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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

強い酒をお湯や水で割って飲む文化は焼酎から

2022-03-25 10:25:45 | グルメ
私が勤務していた会社は飲料用アルコールの大手製造を行っていましたので、日本酒は作っていませんでしたが焼酎の製造販売を行っていました。

しかし残念ながらこの焼酎はあまりうまくなく、ほとんど飲んだことはありません。私が退職する少し前に当社はこの酒類事業から撤退し、ヒトも含めて大手酒造会社に売却してしまいました。

それでも当時の焼酎の銘柄名はそのまま残っており、スーパーなどでこの名前を見ると懐かしい感じがします。

さて現在の強い酒などをお湯や水で割って飲む文化は、この焼酎が起源となっているようです。かつて焼酎は「強い酒」と思われてきましたが、この常識が覆ったのは昭和50年代初頭からのお湯割りの飲みかたが広まってからのことです。

これを歴史的に見ると、明治時代の製法では芋焼酎はアルコール度が低い焼酎しか作れず、米焼酎や泡盛が35度ぐらいなのに20度ぐらいのものでした。

これはストレートで飲んでも米焼酎よりずっと低いのですが、芋焼酎を作っていた薩摩の人たちはこれくらいの濃度の焼酎を飲みなれていたのです。これが大正から昭和の時代になると、芋焼酎の醸造法が大きく変わり、高濃度の芋焼酎が作れるようになりました。

そこで低濃度の芋焼酎になれていた薩摩では、芋焼酎がお湯割りで飲まれるようになりました。この時水割りではなくお湯割りだったのは、水を加えることによるアルコール濃度の低下や温度の低下によって、芋焼酎に含まれる不飽和脂肪酸のエステルが溶けきれなくなって白濁し、べたつき感が感じられたためとされています。

現在は過剰量の白濁成分をろ過により除去して商品化しているため、水割りでも美味しく飲むことができるようになっています。これが広がり現在では芋焼酎に限らず、水割りやお湯割りで飲むことが一般的になり、この「割って飲む」文化が焼酎らしさの原点をなしていると考えられるようです。

焼酎の飲みかたでは「ロクヨン(焼酎6にお湯4)」という言葉が聞かれますが、25度焼酎のロクヨンのアルコール度数は15%です。焼酎は蒸留酒でありながら、清酒やワインと同じかそれより低いアルコール度で飲まれています。

この低濃度であることが繊細な和食の風味を損なわず、脂っこい料理にもよく合う食中酒としての万能性を備えているとしています。また焼酎の酔い覚めの良さも、蒸留酒であることと低アルコールで飲まれることに由来しています。

焼酎の良さとしては、糖質やプリン体が少ないなどいろいろ宣伝されており、健康にも役立つという報告もあるようです。私は風呂上りにウイスキーや焼酎、近頃は自家製梅酒の水割りを飲んでいますが、確かに文化といってよいほどに定着しています。

別に焼酎にこだわっていませんが、割って飲むという習慣は飲み過ぎという点でもよい効果を出しているのかもしれません。

日本の食文化の中心である「旨味」のはなし

2022-03-16 10:27:15 | グルメ
私は若いころから薄味が好きでしたが、塩味などの濃いものが嫌いというよりは、出汁の「旨味」を好んでいるのかもしれません。

日本人は昔から昆布や鰹節、シイタケなどからとっただしを料理に使ってきました。1907年に昆布の出汁に含まれるグルタミン酸がこの成分であることを発見し、それを旨味と名付けました。

この旨味は日本人にとっては基本的な味のひとつですが、海外では甘味、苦味、酸味、塩味のような基本味と捉えられていませんでした。それが変わり始めたのが、2000年ぐらいからの味覚受容体の発見です。

ヒトの場合は主に舌にある味蕾によって物の味を感じます。味蕾とは味を感じる味細胞が数十個集まっている器官ですが、この味細胞が味覚センサーとして機能するのは、そこにタンパク質分子である味覚受容体があるからです。

味覚受容体は味を構成する成分に反応する分子ですが、ひとつの味覚受容体が様々な味全てに応答するわけではなく、甘味には甘味受容体、苦味には苦み受容体と役割が決まっています。

こうした解析が進むなかで、T1R1/T1R3と呼ばれる味覚受容体が、ヒトでは旨味成分であるグルタミン酸によって強く活性化されることが2002年に分かりました。つまり旨味とは塩味などが混ざった味ではなく、特定の旨味受容体が応答する基本味であったことが判明しました。

