ごっとさんのブログ

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オミクロン株が重症化しにくいのは侵入経路の問題

2022-01-25 10:28:38 | 健康・医療
新型コロナの感染者数は、月曜日の最多を更新しており、まだまだ増加しそうな勢いです。

このオミクロン株は、重症化しにくい傾向があることが明らかになってきています。基礎研究からは、ウイルスが細胞の中へ侵入していく経路がオミクロン株で変わったという報告があり、これが重症度の違いに関わっているのではないかと注目されています。

イギリスグラスゴー大学などの研究チームが、オミクロン株が細胞に侵入する経路に、ある変化が起きていることの論文を公表しました。

新型コロナウイルスはヒトの細胞表面に結合した後、細胞の中に侵入して遺伝子を注入し増殖していきますが、その侵入の経路は少なくとも二つあるとされています。

ひとつ目は細胞表面にくっついたまま、ウイルスの表面と細胞表面の膜が融合する「早期」の侵入経路(1)です。もうひとつは細胞表面に結合した後袋のような構造に包まれながら細胞の内部に飲み込まれた後で、この袋の膜とウイルスの表面が融合する「後期」の侵入経路(2)です。

研究チームは後期である(2)の経路を阻害する薬剤を使い、新型コロナの「スパイクタンパク質」だけが本物の疑似ウイルスを使って実験しました。その結果主に早期である(1)の経路で侵入することが知られているアルファ株やデルタ株では、薬剤の影響はほとんど出ませんでした。

ところがオミクロン株では細胞への侵入効率が大きく落ち込み、オミクロン株が主に(2)の経路を使っていることの証拠と言えます。またイギリスの別のグループも、本物のデルタ株やオミクロン株を使って同様の結果を示す研究を公表しています。

このグループはさまざまな細胞でデルタ株とオミクロン株のどちらが増えやすいか競わせる実験を行い、ヒトの鼻腔の細胞ではオミクロン株の方が増えやすく、肺の細胞ではデルタ株の方が増えやすいことを報告しています。

これまでの別な研究でも、オミクロン株はデルタ株に比べ、肺で増殖しにくいという動物実験の結果が報告されています。こういったことからオミクロン株に感染しても重い肺炎になりにくく、重症化の報告が少ないのではないかとみられています。

オミクロン株が上記(2)の経路を使っていることは、感染した際の病態にも影響を及ぼすと考えられます。侵入経路が違うことで、ウイルスがどの組織の細胞に感染しやすいのかが違ってくる可能性があるようです。

こういった研究結果が出ているものの、重症度を評価するにあたってはワクチンの接種率が高くなっていることなども踏まえる必要があるとしています。

現在出ている報告はほとんどがオミクロン株は重症化しにくいとする方向であり、新型コロナが単なる風邪に近づいていることは確かなようです。