そぞろ神の物につきて―日本列島徒歩の旅の記録

  (2008年 日本海側)
  (2011年 四国八十八ヶ所)
  (2014・15年 太平洋側)

徒歩の旅 第34日 新温泉町 諸寄荘ユースへ

2009年03月17日 | 2008年日本海側の旅
5月14日(水) 晴一時雨 (「柳茶屋キャンプ場」~新温泉町 「諸寄荘ユースホステル」)



昨夜からの雨が上がり、一時テントに陽が当たるが、まだ時々名残り雨。今日の予定は諸寄(もろよせ)のユースまで、30キロ程度なので気楽である――などと思えるまでになった。足を引きずりながら九州を歩いていた頃には想像できなかったことだ。と言っても、まだ「日々旅にして、旅を栖とす」といった境地にまでは至らないが……。
朝食後、昨日の自転車青年の友人が、テントに訪ねて来たので少し話をする。彼は36歳で、冬場は杜氏として働き、それ以外の季節は自由にさすらうという生活。自転車でニュージーランド縦断やカナダの横断の経験があると言う。日本の沿岸一周、四国八十八ヶ所等も自転車で走っているとか。百名山にも挑戦中で、今年は南アルプスに行ってみたいとのことである。彼は所謂「就職氷河期」の世代だろうが、企業人間とは異なった視点からの独自のものの見方が、痛快で面白かった。こちらも、数年前に南アルプスを縦走した時の経験談などをする。
7時15分、徐々に空が晴れてくる中を出発。
キャンプ場から少し下ったところに大きな岩の歌碑がある。


有島武郎の「濱坂の遠き砂丘の中にして侘びしき我を見出でつるかな」の歌と、


与謝野晶子の「沙丘踏みさびしき夢に与かれるわれと覚えて涙流るる」の歌が刻まれている。知らなかったが、二人の間には「秘められた愛」があったとのこと。


7時25分、空は晴れて、青空の下の鳥取市街を見下ろしつつ坂道を下る。


7時35分、コンビニで牛乳、おにぎりを買い食事。
319号線を砂丘づたいに行こうと思ったが、道を間違えて10分ほどロス。結局、国道9号線の鳥取バイパスを行くことになる。しばらくは歩道がなく、しかたがないので自転車用の白線内を歩くがいやな感じである。
8時50分、覚寺トンネル(815メートル)、湯山トンネル(1000メートル)とやや長いトンネルを続けて抜ける。
9時50分、このあたりは本当に新緑が鮮やかである。「緑滴る」といった風情。


ここでも水田からは蛙の、周囲の木々からは鶯の鳴き声がしきりである。
10時、駟馳山(しちやま)峠を越え、鳥取市をあとに、


岩美町へ入る。岩美町は鳥取市との合併を拒否したらしい。    


10時10分、峠を下ってくると、ジオラマのように、眼下には大谷の畑と遠く日本海が望まれる。


薄いピンク色のウツギの花が咲いている。


10時20分~11時10分、大岩駅そばの公園で大休止。ビスケットとカロリーメイトを食べながら、テントや雨具を干す。初夏の風はさわやか、陽射しはのどか。
11時40分、新井交差点を左折して国道9号線から離れ、岩美駅を経て海の方へ向かう。今日は時間もあるので、海沿いの道をたどることにする。
12時10分、浦富(うらどめ)海岸に出て178号線の近畿自然歩道を行く。
国民宿舎いわみ荘は閉鎖されていた。
12時15分、今はシーズンオフなので牧谷海水浴場には誰もいない。途中の島々や岩と松の写真を撮りつつ歩く。海は穏やかで、青く美しい。白い砂浜が続いている。
浜辺に突き出た岩がある。


浜辺あり、岩場ありで面白そうな海水浴場。


遠浅の浜はきれい。




12時35分、隣は東浜海水浴場。こちらの浜辺もきれいだ。


弓なりの入り江が空の青さを映して紺碧に。


13時、くねくねと曲がりくねった道を上って行く。振り返ると通ってきた浜辺が足元に。空には雲が出てくる。


13時35分、鳥取県と別れ、


兵庫県新温泉町に入る。8県目なり。


「但馬漁火ライン」と名づけられた道路が海岸線に沿って続いている。曲がりくねった道は、足元に打ち寄せる波を見ながら、さらにアップダウンしつつ続く。
空模様が急変し、雨が降り出したので、ちょうどあった峠の四阿で15分ほど雨宿り。
14時05分、さらに居組(いぐみ)港方面をめざして、羊腸のごとき道を行く。


14時25分、居組港を通過。


漁港の隣は砂浜。


但馬海岸案内図。兵庫県の日本海側全図である。今日、明日と、ほぼ海に沿った道を竹野海岸までいくことにしている。


14時50分、沖に浮かぶ奇岩の群れ。自然の造形の不思議さ、そして見事さ。


透明な海水が印象的。


奇岩はさらに続く。


15時15分、下って、諸寄トンネル(418メートル)を抜けると諸寄港。目的地の宿は近い。
途中の歩道で出会った女性に、諸寄荘ユースホステルの場所を聞くと丁寧に教えてくれた。その際に、この近くにはユースが2つあって(諸寄荘ユースホステルと浜坂ユースホステル)、自分が行こうとしているのは諸寄のユースだと言って念を押したのだが、彼女は間違いないと言う。そこで、ちょっと納得しがたかったのだが、ひとまず言われたとおりに歩いて行く。
しばらく歩いていると先ほどの女性が今度は自動車で通り、間違えて教えてしまったので諸寄のユースまで車に乗せてくれると言う。歩き旅をしているからと説明してお断りしたが、彼女は間違って教えたことを気にしてか、どうしても車で送って行くから乗るようにと言う。結局断りきれず、明日ここから再び歩くことにして、ご親切に甘えることにした。自動車に乗るのは、4月9日に広島のユースに泊まった翌朝、広島駅までバスに乗って以来だ。
15時50分、車を諸寄荘ユースホステルに横づけしてもらい到着。ユースには、Bさんからの伝言のメモがあり、宿のご主人が手渡してくれた。昨晩はここに泊まり先行しているとのこと。夕食後に電話すると、今日は香住町の民宿に泊まっているという声が返ってきた。夕食のメニューは、刺身、カレイのから揚げ、天ぷら、イカの煮付け、香の物とリッチだ。「諸寄」という名前は、きっと、在りとあらゆる諸々の海の幸が寄せてくる豊かな浜、という意味だろうと思った。

(本日の到達地点――兵庫県に入る)


経費  4,330円      累計  127,571円
歩数  47,732歩    累計  1,559,779歩
距離  31km       累計  1,008km(1,000キロ突破!)

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