電子情報技術産業協会(JEITA)が10日発表した1月の国内携帯電話出荷(PHSを含む)は、前年同月比8.7%増の208万1000台と、3カ月ぶりのプラスとなった。
ただ、08年秋から続いた世界同時不況の影響から、300万台割れの低水準。昨年4月から1月までの09年度累計でも、前年同期比14.6%減の2556万5000台と、依然2桁の減少となっている。
●新製品けん引役ならず
1月の携帯電話のみの出荷台数は8.6%増の203万2000台。このうち、ワンセグ対応製品は6.4%増の156万6000台で、搭載率は前月比3.2ポイント低下し77.1%だった。
「さまざまなニーズに対応した秋冬モデルの新製品も需要の牽引役となっていない。春モデル発売までの谷間の時期でもあることから依然300万台を割り込んでいる」
JEITAでは、引き続き国内景気後退の影響を受けていると指摘した上でこう分析している。
1月のPHS出荷は10.4%増の4万9000台で、2カ月連続でプラスとなった。携帯電話の出荷台数は、IT機器の中でも特に落ち込みが目立っている。
国内出荷台数は、昨年10月に前年同期比95%増と大幅に増加したものの、当時は前年同月が世界同時不況の影響を受けた最悪期だったことの反動という特殊要因だった。
今年1月は3カ月ぶりの増加に転じたものの、200万台割れに近づくなど「かなりよくない」(国内メーカー幹部)状態。
パソコン需要が昨年10月に発売された「ウィンドウズ7」効果もあって販売増の傾向にあるのとは対照的で、「景気の底打ち局面でも、携帯電話の需要回復のきっかけはみえない」という。
●海外勢に劣勢
大きな理由の一つは、海外メーカー製に押されているため。
電気通信事業者協会によると、新規契約数から解約を引いた純増数(PHSを含む)は1月に40万9200件の純増と、依然として契約台数は増えている。
JEITAの統計には米アップルのiPhoneなど海外製が含まれておらず、日本メーカーのシェアが低下している構図が透けてみえる。
日本の端末メーカーは「カメラ機能などの従来機能の強化が主眼」と、技術の陳腐化も指摘される。iPhoneのような新たなニーズを掘り起こす商品開発が求められている。
【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2009年3月11日(木)」