katsura's note

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飛行機で

2004年06月27日 | Weblog
スペインからの帰りの飛行機での出来事。

バルセロナ→フランクフルト→成田
と乗り継いだのですが、
フランクフルト→成田のANA便で
岐路につく、飛行機でのこと。

ふとしたきっかけで、ブラジル人の子達とおしゃべりする機会がありました。

それは、飲み物や軽食が終わった後。
飛行機でよくある風景が、お手洗いへの行列(笑。
が、きっかけ。

私はとくにお手洗いに行きたかった訳ではないのですが、
狭い座席にじっとしているのもなんだし、
と思い、後部の通路へ。

邪魔にならない程度に軽くストレッチしたり、
窓から眼下に見える真っ白な雲を眺めたり。

そんな時、ふと、近くに若者が沢山いるなーと気づいたのです。

若者と言っている時点で、
自分がもう若者ではないと肯定しているようですが、
まぁ、そんなことはさておき、
その若者達は、意気揚々と楽しそうにしていたのです。

話が聞こえれば、
何語で話しているかはわりとすぐ分かるのですが、
なにせ飛行中の騒音の中なので、
すぐにはわかりませんでした。

で、しばしその場にいて、
そろそろ自分の席に戻ろうとした時のこと。

自分の席に戻ろうとしたら、
機内販売が始まっていて、
CAさんがカートを押している様子。

ということは、、、
私はすぐに席に戻れないということ。

まぁ、気楽に気長に機内販売が終わるのを待とうと思い、
その場にとどまることにした、私。

すると、数人の若者が仲良く話していて、
ふとしたことから目があった。

で、「研修か何かなの?」と英語で聞いた私。
すると、数人いた中の一人の男の子が、
「これから岡山大学に行って、1ヶ月ステイするんだ」と英語で返答してくれた。

よく見てみると、彼らが着ていたTシャツには、
揃って、OKAYAMA UNIVERSITYと書かれた文字が。

で、「学生なの?」と聞くと、
別の女の子が「私達はみんな同じ大学の日本語クラスの仲間なの」と。

なるほど。。。

そこから会話が弾み、
彼らはブラジル人で、私は日本人なんだけど、会話は英語。
彼らは日本語で会話したいのかなぁと思いつつも、
彼らの日本語のレベルがわからないので、、、
とりあえず英語で会話を続行した私と彼ら。

で、彼らの話をまとめると、
彼らはブラジルでもリオデジャネイロより南にある、
小さな村からやってきたらしく、
そこにも日系3世4世がいて、
日本語、日本人に対して興味をもつようになったとのこと。

先生が引率して約20人近くの生徒を連れてきていて、
岡山大学と学生が属する大学が姉妹校であることなどがわかりました。

その彼らの中にいた、クラスを受け持っている先生と少し話したら、
日本語がぺらぺらというよりは、
少し単語を知っている程度よ…と、
はにかみながらも、ういういしく、かわいらしく話す素敵な女性でした。

すると、数人いた生徒が思いのままに、
知っている日本語を話し出した。
話すというより、単語を並べるという感じ。
「すし」「からて」「せんせい」「がっこう」など。

そんな彼らを見ていて、
すごく無垢で、純で、澄んだ瞳がとてもきれいだなと思った。
心が澄んでいるんだな、と。

田舎育ちと自負する彼らの瞳を見ていると、
都会育ちだからとか、
少しスマートぶったり、
背伸びしているような、
無理しているような感じは皆無で、
そんな彼らがとても羨ましくもありました。

私はそんな彼らが
日本に、日本語に興味を持ち、
わざわざ南半球の地球の裏側から
はるばるやってくるということ。

しかも、大学時代という多感な貴重な時期に、
他の国ではなく、
日本で
日本について
いろいろ知りたいと思ってくれることに、
とても感動してしまいました。

なぜ、日本なの?と聞くと、
友達に4世の子がいるんだ、とか、
なんとなく興味があって、とか
それぞれ動機はいろいろ。

でも、20数名の団体で来たという。

そこで、ふとした疑問が。
なぜドイツ経由???

