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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ネコ腎臓病の治療法を開発

2021-07-19 10:25:07 | 
ネコは歳をとってくるとどうしても腎臓の機能が衰え、腎不全になってしまうようです。私の家のネコも何匹かはこの腎臓病で亡くなりました。

腎機能が衰えてくると最初の兆候として水を多く飲むようになり、尿も増えてくるようです。家のネコのうち推定15歳のライオン丸が少し前からこういった傾向が出て心配しています。

このネコはマーキングを時々するのですが、この尿の匂いも薄くなってきたような気がします。先日血液検査をしましたが、腎臓の値は悪くないのですが、危ない兆候が出ても何の治療もできないというのが現状です。

東京大学の研究グループが、このネコの腎臓病の治療法を開発したと発表しました。この研究グループは人間の血液中に高い濃度で含まれているタンパク質を発見し、「AIM」と名付けています。AIMはマクロファージを死にくくし、元気にするという意味の英語の頭文字としています。

人間の身体には、体内に侵入した細菌や異物を食べて、病気にならないように守る免疫細胞がありこれがマクロファージです。人間以外の動物を調べると、ネコだけがこのAIMを持っていませんでした。

正確にはこのタンパク質はあるが正常に機能していないということのようです。そこでこのAIMがないことがネコの腎臓病の原因ではないかと考えたわけです。

腎臓で血液の中の老廃物をろ過して尿として体外に出していますが、多くの腎臓病はその尿の通り道の最初の部分がゴミで詰まってしまい、腎臓が徐々に壊れていくために起こります。しかしAIMが正常に働いていれば、そういった詰りはその都度AIMが解消しているようです。

そこでAIMが機能していないネコにきちんと機能するAIMを投与すると、腎臓病にならず長生きできるとしています。獣医師によれば、ネコの平均寿命の2倍、最長で30歳くらいまで生きるようになるとしていますが、そこまで伸びるのか実験で確認しているわけではないようです。

しかしこのAIMをネコの治療薬とするにはいろいろ問題があります。まずAIMはタンパク質ですので、化学合成はできず培養細胞に作らせて複雑な精製工程を経ることになります。そのため労力とコストが高くなり治験薬を国から承認を受けるまで多額の資金が必要となるわけです。

これをいかに安く作り、安価な薬とできるかが大きな課題のようです。ネコには保険がありませんので、高価な薬では飼い主の負担が大きくなりすぎるわけです。

それでもネコが腎臓病になると、食欲がなくなり皮下点滴などすると少しは食べるという非常に長い経過を経て亡くなります。

治療法が出てくるというのは少々高くても飼い主にとっては朗報と言えるのかもしれません。

ネコの腎性貧血治療薬を開発

2021-05-22 10:27:28 | 
ネコは高齢になると腎臓が悪くなり、食欲がなくなって死に至ることが多いようです。

私の家の多くのネコもこの腎不全によって亡くなってしまいました。現在はこの治療薬がなく、獣医さんによると皮下点滴により老廃物を出してやるのが唯一の治療法としています。

家でもこの皮下点滴をやっていましたが、腎機能が低下している以上尿の量を増やしてもあまり意味が無いような気がしていました。

最近このネコの腎性貧血治療薬が開発されそうです。科学技術振興機構は、化学企業のカネカに委託した猫用の腎性貧血治療薬の生産技術開発に成功したと発表しました。カネカは技術を国内の動物医薬品企業に供与し、国の承認を経て1〜2年後に製造販売される見込みのようです。

高齢のネコに多い慢性腎不全から生じる貧血の初期段階から継続投与できるため、食欲が低下し元気がなくなる症状の改善が進むと期待されています。腎機能が低下すると、腎臓で分泌されて骨髄で赤血球の生産を促すホルモンである「エリスロポエチン」が減り、腎性貧血となります。

人間の場合は、ヒトのエリスロポエチンを遺伝子組み換え技術を使って動物の細胞で生産した治療薬があります。ネコの腎性貧血治療にもヒトのエリスポエチンが使われますが、アレルギー反応などの副作用があり末期に数回しか投与できませんでした。

私はこのエリスロポエチンは使ったことがありませんが、普通の動物病院では使用していないのかもしれません。ひとつにはこういったタンパク製剤はかなり高価になるため、保険が無いペットは全額負担となりますので、かなり高価になってしまうのかもしれません。

さて科学技術振興機構は、ネコのエリスロポエチンを生産して治療薬にするため、当時名古屋大学や愛知工業大学の研究成果に基づき、2011年からカネカに技術開発を委託しました。エリスロポエチンを生み出す遺伝子を、ウイルスを利用してニワトリの有精卵に注入します。

