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世界のスマートフォン市場、ノキア首位転落 米アップルが首位、サムスンは2位に浮上

2011-08-06 | 市場動向/世界



 高成長が続く世界のスマートフォン市場で、メーカー間の好不調がはっきりしてきた。

 大手6社の4-6月期の販売台数が前年同期比53%増となる中、販売台数を2.4倍に伸ばした米アップルが首位に、6倍に伸ばした韓国サムスン電子が2位に浮上した。

 一方、首位から3位に後退したフィンランドのノキアは営業赤字に転落。日本勢を含めて中下位メーカーは戦略の見直しを迫られそう。


●強まる薄利多売傾向

 4-6月期のスマートフォンの世界販売は、前年同期との比較ができるアップル、サムスン、ノキア、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM、3-5月期)、台湾の宏達国際電子(HTC)、米モトローラ・モビリティーの6社合計で前年同期比53%増の8593万台だった。

 6社の全販売台数に占める割合は前年同期より13ポイント高い40%に上昇。1-3月期との比較でも2ポイント増えた。

 アップルは「iPhone4」の売れ行きが世界的に好調で、4-6月の販売台数は前年同期の2.4倍の2033万台に拡大、四半期ベースで初めて首位に躍り出た。

 サムスンは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した「ギャラクシー」などの販売を前年同期の6倍に増やし、アップルとの差を約110万台に縮めた。

 一方、独自のOSから米マイクロソフトのスマートフォン用OSに切り替える準備を進めているノキアは、販売台数が前年同期比34%減。4-6月期は約274億円の営業赤字に転落した。

 RIMもiPhoneなどに押されて「ブラックベリー」の販売が伸び悩み、3-5月期は15%の営業減益。

 東日本大震災で部品調達が滞って販売台数が想定を下回った英ソニー・エリクソンも、4-6月期は約41億円の営業赤字だった。

 スマートフォンは普及率の上昇とともに平均販売価格が下落傾向にあり、アンドロイドを搭載した製品が好調だったHTCも4-6月期は2年前に比べ約10ドル低い349ドル。RIMも「単価が下落した」。

 薄利多売の傾向が強まると事業規模で劣る中下位メーカーは収益確保が困難になり、戦略の見直しを迫られる企業も出てきそう。


●苦戦する日本勢

 スマートフォン市場での米アップルと韓国サムスン電子の攻勢は、日本にも及ぶ。

 従来は、電子決済の「おサイフケータイ」や携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」など日本固有機能への対応が進出の障壁となっていたが、世界共通OSを採用したスマートフォンが日本の利用者にも浸透。

 海外メーカーが参入しやすくなり、日本勢は苦戦している。MM総研の調査では、2010年度のスマートフォンの国内出荷台数に占めるアップルとサムスン電子のシェアは計46.8%。

 海外メーカーは世界規模で同じ端末を生産・販売している。「発注台数が増えるほど価格が安くなる」(NTTドコモの山田隆持社長)傾向にあり、コスト・価格面で優位に立てる。

 国内勢も海外展開で数量を確保しなければ厳しいが、現状は遅れている。

 国内シェア1位のシャープは北米に加え、08年に中国、10年にインドに進出したが、海外販売台数は年間119万台と国内を含む全体の12%程度。他の大手海外への本格展開はこれから。

 スマートフォンはパソコンと同様、共通OSの採用が進み端末で他社との違いを出すのが難しくなっている。


●さらなる再編も

 日本勢は国内で培った高精細液晶、薄型、防水・防じんなどを強みとしていく考えだが、巻き返しは容易ではない。

 アップルはiPhoneシリーズだけで快進撃を続け、サムスンも高精細の有機ELを搭載したスマートフォン「ギャラクシーS」で大ヒットを記録した。

 国内メーカーが新たな付加価値を提示して拡販できなければ、さらなる再編につながる可能性もある。




【記事引用】 「日本経済新聞/2011年8月6日(土)/9面」


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