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ごっとさんのブログ

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紅葉の話

2014-11-06 11:33:07 | 自然
紅葉の名所の話題が出ていますが、まだ自宅近辺はあまり色づいていません。
やや専門的になりますが、なぜ紅葉が起きるのかについて書きます。
木々の葉が緑いろなのは、葉緑素(クロロフィル)の緑色が出ているのです。葉緑素は炭酸ガスと水からグルコースを作る、光合成・炭酸同化作用を担っている非常に重要な器官です。広葉樹の葉緑素は、低温で壊れる性質を持っており、大体10℃から8℃以下とされています。ですから夜の気温が下がってくると、葉緑素が一気に分解し、緑色が失われるのです。

ではなぜ黄色や赤の鮮やかな色が出るのでしょうか。
葉緑素は、光合成をするためには、太陽の光エネルギーを利用していますが、化学反応のエネルギーとするには、光を一種の電気エネルギーに変換しています。これを反応点に持っていく電子伝達物質が必要となります。この役割を担っているのがカロテノイドといわれる物質で、大部分がカロチンです。ですから葉緑素の周りには、カロチンが適度に分布しているわけです。カロチンはビタミンAの原料ですので、人間にとっても重要な栄養素とされていますが、実際は非常にきれいな黄色の色素です。

余談ですが、カロチンが参加されるとアスタキサンチンなどになり、これは非常にきれいな赤になります。エビの赤やタイの赤色のもとになっています。昔タイの養殖で問題になったのは、天然のタイはカロチンを含んだ藻を食べてこれを使って赤くなるわけですが、養殖では人口餌ですので、赤色が出ませんでした。今はカロチンを含んだ餌にして解決しています。

あと葉緑素に含まれるものが、アントシアニン類です。アントシアニンは、ブルーべりーなどに含まれ、目に良いといわれており、青色のイメージがありますが、少し形が違うと鮮やかな赤色となり、葉緑素にはこのタイプが入っているのです。

葉緑素が壊れると、緑色が失われ、それまで緑に隠れていた、カロチンの黄色(銀杏など)が見えるようになったり、アントシアニンの赤(モミジなど)が見えるようになるわけです。ですから植物は秋になると色を付けるわけではなく、もともと光合成という重要な役割の一部を担っていた物質の色が見えるようになるのが紅葉です。
水分が不足して、葉緑素が徐々に壊れていくのがいわゆる枯色で、あまりきれいではありません。ですから水不足になる前に急激に気温が低下し、葉緑素がうまく壊れるときれいな紅葉になるわけです。

自宅の付近は、あまり急激に冷え込むことがないようですので、あまりきれいな紅葉にはならないようです。