この遺伝子は卵白を作るメスの輸卵管のみで働くよう工夫がしてあり、卵からかえったメスが成長して無精卵を生むと、卵白に猫のエリスロポエチンが含まれるようになります。

精製して治療薬にする際には、ネコの体内で分解が遅くなり、薬効が長続きするよう医薬品用の高分子化合物を結合させています。実験では60匹に投与すると、22匹で赤血球が増える効果がありました。

家では高齢猫が多く、血液検査で腎機能が低下しているネコもいますので、実用化されれば使ってみたいのですが、このネコ用エリスロポエチンが腎機能を回復させるのでなければ、単に延命的な治療になりそうな気もします。

ネコの「ゴロゴロ」のメカニズムと目的は

2021-03-11 10:28:16 | 
家にはいろいろな猫がいますが、撫でたり触ったりして「ゴロゴロ」が聞こえると本当に癒された気持ちになります。

ネコがどうやってゴロゴロという音を出すのか、なぜその音を出すのかは不思議に思っていましたが、どうもまだよくは解明されていないようです。

ネコのゴロゴロについての解説記事が出ていましたが、色々やられている割にはスッキリ解決するところまで至っていません。私は寝るときには必ずコブンというネコが枕元に来て、そのゴロゴロを聴きながら寝ています。

どうもネコは寝てしまうとゴロゴロいわなくなり、また触ってやるといいだしますので、起きているときだけの現象のようです。

さて解説によればネコ科はネコ亜科とヒョウ亜科に分類され、ネコ亜科に普通のネコやヤマネコ、チーターなどが含まれ、ヒョウ亜科にはライオン、トラ、ヒョウなどの大型動物が含まれます。

このライオンやトラなど咆哮できる大型のヒョウ亜科もゴロゴロを出すことがありますが、ネコ亜科のゴロゴロとは異なった音声の出し方になります。ライオンなどは咆哮することができますが、ネコ亜科は咆哮する代わりにゴロゴロを発するという説もあるようです。

ネコなどは呼吸で息を吐くときと吸うときにゴロゴロを出しますが、ライオンなどでは呼吸を吐くときにしかゴロゴロが出ないとされています。小型のネコはゴロゴロをどうやって出しているのか、またライオンなどと解剖学的にどう違うのかは長く論争になっていました。

ゴロゴロの発生メカニズムついて多くの仮説がありますが、どうやら喉の構造の違いによって生じるという説が有力になっています。この解剖学的な差異について詳しく説明されていますが、専門的でありゴロゴロの発生と結びつかない様な気もしますのでここでは省略します。

咽頭マヒのネコではゴロゴロを発することができないことから、ゴロゴロは筋肉のけいれんや収縮ではなく、咽頭の声帯で発生させているのではないかという説もあります。

確かにゴロゴロいっているネコの喉を触ると、声帯当りが震えているのを感じますので、この説はあたっているのかもしれません。

ゴロゴロの周期と筋電位を測定する筋電図の規則的なパターンを比べた研究によれば、咽頭の筋肉と呼気による横隔膜の非同期的な動きによってゴロゴロが発生するようです。

またネコは快適で安心した状態の時にゴロゴロを出し、呼吸数は93%増え、音の周波数は26.3ヘルツ程度というデータも出ています。この様にいろいろな研究は行われているのですが、まだ仮説に留まっているようです。

ネコは何のためにゴロゴロいうのかなども調べられていますが、これも解明されていません。まあネコが気持ちよさそうにゴロゴロいうのを見て、癒された気分になるので十分なのかもしれません。

獣医師の珍しい有効な治療法

2021-02-23 10:03:12 | 
昨日が猫の日ということもあり久しぶりにネコの話ですが、コブンというネコが甲状腺機能亢進症になってしまったことはこのブログでも書いています。

コブンはもう15歳ですが、ネコは高齢になり病気があったりすると口の中が赤くはれる口内炎か歯肉炎になることが多くなってしまいます。

この対処法としてはステロイドを飲ませたり、ぐらぐらになった歯を抜くぐらいしかありませんでした。家でも腎臓が悪くなったネコなどこの症状が出て、ただでさえ食欲がないのに全く食べなくなってしまったことが何度かあります。

