HAYASHI-NO-KO

雑草三昧、時々独り言

カワラナデシコ 河原撫子

2005-06-16 | 夏 赤・桃色系

高校時代、列車通学(当時は電車通学、というよりも
客車列車が走っていたからそう言っていた)の仲間が大勢居た
大久保から通っていた、三井勝は丁寧な字を書いたし、詩人だった
その三井とは、彼の自宅近くの溜池や雑木林に踏み入って
何度も野の花、水辺の花を観察したものだった
二年の夏だったか、この河原撫子が咲く場所があると教えてもらって
何時もとは反対側、つまり国鉄・大久保駅の南、当時はまだまだ溜池が
幾つも残っていた辺りまで出かけた
とにかく強烈な真夏の太陽が照り付けていたし、むせ返るような草いきれで
花探しどころではなかったけれど、あちこちに可憐な薄桃色が咲いていた
突然彼が、「小西の家に行って、冷たい水貰ってくる」そう言って姿を消した
程なく、同窓生の小西が登場した
肝心の「冷たい水」は僕にはなかったけれど、不思議にこの花を見ると
思い浮かべてしまう懐かしいシーンである

高校卒業以来、三井とは会う機会は皆無だが、小西とはボタニカル・アートの
作品展に出かけたりすることもあって、最近「花」の繋がりが出来た
高校時代からは何十年も経っている
現在の大久保駅の南には、新幹線の高架が走り、明姫幹線が出来
神戸製鋼の移転後に再開発された一つの街が作られてかつての面影は残されていない

何処かに、河原撫子の花が咲いていないか、一度訪ねたいと思うのだけれど

☆後日談☆
ここに登場する三井は他界した。
小西は、ボタニカルアート界で大活躍している。
関東在住の頃に、神田・駿河台下の「文房堂」で開催されていた画展に
幾つかの作品を出しているから見に行こう…、小西さんも上京するから…と
高校時代の同窓に誘われて出掛けた。
卒業以来の対面だったけれど随分打ち解けた話が出来たのは
やはり同郷の、同窓だからだったし、当時始めていた「花の写真」も
大きな接点になり得たと今も思う。
それから数年で、私は明石に戻ったからますます植物との関わりと
ボタニカルアートとの関わりは強くなった。
詩人だった三井と訪れた大久保駅南のため池は
今は新しい町に生まれ変わってしまっているけれど
時折、酷暑の夏にはこの50年以上前のため池の堤体で見つけたカワラナデシコが浮かぶ。
小西は旦那を亡くした後も、西宮で生活し、多忙な毎日を送っている。
--2017年夏--


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