ごっとさんのブログ

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新型コロナと「日本脳炎ワクチン」

2020-11-29 10:25:51 | その他
日本では新型コロナウイルスの感染者数が累計で13万人を超え、このところ増加し続けています。

しかし死亡者数は2000人を超えてはいますが、人口100万人あたり15.7人と世界的に見て極めて少なくなっています。

累計患者数が1250万人を超え世界1位の米国では25万人以上が死亡していて、人口100万人あたり778.5人となっており、日本の死亡率は米国の50分の1ということになります。

なぜ日本では新型コロナによる死亡者が少ないのか、その要因は「ファクターX」といわれ、これまでBCGワクチン接種の影響、血圧を調整しているACE遺伝子のタイプの違いなどいくつも候補が上がっていますが、まだはっきりとは分かっていません。

そんな中新たな要素して、「フラビウイルス」が関わっているのではないかという説が出てきました。フラビウイルスはあまり聞いたことがありませんが、日本脳炎の病原体で蚊(主にコガタアカイエカ)によって媒介されます。

このウイルスに感染して日本脳炎を発症すると、45〜70%に重篤な後遺症が残り、20~40%が死亡するといわれています。日本では1960年代までに何度も流行したことから、ワクチン接種が普及しました。

この日本脳炎ワクチンが新型コロナにも有効な可能性があると説明しています。フラビウイルスはコロナウイルスと同じ「+鎖のRNAウイルス」です。

日本脳炎ワクチンによってフラビウイルスに対する免疫ができていると、新型コロナウイルスに対しても交差免疫が働き、重症化や死亡率を低減させるのではないかと考えられるようです。

日本と同じように日本脳炎ワクチンの予防接種が広く実施されている中国、韓国、ラオス、スリランカ、タイ、ベトナムなどは、実施していない国々とと比べて死亡率が低くなっています。

日本における日本脳炎ワクチンは、1954年から推奨接種が行われ、67年から76年には特別対応の予防接種、1995年からは集団接種から個別接種となっています。その後重篤な副作用との関連が指摘されたことで、2005年に接種が一時見合わせとなりましたが、安全性の高い新ワクチンが開発され、2010年からは接種の積極的勧奨が再開されています。

積極的勧奨の見合わせで接種を受けていないケースがあり、1996〜2007年度に生まれた世代は接種が不十分なようです。特徴的なことは、日本国内で北海道だけは長らく日本脳炎ワクチンの定期接種が行われていませんでした。

ウイルスを媒介する蚊が生息していないとされていたからです。北海道で定期接種が始まったのは2016年からで、それ以前の世代はフラビウイルスに対する免疫ができていません。

それでも北海道の新型コロナは若干多い程度ですので、日本脳炎ウイルス説を証明するほどではありません。

ファクターXが何であれ、日本の死亡率が低いことは良い傾向ですので、こういった研究の進展は興味が持たれます。