行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

【2019古都取材ツアー②】最初の映像作品は「曲水の宴」

2019-05-04 09:13:53 | 日記
まずは招へい元の京都外国語大学、協賛の笹川平和財団、器材提供のソニー汕頭支社に感謝をしなければならない。それぞれの心遣いに深い思いを感じた。書かなければならないことがたくさんあるが、出来上がったばかりの作品が中国の有力メディア『南方都市報』に取り上げられたので、ニュース性を優先させ、それを紹介させていただく。

題材は、1200年の歴史を有する京都伏見区・城南宮で4月29日に行われた「曲水の宴」。王羲之の『蘭亭序』(353年)に記された由緒ある行事で、日本の宮中にも伝わり、その後、武士、庶民へと広まった。城南宮では1970年に復活させ、春と秋の2回行っている。この日の歌題は、新元号「令和」の典拠となった『万葉集』梅花の歌の序文から選ばれた「嶺雲(みねのくも)」。地元の歌人や書道家7人が平安貴族の装束をまとって小川のほとりに腰掛け、短冊に歌を書き込んだ。

『南方都市報』は、映像作品のタイトルを「京都刮起魏晋之风,城南宫曲水宴展现日本传统歌道,一年只有两次(京都で魏晋の風が吹いた 城南宮曲水の宴が日本歌道の伝統を披露 1年で2回だけ)」とつけた。

https://m.mp.oeeee.com/a/BAAFRD000020190501157970.html&isndappinstalled=0?wxuid=ogVRcdD9d43KY5E0uHn7pxD1md2c&wxsalt=a3481e

同様の内容は、汕頭大学新聞学院のSNSでも発信された。

https://m.weibo.cn/1712971481/4367960534946319

この日の取材については当初から、現場で出稿するという大目標が立てられた。取材メンバー計8人のほか、歌人や観衆の取材のため通訳として中国人留学生2人を動員し、映像カメラ4台を持ち込んだ。総力を挙げての取材となった。学生が海外の取材で、現地から映像作品を出稿するのは至難だが、今回彼女たちはそれを成し遂げた。手前味噌ながら、よくやったとほめてあげたい。曲水の宴に関する取材は、他の取材と合わせ、日本の和歌、短歌の伝統継承という大きなテーマで記事にもなる予定だ。

中国から伝わった伝統文化が、日本において途切れながらも受け継がれていることを体感し、学生たちも興奮しているようだった。わざわざ中国の伝統的な漢服を来て見学にきた中国人留学生にも出会った。







また、忙しい中、取材を受けてくださった鳥羽重宏宮司には、的を射た歴史的背景や今日的意義の解説だけでなく、中国紹興の「蘭亭」のほか、韓国にも曲水の宴が行われた遺構「飽石亭」があることから、「日中韓で漢詩を詠む曲水の宴が開けたら素晴らしい」とのメッセージまでいただいた。城南宮では禰宜の川崎重寿さま、権禰宜の米田裕之さまの厚意で、私たちにもメディア枠の取材パスを分けていただき、得難い映像を残すことができた。深く感謝申し上げたい。

学生たちの望みをかなえてくださり、ありがとうございました!

(続)