編集部2015年06月29日 18:00【詳報】集団的自衛権の行使は現行憲法の枠内〜安全保障法制で、西修・百地章の両教授が会見
ーフランスでは1789年に革命が起きて、奴隷は認めるべきでないという人権や自然権といった考え方も定義されました。それの延長である国連憲章の51条を読みます
と、安保理が議論することになっていますが、いま進められようとしている憲法解釈、安保法制によって、1930年代に起こったような侵略を起こすのではないかという懸念を持っている人もいます。(フランスの記者)
西教授:まず、憲法第9条をはっきり見ていただきたいと思います。第1項で、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定めております。まず憲法上、侵略戦争は絶対に致しません。
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百地教授:まず、西先生がおっしゃったことと重なりますけれども、国連憲章51条は個別的・集団的自衛権を認めております。これは、冷戦の中で、安全保障理事会に拒否権が認められてしまったので、もし紛争した場合は国連に提訴し、国連が対処することになっていたはずなんですが、冷戦が進行する中で出来ない場合が出てくる、そのときのために、個別的・集団的自衛権が認められたんです。我が国は国連加盟国の一員として当然その権利を行使する権利がある。なぜ日本が行使した場合だけ、侵略につながるんでしょうか。
次に、普通の国並みに防衛と安全を確保するために集団的自衛権を行使するのは当然のことであります。我が国は限定的行使にとどまっておりますが、フランスは全面的に行使することは認められております。そのフランスは侵略しないけれども、日本には侵略の可能性があるのではというのは、明らかに日本に対する不信感であって、私はとても受け入れられません。
ー(質問をした記者)フランス人は、フランスの憲法を尊重しますから、そこが違いではないかと思います。(笑)
両教授:それは日本人も同じです(笑)。
百地教授:まさに憲法を守っているから、こんなことしかできないわけです。つまり憲法を無視すれば大々的なことができるでしょう(笑)
まず、日本で問題になっているのは、、戦前のように侵略戦争をするか、ではなく、アメリカの侵略戦争に巻き込まれるのではないか、ということである。
ここらへん、認識のギャップがあるところは注目。
そして、百地教授が指摘している点も注目。
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フランスは侵略はしない、日本は侵略するおそれ
フランスは憲法を守っている、日本は守っていない
こういう発想の根底には彼らのなかに根深い人種差別意識があるのではないか、フランスで噴出する人種問題とつきあわせると、そのように疑ってかかるのは不合理ではないーーーしかも、一応記者というインテリのなかに。