ホームオートメーションへの志向は、従来の量的拡大志向から健康、文化、二世代、三世代住宅などの相互触れ合いに至る質の向上を目指している。物質的な豊かさを超えた生活様式の多様化へ舵を切っているといえそうである。多様化の背景にあるのがマイクロエレクトロニクス技術である。この技術を住宅及び住宅環境に生かし、家事労働を省力化させ、効率化を目指すものである。
情報面での活用は、居住空間に居ながらにしてショッピング、ホームバンク、ハウスコントロール、ホームセキュリティが可能となり、在宅勤務、在宅診療にも光明を射すものである。このことによる拘束時間から解放され、自由時間が増えるため、より充実した生活を営むことが可能となる。
コンピュータの家庭への浸透は、終わったかに見えるが、同機能をスマートホンなどの小型機器に変わり、通信も無線LANでつながるネットワーク社会が実現できているが、オフィースオートメーションからホームオートメーションの移行が進んでいる。
実際にはいくつかの未解決な分野が残されている。機器の面からすると、場所を取らない小スペース化、小型化、操作が子供でも容易にできること、信頼性が高くメンテナンスコストがかからないこと、低消費電力化、汎用性が高く多くの機能を持つ機器であること等の機能の充実化も求められる。つまり、個々の機器が単独ではなくシステム化することによる汎用性が求められるということである。
国民生活の新たな動きを察知し、理想社会の実現には、多くの実証実験が必要で、都市生活と過疎化に向かう地方への展開を含め、居住空間の持つポイントは、生活の合理化、核家族化、コミュニティ化、教育・学習・文化面の充実化、家族の健康管理等のカテゴリーごとに情報との結びつきを再構築していく必要があろう。
家庭内の配線網を特にホームバスと呼んでいるが、(家庭内に置かれる情報通信機器が共用する家庭内情報通信路の意味である)この詳細については別稿へ譲ることにしたい。