ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガン治療革命続々 今後の希望・展望

2016-11-28 10:45:35 | 健康・医療
ガン治療革命の話をいろいろ書いてきましたが、従来のようにガンを発症した臓器の病気ととらえるのではなく、どこの遺伝子が変異したかで治療法を決めるというのが、まさに革命的なことだと感じています。

このためスクラムジャパンという大きなプロジェクトが動き、全国の多くの患者のガン細胞の遺伝子解析が行われています。この一つの細胞の遺伝子を解析するには、約40万円程度かかるようですので、このようなプロジェクトが必要となってきます。

それでもまだこの治療法が一般的になるまでには課題が多く残っています。医療費の問題がその一つで、分子標的薬が高価になってしまうのは前回書きました。

さらに現在の精度では、抗ガン剤の開発は特定のガン種ごとに申請するようになっており、肺ガン用とか胃ガン用とかが決まってしまいます。ですから肝臓ガンに肺ガン用の薬を使うと、保険適用外となってしまうのです。この辺りは日本の医療制度の根幹にかかわる問題ですので、そう簡単に変更はできないかもしれませんが、早急に対策を望むところです。

最近オプジーボという高額の抗ガン剤が、薬価を半分にするということで話題となっています。この薬は免疫チェックポイント阻害剤といわれるように、ガン細胞が免疫の攻撃を受けないようにするシステムを阻害するという、新しいメカニズムであり、年間の治療費が3000万を超すということで注目を集めたようです。

オプジーボは開発当初メラノーマの治療薬として申請され、このガンはそれほど患者数が多くないため、高額な薬価が認められたようです。それが肺ガンの一部にも適用が拡大され、患者数が増えたため医療費が問題となったようです。

この薬は夢の新薬的表現がされていますが、私はその作用メカニズムから、本当にガンに有効なのか、また重篤な副作用が出ないか疑問に思っています。これも抗体医薬ですが、こういったタンパク質を薬として使う場合は、それほど安価にすることは難しいと思われます。

遺伝子が変異し、それによって作られたタンパク質がガン化を引き起こしているのであれば、そのタンパク質の機能を阻害する低分子化合物の探索が必要です。現在使用されている医薬品のほぼすべてが低分子化合物で、その大部分は酵素や受容体というタンパク質をターゲットとしています。

このようなガン化に関連するタンパク質の機能阻害剤は、多くの製薬会社でやっているはずですが、まだそういった情報は入っていません。難しい課題なのかもしれませんが、治療革命には必須なことと考えています。