昆布の旨味成分であるグルタミン酸はアミノ酸の一種ですが、鰹節の旨味成分はイノシン酸、干しシイタケの旨味はグアニル酸で、これらは核酸系の旨味物質であるヌクレオチドという化学物資です。

こういった核酸系の旨味成分は旨味受容体において、グルタミン酸などのアミノ酸とは異なる部位に結合し、受容体の活性を増強することが分かりました。

この分子メカニズムが解明されたのは2008年のことですが、日本人はこの現象を経験から知っており、合わせ出汁という調理法を古くから用いていました。

味覚受容体が発見され、その遺伝子情報が分かったことで、培養細胞にその遺伝子を導入することが可能になり、味覚受容体がどのような物質に反応するかという研究が加速しました。その結果ここ20年ほどの間に味覚のメカニズムが急速に解明されたのです。

この旨味受容体の解明は、味覚の基本味に旨味を加えただけではなく、生物の進化の解明にもつながっているようです。この味覚の変化によって食性が変わり、新たな進化をした生物は非常に多いと言われています。

私はこの日本の食文化であるだしを取るという調理法から出てきた旨味が、umamiとして基本味に認められたというのは非常にうれしいような気がしています。

コーヒー、紅茶で脳卒中や認知症のリスク軽減

2022-01-18 10:26:55 | グルメ
コーヒーは数多くの嗜好品の中でも確固たる地位を築いているような気がします。私も豆を挽いて入れるほどではないのですが、コーヒーが好きで1日何杯か飲んでいます。

昔はドリップで入れたりしていたのですが、ティーバック型のものに変わりだんだん簡略化してきました。缶コーヒーは別の飲物と思っていましたが、これも結構好きで外に出たときなどよく飲んでいます。

現在はペットボトル入りのコーヒーが予想外においしいことに気づき、どのメーカーが良いか比べているところです。

さてコーヒーが体に良いという研究は最近かなりの数発表されています。イギリスの健康な年配者が、定期的にコーヒー、紅茶を飲む習慣がある場合、脳卒中や認知症の発症リスクが少ないことが示唆された研究が発表されました。

中国を拠点とする研究者が、イギリスで行われた長期研究プロジェクトに着目しました。50〜74歳で過去に脳卒中、認知症を患ったことがない36万5千人を2020年まで11年以上経過観察したデータが見直されました。

この期間の病院の記録から認知症が5079件、脳卒中が10053件診断さていたことが分かりました。研究当初参加者はコーヒーや紅茶をどのくらいの頻度で飲んでいるかという質問に答えていて、1日に2〜3回、3~5回、あるいは4〜6回飲む習慣があると答えた人たちのグループと比べると、飲まないと答えた人に比べて、認知症が28%、脳卒中が32%低かったことが分かりました。

ただし研究者はこういった因果関係を証明したことにはならないことや、この調査に参加した志願者たちは健康な状態である人が多く、一般的な人の健康状態にそのまま当てはめることはできないことを認めています。

またあくまで食生活の一部を切り取ったものであり、習慣があると答えた人が11年間ライフスタイルを崩さなかったとは限りません。それでもこうした飲物が脳卒中のリスクに対してポジティブな影響を与えているという、以前からの研究を支持するものとなったようです。

コーヒーや紅茶が全体的な血管の機能を向上させるものと示唆しています。このことからコーヒーや紅茶を飲む習慣は、出血性脳卒中(血管が壊れて脳で出血が起きる)ではなく、特に虚血性脳卒中(血栓の閉塞により引き起こされる)のリスクを低下させるのに良い影響を与えるという理由が出てくるのかもしれません。

今回の研究はコーヒーや紅茶の適度な消費と認知症や脳卒中のリスクの関係性をサポートするものですが、この様な情報によって認知症や脳卒中の症状を改善できるかは明らかではありません。

この成果の信頼度は分かりませんが、好きで飲んでいるものに良い効果がある可能性があるだけでも良い結果といえるのかもしれません。

微生物が作り出す未来の食料

2021-12-10 10:25:35 | グルメ
日本では少子化が大きな問題となっていますが、世界全体では人口増加が続いており今後食糧難になることが指摘されています。

現在でも約8億人が栄養不良の状態にあるといわれており、食糧安全保障が今後重要な問題になることは確かです。

そのため近年では大豆などのタンパク質を肉に加工する人工肉などが、すでに実用化されつつあります。もっと効率の良い食料生産として、微生物を利用する方法が進展しているようです。

微生物を培養するためには、そのエサが必要であり、私の勤務していた会社では各種のアミノ酸を生産していますが、炭素源として廃糖蜜を使用しています。廃糖蜜は砂糖を作るための精製工程から出る廃液の一種ですので、有効利用といえますが資源としては限りがあります。

