通信設備で世界3位の中国・華為技術(ファーウェイ)は今秋、日本にスマートフォンや通信設備の研究所を設立。
同5位の中国・中興通訊(ZTE)は年内に日本法人の開発陣を中心に要員を2倍に増やす。日本向けの機種を開発し、中国から輸出する構え。
規格の国際標準化が進んだスマートフォンは海外勢が参入しやすく、米アップルなどが高いシェアを持つ。コスト競争力の高い中国勢が加わり、一段と競争が激しくなりそう。
●進む端末の国際標準化
ファーウェイが設立する研究所は、神奈川県横須賀市付近など複数の立地を候補に最終調整している。日本の研究者を7割増の350人とし、日本向けのスマートフォンや基地局向けの通信設備を開発する。
国内携帯電話各社にスマートフォンを売り込むほか、NTTドコモの高速通信サービス「LTE」に対応した通信設備も手掛ける考え。
ZTEは、年内に日本法人の正社員を現在の2倍の100人程度まで拡大する予定。日本向け端末の開発力を強化し、「将来、日本に研究所を新設する構想もある(アレックス・ワン副社長)としている。
ファーウェイは2005年11月に日本法人を設立したが、日本での実績はイー・アクセス向けの携帯電話向け基地局など一部に限られる。
08年に日本に進出したZTEも、国内ではソフトバンクに簡易型の携帯電話端末などを納入しているが、日本での実績はまだ少ない。
両社はこれまで欧州や発展途上国を中心に事業を展開しており、独自仕様の携帯端末が普及する日本市場は手薄だった。
米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」の登場などで端末の国際標準化が進んだため、日本市場も攻略しやすくなったと判断した。
国内のスマートフォン市場では米アップル、サムスン電子の他、台湾のHTCなども販売を伸ばしており、国産勢は押され気味。コスト競争力、高い中国勢が攻勢をかければ、競争条件は一段と厳しくなりそう。
<2010年度国内スマートフォン出荷台数シェア>
※出荷台数:855万台
1位 米アップル:37.8%
2位 シャープ:24.3%
3位 英ソニー・エリクソン:9.8%
4位 韓サムスン電子:9.0%
5位 富士通:8.8%
6位 NECカシオ:3.2%
7位 その他:7.1%
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年7月5日(火)/11面」