ごっとさんのブログ

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毒を持つ動物たちの戦略

2020-02-14 10:24:10 | 自然
毒を持つ動物というとフグを思い浮かべますが、人間はこの毒を除いて食べていますので、フグにとっては人間には毒の効果が出せないといえます。

自然界には多くの毒を持った生物がすんでいますが、その使い方の戦略は色々あるようです。一口に有毒といっても、触ると危ないのと噛まれるあるいは刺されると危ないのかは様々で、動物たちが自前の化学兵器をどう使うのかの戦術によって違うといえます。

スズメバチなど毒で攻撃する生き物は、その多くが牙や針、とげで別の生き物を傷つけ、毒を注ぎ込みます。一方攻撃しないタイプはもっと受け身で、たいてい皮膚に毒があり別の生き物に触られたり食べられたりした時に、有毒な分泌物が効果を発揮します。

天敵がその生物を食べると毒が身体をめぐり、一時的に具合が悪くなったり場合によっては死ぬこともあります。防御のために毒を持つ生物の多くは、自分では毒を作らず周囲の環境から材料を集めます。

フグの場合は海洋細菌からテトロドトキシンを得ており、オオカハマダラの幼虫は有毒なトウワタを食べ、成虫になっても天敵が食べると苦みを感じます。

毒を持つ生物は往々にして警告色をまとっており、その典型が中南米産の色鮮やかなヤドクガエルです。

世界屈指の強力な毒を持つ生物がコロンビアのフキヤガエルで、餌にしている小さな昆虫から取り込むらしいバトラコトキシンという毒を濃縮し、皮膚から分泌する毒の量は、数人分もの致死量になるとされています。

毒を攻撃に使う生物の場合、その生物自信が毒を作っていることが多いようです。こうした生物がよく使う方法がかみつくことで、例えばクモやヘビは牙から毒を流し込み、獲物の神経系・循環系を停止させてしまいます。

自然が発達させた巧妙な戦略は他にもあり、大型のコモドオオトカゲなど一部のトカゲは、有毒な唾液を持っています。海産のイモガイは歯舌が変化した毒入り突起で小さな獲物を捕らえますが、もっと大きな相手も殺せるだけの毒を出すことがあります。

針や刺を使って毒を注入する生物もおり、背びれの刺に強力な毒を潜ませているオニダルマオコゼや、細かい刺のある頭で毒入りの頭突き攻撃に出るカエルもいるようです。毒でダメージを与える第3のタイプもあるようです。

向かってくる敵に対して毒を投げつけたり噴射する生物がいます。刺激性のベンゾキノンを腹部から吹きだすミイデラゴミムシや、30センチ先の相手に毒腺からの毒を噴射する両生類、ファイアサラマンダーがここに入ります。

この様に自然界にはいろいろな毒を持った生物がいますので、珍しい生き物には触らない方が良さそうです。ただ私のような有機化学者にとっては、毒のある生物は新しい生理活性物質の宝庫ともいえるのですが。