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野口和彦(県女)のブログへようこそ

研究や教育等の記事を書いています。掲載内容は個人的見解であり、群馬県立女子大学の立場や意見を代表するものではありません。

ぐんま県民カレッジの講座

2016年09月13日 | 教育活動
先日、ぐんま県民カレッジの連携講座「群馬県立女子大学公開講座」として、「『正しいこと』と『正しくないこと』の見分け方―批判的思考のススメ―」と題する一般向けの講演を行いました。ここでは、物事を考える際に「批判的思考」を行うことの大切さを自戒も込めてお話しさせていただきました。当日は、多くの県民の方々に足を運んでいただき、拙い話を聞いていただきました。聴講していただきました皆さまにとって、私の講話が少しでも参考になれば幸いと思っています。




批判的思考に関心を持たれた方は、その実践方法でもある「問題解決方法」を説いた、素晴らしい本があるので、この場を借りて紹介します。『世界一やさしい問題解決の授業』です。中学生も読める分かりやすい内容ですが、中身は問題解決のエッセンスが凝縮された質の高い図書ですので、大人の方にもお勧めします。

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環境科学と国際関係

2016年08月11日 | 教育活動
地球環境問題は、今や国際関係や外交政策の最も重要な争点といえます。当然、国際関係論やそれに付随する科目でも、地球環境問題を取り上げるようになりました。もちろん、私も授業では、地球環境問題とりわけ「気候変動」や「地球温暖化」に言及することがあります。

とはいえ、「環境科学」の知識については、不安がありました。何しろ、こうした自然科学の分野は、高等学校卒業以降は、ほとんど本格的に勉強したことがないのですから。ですので、「環境科学」は、早いうちにキチンと勉強しなければいけないと、ここ数年間、ずーっと思っていました。もちろん、これまで環境問題を扱った国際関係の文献は、いくつも読みました。しかし、これで「環境科学」の基礎を体系的に理解できたわけではありません。

何とかしなければ…。そう切実に思っていたところ、環境科学の素晴らしい入門書に出会いました。藤倉良・藤倉まなみ編『文系のための環境科学入門(新版)』有斐閣、2016年です。



本書は、まさしく「タイトルに偽りなし」の内容です!第1に、説明が分かりやすい。ジャーゴン(難解な専門用語)や数式などを使わずに、地球温暖化などの環境問題を丁寧かつコンパクトに解説しています。第2に、データの使い方がうまいと思いました。本書では、データが多すぎず少なすぎず、読者の理解を促すのに効果がありそうな要所要所に、必要なものが提示されています。

たとえば、温室効果は、このように説明されています。

「地球にまったく大気がなく温室効果が存在しない場合を想定し…地表面の温度を計算すると、平均温度は-18℃にしかならない。実際には15℃なので、計算値より33℃高い。この差が温室効果の『総量』である」(182ページ)。

地球温暖化対策が進まないことの説明も秀逸です。

「科学的に不確実であり、理解しにくく、被害の実感がなく、対策の決定打がないということで、市民は何となく不安になるかもしれないが、生活に痛みを伴う施策を指示しようという気持ちにも至らない。不安感が高まらないので、政治家も自分の人気を下げることになりかねない対策をあえて実行しようとはしない」(190-191ページ)。

われわれが普通に会話で使う日常言語で、地球温暖化対策の難しさを見事に言い当てています。

地球温暖化の将来シナリオについては、不確実性から逃れられないとしながらも、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のシナリオを通して、われわれが実感しやすい未来予想の1つを示しています。

「IPCCの悲観的なシナリオが現実のものとなると、今世紀末…東京では…1年の3分の1近くの最高気温が30℃を超えることになる」(194ページ)。

そうなるとスキーシーズンは、ほんのわずかな期間になってしまいそうです…。


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グローバル講演会「大学における文系の学び」

2016年06月27日 | 教育活動
先日、群馬県立高崎女子高校にて、同校の1年生対象に、「大学における文系の学び―社会科学、ヒューマニティ、批判的思考―」をテーマとする講演会を行ってきました。



ここで私が同校の生徒さんたちに理解してもらいたかったことは、①「文系」=Humanities(人文科学)+Social Science(社会科学)であり、文系は科学ではないという「通念」は間違いであること、②「批判的思考(critical thinking)」が、大学の学びの核心の1つであることです。

私の講演が、生徒さんたちの進路選択に役立てば、嬉しく思います。

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特別講義「インド太平洋と海のシルクロード」

2016年06月20日 | 教育活動
今年度も、山本吉宣先生(新潟県立大学大学院研究科長・教授 元日本国際政治学会理事長)による「特別講義」を実施いたしました。タイトルは「インド太平洋と海のシルクロード」です。この講義では、先生の最新のご研究に基づき、インド太平洋概念と中国の提唱する「海のシルクロード」概念に対する関係諸国のスタンスや政治力学について、詳しいお話をいただきました。



なお、今回の講義の元となった山本先生のご高論は、PHP総研のウェブサイトからダウンロードできます。膨大な資料に基づく実証分析ですので、こうした問題に関心がある方には、きっと参考になると思います。

山本先生には、お暑い中、また、お忙しい中、群馬県立女子大学までご足労頂きましたことに、この場を借りて、御礼申し上げます。


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特別講義「グランドストラテジーの発想法」

2016年06月13日 | 教育活動
6月13日の「国際安全保障論」では、川崎剛先生(カナダ・サイモンフレーザー大学)をお招きした特別授業を行いました。タイトルは「グランドストラテジーの発想法」です。



日本では、「ストラテジー(戦略)」に関する文献は、いろいろとありますが、「グランドストラテジー(大戦略)」については、ほんの数えるほどしかないでしょう。厳しい国際政治の世界において、国家がどのように立ち振る舞ったらよいのか、その指針となるようなロジックを確立することは、とりわけ中国が台頭するパワー分布が急激に変化する東アジアにおいて、極めて重要だと思います。この理論と政策のギャップは、何とか埋めなくてはなりません。

この川崎先生の講義は、その意味で、安全保障研究という学術面でも、日本の対外政策という実践面でも、とても意義のある内容でした。なお、今回のご講義のベースとなる論考は、「国際権力政治の論理と日本」(原貴美恵編『「在外」日本人研究者がみた日本外交―現在・過去・未来―』藤原書店、2009年所収)として、既に公刊されてます。




ご興味・ご関心のある方は、ご一読されることをお勧めします。

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