今年に入ってからコブンにこの症状が出てしまいました。食べる気はあるのですが、口の中に入ると痛いようで食べながら「ギャー」と鳴いたりしていました。

当然獣医さんに連れて行ったのですが、麻酔をかけて歯を抜くしかないといわれ、もう高齢であることから麻酔で命を失うことがあると警告されていました。

コブンの甲状腺機能亢進症は徐々に体重が減ってくるのですが、最大で6キロ近くあったのが現在では3.8キロまでやせ、ガリガリになってしまいました。エサを食べようとはするのですが、口の中にあまり入らず痩せ方がひどくなってきてしまいました。

処方されたステロイドを飲ませても、ほとんど状況は変わらずかなり弱ってきた感じで自分の寝床からあまり出なくなってしまいました。

この少し前に家から車で10分もかからないところに新しい動物病院ができましたので、藁にもすがる思いでその病院に連れていきました。若い先生でしたが今までの血液検査結果を見て、同じように薬を飲ませることになりました。

口の中はちょっと見ただけで歯を抜いても良くならないからといって、歯茎に直接注射をしてくれました。今まで多くの獣医さんに行っていましたが、歯茎に注射という治療は初めてでした。

この獣医師は口腔外科が専門のようで、最近出てきた治療法とのことでした。コブンは大変だったかもしれませんが、帰ってしばらくすると痛みがなくなったのかかなりたくさん食べていました。

その後の行動はすっかり元気になり、あまり自分の寝床では寝ずいつものコブンらしくうろうろいたずらをしていました。そして3日後に体重を測ってみると、病院で3.75キロだったものが何と4.0キロに復活していました。

コブンは甲状腺の病気が分かって以来徐々に体重は減少して、増えるということは一度もなかったのに、やはり普通に食べられるということは大きな変化のようです。

やはり獣医の世界でも新しい治療法や薬も出ているようで、若い医師ということで少し不安視していましたが治療してもらって本当に良かったと感謝しています。

猫はなぜマタタビに惹かれるのか

2021-01-29 10:21:17 | 
ネコにマタタビを与えると身体をスリスリこすりつけたり、舌でぺろぺろとなめ恍惚とした感じになります。

江戸時代にはすでに知られていたネコにまつわる謎の答えを岩手大学や京都大学などの研究チームが実験で突き止めたという記事が朝日新聞に掲載されていました。

これによるとマタタビに蚊を寄せ付けない成分が含まれ、それを体につけるためにだとしていますが、家の猫達を見ていると少し違った感じもします。マタタビに対するネコの行動はなめることが主体であり、あまり体につけるためという感じはしていませんでした。

マタタビはつる性の植物で、ネコが匂いをかいだ時の反応は江戸時代の浮世絵にも描かれています。「ネコにマタタビ」ということわざやマタタビ入りの猫用おもちゃがあるなど、ネコ科の動物の特徴として知られています。

古くから知られている割には、この反応の理由は詳しく分かっていなかったようです。マタタビには「マタタビオール」という化合物が含まれていることは分かっていましたが、ヒトの血流改善などはあるもののネコには作用しないようです。

研究チームはマタタビの葉をすりつぶして、含まれている成分を分離し、1種類ずつ猫に匂いをかがせてみました。この内「ネペタラクトール」という成分に反応を示すことが分かりました。またこの時のネコの反応は、ネペタラクトールを体につけるためだと分かりました。

ほかのネコ科の動物でも同じ反応があるか確かめるため、天王寺動物園などの協力を得て、ジャガーやアムールヒョウ、シベリヤオオヤマネコにネペタラクトールを嗅がせたところ、ネコと同じ反応を見せたようです。

なおネペタラクトールはテルペンといわれる炭素数10個の化合物で、不斉炭素を多く持っています。研究チームはネペタラクトールの性質を調べ、蚊を寄せ付けない効果を持つことを突き止めました。

ネコの頭に塗って蚊を30匹放つ実験をしたところ、蚊が頭に泊まる数は何も塗らない場合と比べて半減しました。研究チームはマタタビ反応が寄生虫やフィラリアや病気を運ぶ蚊から身を守る重要な行動だと結論付けました。

蚊よけの目的と、ネコがマタタビで酔ったようになる陶酔状態の関連性は分かっていませんが、ネコがマタタビをかいたときの脳内の状態を血液検査で調べ、いわゆる脳内麻薬の濃度が上がっていることを確かめています。

前述のようにマタタビに対するネコの行動は、なめることによって陶酔状態になることの方が大きいような気がしますが、今回見出されたネペタラクトールだけでもこういった行動となるのかはよく分かりませんでした。

マタタビはネコの爪とぎ板を買うとついてきますので、本当に体にこすりつけているのかどうか観察してみることにします。