ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

石炭から直接メタンを生成

2016-11-04 11:53:48 | 自然
産業技術総合研究所の地質調査総合センターなどの研究グループが、石炭から直接メタンを生成する菌を発見しました。

石炭からといっても、すべてではなく石炭中に含まれるメトキシ芳香族化合物を分解するメタン生産菌のようです。石炭層にはコールベットメタンと呼ばれる層が存在し、この利用開発が世界各国で進められています。

コールベットメタンというのはイメージとしてよくわかりませんが、炭層ガスとも呼ばれ石炭中に含まれるガス層のようです。これは数千万年という時間軸の中で形成され、その中には微生物により作られたメタンも多く含まれていると推定されています。しかし実際にどのような微生物が、石炭中のどのような有機物からメタンを生成するのかは不明のままでした。

今回、研究グループは深部地下から獲得したメタン生成菌が、従来のメタン生成菌の能力を超越して、石炭中のメトキシ芳香族化合物から直接メタンを生成できることを発見し、コールベッドメタンの形成メカニズムの解明近づいたとしています。

既知のメタン生成菌が利用できる基質は、水素と二酸化炭素、酢酸、メタノールなどのメチル化合物、といった単純な化合物に限られていて、メトキシ芳香族化合物のような比較的炭素数の多い化合物から直接メタンを生成できるメタン生成菌の発見は今回が初めてのようです。

この新規メタン生成経路の詳細については未だ研究中ですが、今のところ、二酸化炭素還元経路と酢酸分解経路が混合し、並列して進行する新しいメタン生成経路である可能性があるようです。

メトキシ芳香族化合物は石炭だけでなく堆積物中の有機物で最も多いケロジェンにも含まれるため、今回発見したメトキシ芳香族化合物を利用するメタン生成菌は、石炭層だけでなく地下の天然ガス資源の形成に貢献している可能性があるとしています。

現在こういった天然資源の開発が進んでいるようですが、もう掘りつくされたような感じのある石炭も、まだまだ豊富に眠っているようです。現在はいわゆるガス田として、まとまった形で存在する天然ガスだけではなく、堆積物などから天然ガスを取り出す技術なども開発されており、これからは新しい天然資源の探索も進みそうです。

今回の新しいメタン生産菌の発見は、新しい資源利用に結びつくとは思えませんが、色々なところで微生物が働いているというのは面白いことだと感じています。