そぞろ神の物につきて―日本列島徒歩の旅の記録

  (2008年 日本海側)
  (2011年 四国八十八ヶ所)
  (2014・15年 太平洋側)

徒歩の旅 第37日 京丹後市 あじわいの郷道の駅へ

2009年03月23日 | 2008年日本海側の旅
5月17(土) 快晴 (「城崎大会議館」~京丹後市     「 YURAPIA丹後あじわいの郷道の駅」 )



6時45分、宿の窓から見納めの山陰本線。いつの日にかまた。


8時35分、出発。温泉街の裏の木屋町通りを小さな流れに沿って下っていく。


「まんだら湯」は、わが愛誦する歌人、吉井勇の定宿だったそうである。
「夏はきぬ 相模の海の南風に わが瞳燃ゆ わがこころ燃ゆ」
「わが胸の 鼓のひびきたうたらり たうたうたらり 酔へば楽しき」等々。


また、「芭門十哲」の一人である向井去来の、「湯の山やあけゆく松乃花くもり」の句碑もある。


木漏れ日がさわやか。


むかし懐かし。


温泉客の姿も長閑。


川岸の柳も青々と陽を浴びて、今日も「歩き旅日和」なり。


9時10分、城崎駅の手前を左折し、円山川に沿って下る。そよ風が肌に心地よい。


9時45分、河口に架かる港大橋を渡り、絹巻神社。初詣に五社を巡ると縁起がよいとされている「但馬五社」の一社、とか。


気比方面へ行くと、初夏の日差しを浴びて夫婦で農作業をしている畑もある。老夫婦が働いている姿を眺めていると、こちらが自由気儘に歩いているのがいささか申し訳ないような気にもなってくる。
気比トンネルの先は、両側が水田の中を一直線に道路が走っている。苗が微風にそよぎ、カエルの声が賑やかである。よく聞いていると、カエルの鳴き声も様々で、「銀の笛」と形容されるような高く澄んだピッコロのような声もあれば、チューバのような低い音色もある。


このあたりは畑や田圃を鉄線のようなもので仕切ってあるところも多いが、動物対策だろうか。
10時35分、左折し久美浜方面に向かう。
11時20分、三原峠。ここで兵庫県に別れを告げ、


京都府、京丹後市に入る。9県目なり。


ウツギ(卯の花)が満開で、新緑の林の中では、ホトトギスがしきりに「テッペンカケタカ」「テッペンカケタカ」と啼いている。
「卯の花の におう垣根に、ほととぎす はやも来鳴きて、忍び音 もらす、夏は 来ぬ」
と歌いながら歩く。


京都とはいえ、丹後は山深く緑濃きところである。
車の往来もほとんどなく、九十九折れの道をひとりのんびりと久美浜方面に下っていく。


12時ちょうど、波がおだやかに打ち寄せる久美浜湾に着く。


モーターボートも停泊中。


12時05分、湾岸にある如意寺。


吽形の仁王様。


仁王様の下駄と比較。


歩いているうちに、ふと今日が土曜日であることを思い出す。確認してみると、手持ちの現金の残高は5000円程度。予約した明晩のユースホステル代を差し引くと、今日明日の食事代も心もとない。明日は日曜日、これはぜひとも引き出しておかねば。戻って久美浜郵便局を探しATMで貯金を下ろすが、その間20分ほどのロスタイム。
12時45分~13時、下ろしたお金で、早速コンビニで買い物。菓子パン3個、牛乳。コンビニの前の椅子に座って食事。
となりの椅子に座った女高生二人組と話す。彼女たちは3年生で、来年からは看護士になって大阪と神戸で働く予定なのだそうだ。地元では就職口が少ないので、ほとんどの生徒がそうする、とか。修学旅行で沖縄に行ったこと等々を実に楽しげに語る。鹿児島から北海道に向けて歩いていると言ったら驚いていた。彼女らに激励されて出発。国道178号線を行く。
13時10分、久美浜湾の東にある兜山。


13時15分、北近畿タンゴ鉄道宮津線のディーゼル列車が来たので写真を撮る。


13時55分、遠くに久美浜湾を眺めながら田園地帯を行く。


14時20分、佐濃谷川をわたる。


当初の計画では、この近くにある「葛野浜キャンプ場」泊の予定であったが、陽もまだ高く、天気も上々。「YURAPIA丹後あじわいの郷の道の駅」泊に変更し、さらに進むことにする。
14時45分、「はまなすの招き」という休憩所にて小休止。


鮮やかなピンクの花が咲いている。


15時20分、夕日ヶ浦温泉。案内板に映る我が姿。


そろそろ時間が気になりだすが、先はまだ長い。
15時35分、田植機を運転している女性。


16時35分、傾きつつある日差しに浮かび上がる新緑の木々。


夕日が反射して輝いている水田。


16時50分、山裾を宮津線が迂回していく。


16時55分、網野駅を通過。


網野は、源義経の愛妾である静御前の出生の地。
「 しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな」
「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」


17時、田圃の中を行く宮津線。


17時05分、今夜と明日に備えて、食料を買う。牛乳、おにぎり2個、食パン、パンの耳揚げ。
東の空に満月間近の大きな月が出、日陰は肌寒くなってくる。
18時10分、「YURAPIA丹後あじわいの郷道の駅」の場所を教えてもらった二人の男性と少し話す。一人が、四国巡礼をしたいが具体的にはどのように準備したらいいのかと尋ねてくる。長期にわたるだろうから、まず第一に家族の理解を得ること、次に本やインターネットなどで情報を入手し調査すること、そして何よりも決意を持続させること、など今回の自分の旅の経験をアドバイスした。
18時45分、道の駅到着。職員と交渉して、明朝早く出発するからということで、門前にある案内板の陰の芝生にテントを張らせてもらう。初めのうちこそ迷惑そうに見えた職員だったが、こちらの日焼けした姿とザックを見て、本気だと思ってくれたのだろう、最後には「頑張ってください」と激励される。
テントを設営していると、先ほどの男性がオートバイでやって来て、中に入れなくて困っているのではないかと思い、職員に話しをつけてやろうと思って来た、と言ってくれる。テントがあるから外でかまわないので、ここで泊まることで話がついたことを述べ、お礼を言い帰っていただく。土地の人の親切を本当に有難く思った。

経費  9,000円     累計  139,229円
歩数  58,353歩    累計  1,712,896歩
距離  39km       累計  1,106km

(本日の到達地点――京都府に入る)


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