21日、22日、友人の白石丈士くんを追悼するお通夜、告別式が終わった。昨日、火葬場から自宅に戻ったとたん、疲れが出て早く休んでしまった。家族の心労はいかばかりかと思うと、胸が痛む。奥さん、優香さんの思いがいっぱい詰まった式典だった。
夫を偲ぶコーナーを特設し、彼が着ていた特大サイズのシャツや靴、みんなで書いた著書、保険ビジネスを扱っていたドローン、中国に輸出していた銘酒『上喜元』『雨後の月』の蔵元から届いた一升瓶10本以上、さらに思い出の写真を紹介するスクリーンまで並べた。出身地熊本のキャラクター、くまモンのぬいぐるみも置かれた。お酒はお通夜の振る舞いでほとんどなくなるほどの好評だった。さぞ、彼も喜んだことだろう。
さらに彼女は、お通夜振る舞いの後、彼が好きだった人形町界隈の居酒屋を何軒か予約し、残った日本酒を持ち込み、友人グループごとに偲ぶ会をしようという企画も思いついた。斎場の受付には案内のチラシを何百枚も用意し、そこにはこんなふうに書かれていた。
「生前、夫は、自宅近隣の人形町を中心としたエリアの居酒屋やレストランをこよなく愛し、お店の方やご常連の皆様とも楽しくお付き合いさせて頂いておりました。夫の『食べログ』の記録によれば、人形町エリアで約550軒の飲食店を訪れております。」
実際、告別式にはお店関係の弔問客が多く訪れた。元上海駐在記者グループは、「海鮮小料理 呂久呂」(中央区日本橋久松町)に席が用意された。数多くの日本酒銘柄を揃え、下町人情の感じられる店の雰囲気が、彼には特にお気に入りだった。最後には仕事関係など各方面の方が合流し、彼女だけでなく、彼のきょうだいも顔を出してくれて、気が付いたら終電が終わっていた。集まったメンバーは多種多様で、中国大陸・香港からの友人もいた。だれとでも心を開いた彼の幅広い交友関係を物語った。
私は友人として弔辞を述べたが、彼の写真を見たとたん、涙が止まらなくなって、しばらく言葉に詰まってしまった。原稿も用意していなかったので、目の前の彼に話しかけるつもりで、思いつく言葉を話した。
「白石ちゃん、冬休みで一時帰国したとき、また会おうと約束していたから、一つ報告するね。昨夜は優香ちゃんが、君の好きだった居酒屋に席を取ってくれて、みんなで君の好きだったお酒を飲みました。ぜんぶきれいに飲み終わっちゃいました。いつも君は宴会の席で、みんなのお酒が足りているか、料理が足りているかと気遣ってくれていたよね。昨夜は君がいなかったからちょっと寂しかったよ。あのお店はちょうど一年前、君が病気のことを話してくれた場所だったよね。あのときは頑張ると言っていたけど。それから夏休みみんなで集まったときも、君は元気な様子を振る舞っていた。きっとみんなに心配かけないように気遣ったんだよね。君はいつもそんなふうに人のことばかりを考えて、もう少し自分のことを考えればよかったのに。上海で最初に出会ったときも、ぼくは12時に呼び出したって書いたけど、昨夜優香ちゃんに怒られちゃったよ。冗談じゃない、12時じゃなくて、2時だったてね。それでも君は笑顔で現れて。いつも何を頼んでも嫌な顔一つしなかったよね。これからは君にしてもらったこと、全部優香ちゃんに返すから心配ないよ。どこにいたって、呼ばれたらすぐに駆け付けるよ。ありがとう!」
お棺を運ぶときはすごく重かったけど、骨になると君の巨体は想像できないほど小さく見えたよ。お棺の中はさぞ窮屈だったでしょ。天国に行ったら身軽になれたのかな。もう仲間で奥さんを囲む会を計画しているから心配しなくていいよ。もちろん君が好きだったお店で、いつものように楽しく騒ぐに決まってる。それが君がぼくたちに残してくれた気持ちと縁なんだからね。
