

3つ目は遠隔転移を起こしたガンに使う場合で、全てのガンでの進行ガン、再発ガンの治療に当てはまります。

発見された時点で遠隔転移をすでに起こしている場合、ステージ4となりますが、末期ガンであっても現代では全身療法である薬物療法を行うことにより、QOLを高めながらガンと共存することも可能になってきています。

こういった手術以外の治療を指導するのが腫瘍内科ですが、日本ではその存在感が薄いようです。2019年のデータによると、アメリカでは17,061人も腫瘍内科の専門医がいるのに対し、日本ではわずか1,329人という少なさです。

日本では専門医以外の医師が、ガイドラインに沿った治療を行うというのが現状のようです。私は抗ガン剤研究もやっていましたが、その効果にはやや疑問を持っています。それでもより効果的に使うためには、腫瘍内科医といった専門医の育成が必須なのかもしれません。


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