花より団子
──の我が家には、当然のことながら花はありません。
ブラックバスを釣るなら、海へ行って食べれる魚を釣ってきてくれた方がありがたい。
花を育てるくらいなら、ネギやプチトマトを育てたい…というくらい、とても現実派。
えぇ。
もちろん、この私が、です。
名古屋では、店の開店に贈られた花を、ただの通行人が持って帰る…なんていうのが普通ですが、みんながみんなとは限らない。
その証拠に、育てる気どころか水を入れ替えて世話をする気のない私が、ここにいるんですから。
結婚式の披露宴でさえ、記念に…と言われて貰った花も、正直“無駄”でしたしね(笑)
そんな我が家に花があったら、そりゃもう、驚きますよ。
案の定、家に帰ってきた旦那がそれを見て固まった。
しかも、無言で言う。
「花がある…どうしたの?」
だから、説明しました。
「大福と散歩をしていたら、前を歩いてきた“おいちゃん”を大福がジッと見つめててさ…。近づいてきた“おいちゃん”が、無言で“はい、どうぞ”って、大福にくれたんさー」
そう。
単に、断れなかっただけ。
いくら花に興味がないとはいえ、こういう状況では断れません。
“ご自由にお持ちください”
──なら、素通りしちゃうけどねぇ…。
──ってなわけで、一輪挿しすらないので、
ビールの空き缶が花瓶代わりです。
ちなみに、それから数日後。
また、あの“おいちゃん”に会いました。
「花は(おうちに)いっぱいあるからあげようか?
こっちにおいでー」
──と、大福に言ってくれてましたが、親の私は笑ってごまかし。
大福もついて行こうとはしなかったので、そのまま散歩を続行しました。
ごめんね~、大福、おいちゃん。
花を愛でないおかあちゃんで…。