1 商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。
2 お客様をじろじろ見るべからず。うるさくつきまとうべからず。
3 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
4 棚立上手は商売下手。小さい店でゴタゴタしている方が却ってよい場合あり。
5 取引先は皆親類にせよ。これに同情を持ってもらうか否か店の興発の分かれ道。
6 売る前のお世辞より、買った後の奉仕、これこそ永久の客を作る。
7 お客様の小言は、神の声と思って何事も喜んで受け入れよ。
8 資金の少なきを憂うなかれ。信用の足らざるを憂うべし。
9 仕入れは簡単にせよ。安心してできる簡単な仕入れは、繁昌の因と知るべし。
10 百円のお客様よりは1円のお客が店を繁昌させる基と知るべし。
11 無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ。
12 資金の回転を多くせよ。百円の資本も10回、回せば千円となる。
13 品物の取り換えや返品に来られた場合は、買った時よりも一層気持ちよく接せよ。
14 お客の前で店員小僧を叱るほどお客を追い払う妙手段はない。
15 良き品を売ることは善なり。良き品を広告して多く売ることは更に善なり。
16 自分の行う販売がなければ会社は運轉(運転)しないという自信を持て。
そしてそれだけに大なる責任を感ぜよ。
17 仕入先に親切にせよ。そして正当な要求は遠慮なく言え。
18 紙一枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。付けてあげる物のないときは
笑顔を景品にせよ。
19 店のために働くことが同時に店員のためになるよう、
待遇その他適当の方法を講ずべし。
20 絶えず美しい陳列でお客の足を集めることも一案。
21 紙一枚でも無駄にすることはそれだけ商品の値段を高くする。
22 品切れは店の不注意、お詫びして後
「早速取り寄せてお届けします」とお客の住所を伺うべきである。
23 正札(しょうふだ)を守れ!値引きは却って気持ちを悪くする位が落ちだ。
24 子供は福の神ーーー子供連れのお客、子供が使いに来ての
買い物には特に注意せよ。
25 常に考えよ、今日の損益を。
今日の損益を明にしないでは寝付かぬ習慣をつけよ。
26 「あの店の品だから」と信用し、誇りにされるようになれ。
27 御用聞きは、何か1,2の品物なり、商品の広告ビラなり持って歩け。
28 店先を賑やかにせよ。元気よく立ち働け、活気ある店に客集まる。
29 毎日の店の広告は、一通り眼を通しておけ。
注文されて知らぬようでは商人の恥と知るべし。
30 商人には好況不況はない。いずれにしても儲けねばならぬ。
(松下幸之助 経営回想録 プレジデント社)