ごっとさんのブログ

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慢性疲労症候群の薬を開発

2019-12-30 10:28:01 | 
激しい倦怠感や痛みが続く「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」の患者を対象に、理化学研究所や大阪市立大学などが、治療薬の開発に向けた世界初の臨床試験を始めました。

日常生活に支障をきたすほどの症状となりますが、今まで治療法はありませんでした。理化学研究所などの研究チームの研究で、患者の4割の脳で顕著な炎症が起きていることが分かっており、薬の安全性の検証や発症メカニズムの解明を目指します。

慢性疲労症候群は、健康だった人が突然強い疲労感に襲われ、微熱や筋肉痛、抑うつ症状などが長期にわたって続くようになります。治療法が定まっていない上に社会の理解が広がらず「なまけ病」といわれ傷つく患者も多いようです。

この慢性疲労症候群という病気は、聞いたことがある程度の認識でしたが、1984年アメリカネバダ州の村で、約200人の大人や子供が突然仕事や学校に行けなくなり、国の調査で明確な原因が見つからなかったため「症候群」という名前が付きました。

理研によると患者は、世界で1700万人以上で国内に30~40万人いると見られますが、確立された治療法はありません。日本では1989年に国内1例目が発見され、研究が進められてきました。

保険診療で認められている検査では異常が見つからず、心の病気と思われがちですが、精神科を受診しても病名がつかない場合が多いようです。研究チームは2014年に治療に向けた突破口となる研究成果を発表しました。

患者と健常者の脳内を比べたところ、患者には認知機能の低下や痛み、抑うつなどと相関関係がある偏桃体や視床、海馬に顕著な炎症があることが分かりました。これを足掛かりに今回臨床試験を始めました。

これまでに患者の男性19人と女性38人にPET検査(陽電子放射断層撮影)を行い、脳内に顕著な炎症がある人を抽出しました。このうち既に男性3人に投薬試験を始めています。

最終的には20年末ごろまでに計90人にPET検査をし、炎症が顕著な30人に投薬試験を行うことを目指しています。臨床試験では、投薬前に改めてPET検査をして血液や認知機能、自律神経機能などを調べます。

現在脳梗塞の後遺症などに使われている既存薬を計4か月投与し、再び検査をして炎症や症状が和らいでいるかを確かめるそうです。この様に現在は既存薬を使用していますが、この効果が実証されれば、各症状に特化した新薬を開発できる可能性があるとしています。

まだ試験規模は小さいのですが、今まで全く治療法がなくいわば放置されてきた患者にとっては、治療法の可能性が出てきたことは重要であり、良い結果が出ることを期待しています。