今年の1月、春節休みで大学を離れて以降、コロナ禍を経て一昨日、9か月ぶりに大学に戻った。コロナの状況下、学部内では外国から復帰した外国人教師第一号だった。様々な手続きや2週間の隔離を含め、非常に困難な道のりだったが、到着してすぐ友人や職場の仲間、学生たちの熱烈歓迎を受け、これまでの苦労が報われた気がした。
9か月間、窓も開けずに宿舎を放置した。亜熱帯で湿気も多く、室内がどうなっているのか心配だった。恐る恐るドアを開けたが、ほこりが少したまっているほか、ゴキブリの死骸が何体がある程度で、予想外に乱れていなかった。
幸い男子学生2人が手伝いに来てくれ、荷物運びや部屋の掃除が大いにはかどった。2人はいつも遊びに来ている学生なので、こちらから指示をする必要もなく、コップや皿を洗い、期限切れの調味料もてきぱきと処分してくれた。非常にありがたい若者たちだ。
片づけが一段落し、3人でテイクアウトの夕食をしていると、別の男子学生2人が果物を差し入れてくれた。懐かしい顔を見て、ようやく大学に戻ったという実感が湧いてきた。
しばらくして、今度は日本取材チーム「新緑」の女子学生が、スワトウ特産の月餅「ラオビン」をお土産に持ってきてくれた。月餅は中秋節(今年は10月1日)の食べ物だが、私が隔離中だったため、改めてみんなで一緒に食べようと持ってきてくれたのだ。その気持ちがありがたかった。
一夜明けて昨日は、大学の向かいに会社を構える企業家の友人から、胡蝶蘭の鉢が二つ、それとニュージーランドから輸入したキウイとリンゴが箱ごと届いた。大学に戻ったお祝いだという。とても一人で食べきれない量なので、早速、学生たちにおすそ分けした。
夜になると今度は、前学期オンライン授業をした「日中文化コミュニケーション」の班長で、芸術学部の女子学生が、クラスのみんなが写真や言葉を寄せた記念冊子と、自分の作った手作りの紙に、自分で描いた「浮世絵」を私の誕生日プレゼントとして送ってくれた。
記念冊子には私の似顔絵も添えられ(かなり若作りではあるが・・・)、大いに感激した。序文には「いちごいちえ」と日本語の表記もあり、「これは贈り物ではなく、大切な記念です」「2020年前半は順調でなく、オンラインの授業には少しがっかりしました。ただ突然の事態だからこそ、特別な経験もできたのだと思います」と書かれていた。
こうして今学期の新たな1ページが始まった。次回ブログでは、出国までの手続きから隔離2週間にいたる経験談を紹介したい。
(続)