里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

このヤマセのダメージは如何ほどか

2020年07月16日 | 田んぼ

 当地方は完全なヤマセの気候になっています。
 今年のイネの生育は平年並みと言ったところで、見た目からは特段の変わりはありません。生育も揃っており、病気や虫も見られません。


 分けつは順調で茎数も十分確保できたので6月20日から中干しに入りましたが、曇天日と雨模様の日が多く中干しは不十分のまま終了し、7月4、5日には水を入れることとなりました。穂の元になる幼穂ができる時期に当たるからです。この幼穂が育つ時期はイネにとって最も大事な時期です。今月に入って日照は甚だ少なく雨が多い。
 大きく気候が変ったのは7月12日の日曜日から。
 それまでは悪天候でも気温は高かったのです。気圧配置が換わり、一転ヤマセの気候となりました。こうなると、当地方では悪天候イコール低温となります。低温注意報が発令されています。
 県の発表によれば7月7~10日に幼穂形成期に達したとのことです。ちなみに我が家の田んぼの茎を取り、老眼鏡をかけて茎を剥いてみると、辛うじて幼穂を確認できました。


この辺りは、平野部と比べると少々遅れるのですが、ほとんど幼穂が出来ていると思われます。


 この時期の低温による冷害は障害型冷害と言われます。幼穂はイネの赤ちゃんですから、最も弱く繊細なのです。とりわけ低温に弱いのが「減数分裂期」と言われる稲穂の花粉ができる時期。幼穂の長さで言うと3~12㎝、穂が出る10~15日前が、この「減数分裂期」に当たるとされます。早いものは入っていても不思議ありません。
 この時期に低温障害を受けると花粉ができないため穂が出ても実りません。当地方では通称「行灯(あんどん)穂」。穂が出ても穂が垂れず立ったまま透けて見えることから、こう呼ばれます。凶作となった平成5年、15年は大半がこのような穂となりました。
 目安は、一日の平均気温が20℃以下又は最低気温が17℃以下の日が数日続くと危険とされます。7月12日から5日間の気温は、完全にこの危険な気温に一致します。今朝の最低気温は15℃まで下がり、最高気温でも連日20℃に達しません。このヤマセのダメージは如何ほどなのか。
 昨年は7月5日頃から1週間ほどかなりの低温に遭いましたが、その後回復して事無きを得ました。
 今年はイネのステージから言うとより危険度が増しています。対策は、田んぼの水を深くして幼穂を守ることくらいです。

一番深く出来るこの田んぼでも深さ15㎝くらいが精一杯。


 週末から気温が少し上がってくると言う予報ですが、天に祈るしかありません。
 また、この時期は品質低下を招くカメムシ被害を回避するため、畦や土手の草刈りが必須です。雨に祟られつつもほぼ済ませました。


公道の法面も、都市部と違いそばの田んぼの所有者が刈り払うのが暗黙の了解事項。


 これで冷害の憂き目に遭えば哀れ。