ありがとう、白石ちゃん。
夫を偲ぶコーナーを特設し、彼が着ていた特大サイズのシャツや靴、みんなで書いた著書、保険ビジネスを扱っていたドローン、中国に輸出していた銘酒『上喜元』『雨後の月』の蔵元から届いた一升瓶10本以上、さらに思い出の写真を紹介するスクリーンまで並べた。出身地熊本のキャラクター、くまモンのぬいぐるみも置かれた。お酒はお通夜の振る舞いでほとんどなくなるほどの好評だった。さぞ、彼も喜んだことだろう。
さらに彼女は、お通夜振る舞いの後、彼が好きだった人形町界隈の居酒屋を何軒か予約し、残った日本酒を持ち込み、友人グループごとに偲ぶ会をしようという企画も思いついた。斎場の受付には案内のチラシを何百枚も用意し、そこにはこんなふうに書かれていた。
「生前、夫は、自宅近隣の人形町を中心としたエリアの居酒屋やレストランをこよなく愛し、お店の方やご常連の皆様とも楽しくお付き合いさせて頂いておりました。夫の『食べログ』の記録によれば、人形町エリアで約550軒の飲食店を訪れております。」
実際、告別式にはお店関係の弔問客が多く訪れた。元上海駐在記者グループは、「海鮮小料理 呂久呂」(中央区日本橋久松町)に席が用意された。数多くの日本酒銘柄を揃え、下町人情の感じられる店の雰囲気が、彼には特にお気に入りだった。最後には仕事関係など各方面の方が合流し、彼女だけでなく、彼のきょうだいも顔を出してくれて、気が付いたら終電が終わっていた。集まったメンバーは多種多様で、中国大陸・香港からの友人もいた。だれとでも心を開いた彼の幅広い交友関係を物語った。
私は友人として弔辞を述べたが、彼の写真を見たとたん、涙が止まらなくなって、しばらく言葉に詰まってしまった。原稿も用意していなかったので、目の前の彼に話しかけるつもりで、思いつく言葉を話した。
「白石ちゃん、冬休みで一時帰国したとき、また会おうと約束していたから、一つ報告するね。昨夜は優香ちゃんが、君の好きだった居酒屋に席を取ってくれて、みんなで君の好きだったお酒を飲みました。ぜんぶきれいに飲み終わっちゃいました。いつも君は宴会の席で、みんなのお酒が足りているか、料理が足りているかと気遣ってくれていたよね。昨夜は君がいなかったからちょっと寂しかったよ。あのお店はちょうど一年前、君が病気のことを話してくれた場所だったよね。あのときは頑張ると言っていたけど。それから夏休みみんなで集まったときも、君は元気な様子を振る舞っていた。きっとみんなに心配かけないように気遣ったんだよね。君はいつもそんなふうに人のことばかりを考えて、もう少し自分のことを考えればよかったのに。上海で最初に出会ったときも、ぼくは12時に呼び出したって書いたけど、昨夜優香ちゃんに怒られちゃったよ。冗談じゃない、12時じゃなくて、2時だったてね。それでも君は笑顔で現れて。いつも何を頼んでも嫌な顔一つしなかったよね。これからは君にしてもらったこと、全部優香ちゃんに返すから心配ないよ。どこにいたって、呼ばれたらすぐに駆け付けるよ。ありがとう!」
お棺を運ぶときはすごく重かったけど、骨になると君の巨体は想像できないほど小さく見えたよ。お棺の中はさぞ窮屈だったでしょ。天国に行ったら身軽になれたのかな。もう仲間で奥さんを囲む会を計画しているから心配しなくていいよ。もちろん君が好きだったお店で、いつものように楽しく騒ぐに決まってる。それが君がぼくたちに残してくれた気持ちと縁なんだからね。
ありがとう、白石ちゃん。