当社では微生物にタンパク質を作らせるという研究は、既に40年以上前に行っています。これは炭化水素資化性菌という微生物を使い、石油から作られる炭化水素をエサに培養し、菌体からタンパク質を簡単に取り出す技術も完成しました。

このタンパク質をどう加工すれば本物に近い食感が得られるかの研究で、官能試験に駆り出されこの肉を食べた記憶があります。

これは順調に実用化されるかと思っていましたが、メディアで取り上げられるとき「石油タンパク」という表現が使われました。これに対し消費者団体などから猛反発が出て、石油のような危険なものを食べることはできないとして中止になってしまいました。

それ以来微生物から肉を作るという研究は行っていませんが、広報の難しさを感じた事件でした。

さて最新の研究では、微生物から太陽光発電を活用することで、タンパク質を作ることができるようです。

ソーラーパネルからの電力と空気中の二酸化炭素を利用して微生物の燃料(エサ)を作り、それを使って微生物をバイオリアクター槽で培養し、乾燥したプロテインパウダーに加工する技術です。

このタンパク質の量は、ダイズなどの作物の10倍以上になるという研究結果が発表されました。これは大量の気候変動ガスや水質汚染を引き起こす畜産業とは対照的で、このシステムは環境にほとんど影響を与えません。

太陽電池と微生物を使ったプロセスでは、1ヘクタールあたり年間15トンのタンパク質を生産することができ、少なく見積もっても520人のヒトを養える量になるとしています。

これに対し同じ面積の畑から生産される大豆たんぱく質は1.1トンで、40人分の食料に留まるようです。この具体的な詳細は分かりませんが、今後の食糧不足を考えると、微生物によるタンパク質生産は必須の事業と思われます。

現在の加工技術があれば、微生物タンパク質と動物の肉と区別がつかないようになりそうですので、こういった食品が使われるのは時間の問題かもしれません。

カフェインの覚醒効果と認知機能

2021-06-29 10:34:24 | グルメ
私はコーヒーが好きでよく飲みますが、モーニングコーヒーというわけではなく何か飲物が欲しい時に飲む感じです。

最近コーヒー等に含まれているカフェインの効能についていろいろ報告されています。例えば心臓病や脳卒中を予防するほか、糖尿病の血糖値の改善や脂肪燃焼促進による肥満防止から、大腸ガンや肝臓ガンの予防効果があるとされています。

この辺りはどの程度信頼性があるのか分かりませんが、好きで飲んでいるコーヒーですので別にこういった効果を期待しているわけではありません。

最新の研究によると、カフェインを摂取しても認知機能は向上せず、覚醒はするものの睡眠不足によってミスが発生する可能性があると報告されています。

276人の被験者を対象としたこの研究では、さまざまな難易度の課題を、1起きている時、2実験室で徹夜した後、3家に帰って寝た後、という状況で完了する能力を比較しました。2番目の課題を行う前に、一部の被験者には200mgのカフェインを、その他の被験者にはプラセボを与えカフェインが睡眠不足による障害を軽減するのかの検証を行いました。

その結果カフェインはタスクを完了するのを助けてはいるが、睡眠不足のグループと比較してタスクの完成度を上げているわけではなかったようです。

研究グループによると、睡眠不足はどのタイプのタスクにおいてもパフォーマンスを低下させていますが、カフェインの摂取は、簡単なタスクを成功させる手助けになることが分かりました。

一方一連の手順を決められた順序で、漏れや繰り返しなく実行する手段においては、カフェインはほとんど影響がありませんでした。カフェインは目を覚まして作業に集中する能力を向上させるかもしれませんが、医療ミスなどの原因となるミスを防ぐ効果はあまり見られなかったようです。

実際に時間外の手術は、午前中の手術と比べて死亡率が高いことが判明しており、疲労が医療の結果に関与している可能性が示唆されています。睡眠不足がなぜ認知機能に影響するのかは不明なようですが、ワーキングメモリや注意力、意思決定力が低下することはよく知られています。

医療従事者や重要な意思決定をする人にとって、睡眠不足は大敵ということになります。職場でのパフォーマンスを上げるなら、カフェインよりも睡眠をとれる環境を用意する方が良さそうです。

カフェインは目を覚ましてくれる効果はあっても、認知能力は向上させてくれないので、結果は良くならないというのが結論となっています。

コーヒーですっきりしたような気分になっても、ミスが減るわけではないというのは当然のような気がします。