普通、日本からブラジルに行く場合、
アメリカ経由が多いし、一般的。

まず成田かどっかから、
ロスかフロリダまで飛び、
そこからサンパウロもしくはリオデジャネイロへ。

そんなことがふと思い浮かび、
すかさず質問してみると、
一人の女の子(この子が一番英語が流暢)が答えてくれた。

That's because of Visa. 
と、渋い表情で答えてくれた。

そっかー、ビザね、ビザ。

でも、ただのトランジットでもそうなのか?
と、またしても疑問が。

すると、アメリカ経由だと、
アメリカに入国するわけでもないのに、
ビザが取れたり取れなかったりして、
とても面倒なのだとか。

それだととても困ることになるし、
一人が取れて、もう一人はビザが取れないとなるのは。。。
ということで、ヨーロッパ経由が一番!と教えてくれた。

私達日本人は、
日本のパスポートがあるお陰で、
ほとんどビザなしで or 簡単な手続きで、
世界各国わりとラクに行けてしまうので、
こんな不便さや不条理さを感じることは少ない。
だから、その不便さを彼らと同じように痛感することも少ない。

でも、日本のパスポートでなかったら???

きっと、ブラジル人の子達のように、
いろんなシチュエーションで、
不条理さ、不便さを感じることになるのかもしれない。

そんな不便さを感じつつも、
日本に、
あえて日本にやってくることを決め、
実際に向かっている彼ら。

とても頼もしく思えたし、
日本人としてもとても嬉しい。

興味を持ってくれて、有難うと言いたい。

彼らが言っていた言葉でとても心に残ったのは、
「今回の滞在では、日本語を詰め込むことよりも、
 日本の文化や習慣の違いを経験しに来たんだ」と言っていたこと。

私達日本人であれば、
英語習得の為といって、行く人がほとんどなのに。

就職の為や、
語学習得の為といって、
実績や得を生む為にと、
密接に考えるのではなく、
興味をもったから、体験しに来たということ。

なんか、そういうのいいなーって思いました。

わが国における若者は、
すぐ就職の為だとか、
成績向上の為だとか、
そういった目的の為に行動していることが多いじゃないですか。

全ては得の為のような。

悲しきかな、日本。

ブラジルにしたって、
アメリカにしたって、
ドイツにしたって、
実質の失業率は日本より上だったりするし、
経済的にも恵まれていなかったりします。

発展途上国や他の先進国の中でも、
経済指標の上では、
日本は上の方なのかもしれない。

経済水準や通貨の安定性とっても、
やはり他の国より恵まれているのではないかなと思います。

 (まぁ、水準が良いだけで、
  上の層と下の層の違いがあまりないだけなのかもしれませんが。)

でも、そんな日本人が精神的に満たされているかというと、
そうは感じない気がします。

日本人的アイデンティティを失っているからかもしれないけれど、
お金を持っているから、
教育水準が高いから、
生活水準が高いからって、
幸せかって問いについて、
一番とまってしまうのは、
日本人なんじゃないかなと思ったりもします。

というのも、
生きる上で支えとなる、
宗教だったり、倫理観だったり、正義感だったり、
まとめると価値観なのかもしれないけど、
そういった、コアな部分がなかったり、もろかったり、するから。

もちろん、これは数を競うものでも比べるものでもないのだけど、
圧倒的に足りない、少ないと思う、日本人には。
悲しきことですが。

今回出会った、
たまたま話したブラジルの子達の
屈託のない笑顔だったり、
自分の思うことを発言する姿に、
すごくまっすぐなまなざしを感じたし、
なんだか自分がいつの間にか
彼らのようなまっすぐなまなざしで物事を見るのがまぶしすぎる感じがしました。

なんだか、彼らが羨ましくてならない気がしてやみません。

彼らに会えて、話せたからこそ、
こんな発見や感動がありました。

彼らが今岡山でどんな生活をし、
どんな経験をするか、
きっと楽しんでくれているんじゃないかなーと思いますが、
この経験がより良いものになることを
人知れず福岡の地より願ってしまいます。


追伸:

日本に興味を持っている人からよく聞かれる質問が。
「日本のどこ出身なの?」と。
私が「福岡!」と答えると、
質問者の顔が一瞬曇ります。
というのも、期待した答えと違ったというように。

東京、京都、大阪はかなりの地名度がありますが、
福岡は知っている人、ほとんどいない。。。

あと、知っていても、
「あー、知ってる、知ってる。
 フカオカね!」って。
「んー、フクオカなんだけどぉ…(泣。」

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