携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

ITU、第4世代携帯電話向けの周波数の追加配分で大筋合意 通信増に先手

2012-02-18 | LTE/4G/XGP



 国際電気通信連合(ITU)の世界無線通信会議は16日、光ファイバー並みの速度でデータ通信ができ、2015年にも実用化される見通しの第4世代(4G)の携帯電話向けに、使用できる周波数を追加配分することで大筋合意した。

 今後具体的な周波数帯を詰め、15年の同会議で正式決定する新規則に盛り込む。高性能の4G携帯電話が普及すると通信障害が起きる恐れもあるため、あらかじめ使用周波数を増やすことで先手を打つことにした。


●800MHz幅目指す

 15年の実用化が想定される4G携帯向けには、すでに3.4G~3.6GHzの200MHzの周波数が配分されている。

 ただ、4Gのスマートフォンの普及を狙う日米欧などの先進国が追加配分を提案し、アフリカなどの発展途上国もこれに同意した。どの程度の配分が実現するかは今後の交渉次第だが、日本政府は「800MHz幅の追加配分を目指す」としている。

 日本は国内の携帯電話会社に対する4G用周波数割り当てに、オークション方式とする方針。従来は総務省内の審議会で割り当てを決定していたが、審議過程が不透明との指摘を受け、15年の実用化までに競争入札方式を導入することにした。

 今回、ITUの会議が周波数の追加配分を決宗したことで、総務省が作業を進めている未利用周波数から転換する第4世代向け周波数がさらに拡大する。高騰が予想されたオークションの落札価格にも影響を与えることになりそう。

 1月23日に開幕した今回の会議には、約170カ国から3000人が参加。2月16日までに実質的な討議は終了し、17日に各国が合意文書に署名して閉幕する。


●回線逼迫緩和に期待

 スマートフォンの普及でデータ通信量が急速に増えトラブルが相次ぐ中、携帯電話会社は次世代携帯向け周波数の追加配分で回線の逼迫状況が緩和されることを期待している。

 NTTドコモの「Xi(クロッシィ)」など国内で順次サービスが始まった第3.9世代(3.9G)携帯電話は、2000年代に主流だった第3世代(3G)の5-10倍の通信速度がある。

 電波の利用効率が高いにも関わらず、スマートフォンの普及でむしろ電波が不足してきている。

 NTTドコモは15年までに3.9Gサービスで全国をカバーする計画だが、それでも「高速化だけでは増え続けるデータ通信量の半分程度しかさばけない」(山田隆持社長)状況。

 第4世代(4G)は規格上、3.9Gのさらに10倍以上の通信速度が出るため、電波の利用効率がさらに上がる。最近、ドコモやKDDIで通信障害が相次いだが、「現状の電波の逼迫緩和効果は見込める」(大手携帯電話会社)という。

 ただ、スマートフォンでパソコン並みの利用が可能になるため、現在のアプリより高機能のソフトの利用が広がる可能性がある。高速移動中の通信性能が高まり、電車などで動画をはじめとする大容量データを利用する人はさらに増える見通し。

 周波数を増やしても、電波の混雑問題はいずれ浮上するとの見方が出ている。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月17日(金)/1面」


最新の画像もっと見る