春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

国民生活センターに寄せられる補聴器に関する苦情(その2)

2013-04-30 14:44:24 | 補聴器業界

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。

 

 

前半のGWが終わりましたね。

昨日の夕方は九州自動車道も大渋滞だった様子。

我が家は、今回のGW、遠出の予定はなく、近場で過ごします。

 

 

さて、今日は、「国民生活センターに寄せられる補聴器に関する苦情(その2)」をお伝えします。

 

 

昨年の10月にレポートされた内容を細かく分析していきます。

先ず、補聴器の購入ルート別に寄せられた苦情・相談は、

 ・店舗・・・61%

 ・病院/医師紹介・・・5%

 ・訪問販売/展示会・・・17%

 ・通信販売・・・12%

 ・その他・・・5%

と圧倒的に補聴器を販売される店舗でクレームが発生しています。

また、訪問販売や展示会、通信販売でのクレームも無視できない数値です。

 

 

苦情の内容は、約半数の46%が、「返品・解約」に関するもので、次に19%が、「調整・修理」にかかわるものです。

 

 

【返品・解約】に関する問い合わせ内容は、価格に納得いかないものが多く、

 ・父が農協職員に勧められ、65万円の補聴器を購入した。高額すぎないか?

 ・家電の展示会で18万円の補聴器を申し込んだが、高額すぎるのでキャンセルしたい。

 ・病院で診察を行け、補聴器適用となる。出入り業者より勧められたが、病院で購入するから高額なのか?

 ・補聴器の不具合を購入した販売店に申し出ると、あっさり寿命と言われ、買い替えを勧められた。

 ・補聴器を購入しようとメガネ店に行ったが、両耳で50万円と言われた。高額すぎて買えない。

 

など一度は購入を検討するも、後に高額であることへの不満から、返品や解約を希望されています。

また、補聴器を購入した本人よりも、その家族から申し出られることが多いことも注目される点です。

 

 

【調整・修理】に関する問い合わせでは、

 ・4年前に購入した補聴器が合わず、何回も調整や修理をするも、未だに合わない。

 ・7年前オーダーメード補聴器を購入した。ほとんど使っていないのに故障し、修理すると高額な見積もりが提示された。

 ・夫が5年前に購入した補聴器が故障した。修理に出すと、業者は修理よりも新品への買い替えを勧めてくる。

 ・6年前に購入した補聴器が故障し、修理に出すと5年以上は修理不可能と言われた。

 

など、調整が頻繁に行われて納得いかないものや、高額な修理費用に不満を持たれたりしています。

 

 

最近の補聴器販売で、よくPRされる「無料貸出(お試し)」や「補聴器修理中の代替機」についても、

 ・貸出機の使用中に紛失してしまった。実費弁償で12万円も請求された。

 ・試用中の補聴器を紛失してしまった。弁償しない代わりに、同額で高額の補聴器を試用なしで購入させられた。

 ・補聴器の修理中に借りた代替機を紛失してしまった。弁償を求められている。

 

こちらも購入の際や、修理の際、販売店がサービスで行っている制度に対してトラブルが発生しています。

 

 

同業者として、耳が痛くなるような心無い業者や対応があります。

しかし、中には消費者側の困ったクレームも存在します。

 ・3年前に、訪問販売で補聴器をローン購入した。ほとんど使っていないので返品したい。

 ・2年前、主人に補聴器を買ってあげたが、本人が使用を嫌がって使わない。返品したい。

 ・外国製の補聴器は、円高になっても安く買えない。販売店は、メーカーが値引きさせないと言っている。

 

 

少々、笑ってしまいそうな事例もありますが、購入者側のモラルを問われてしまいます。

 

 

補聴器の販売店は、兼業店を中心に10~15年前に比べ増加しています。

中には、高齢者の増加に伴い、シルバービジネスの拡大に補聴器を手掛ける企業もあります。

数が増えれば、販売店の販売モラルや技術の格差も出てくるでしょう。

 

 

電化製品や日用品のように情報が豊富であればいいのですが、まだまだ「補聴器」や「きこえ」に関する情報は不足しています。

このブログが、補聴器の購入の際、役立ったり、啓蒙活動の一環になればいいですね。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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国民生活センターに寄せられる補聴器に関する苦情(その1)

2013-04-27 11:40:46 | 補聴器業界

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さあ、GWが始まりましたね!

初日の今日は、福岡は快晴、絶好の行楽日和です!

かすが補聴器専門店は、前半はカレンダー通りのスケジュール。

後半の5日、6日は、営業いたします。

 

 

さて、今日は、昨年の10月にレポートされた、「国民生活センターに寄せられた補聴器に関する苦情・相談」分析を取り上げます。

 

 

周知のとおり、高齢者が増加すると補聴器適用者も増加します。

ここ10年、国民生活センターに寄せられる補聴器に関する苦情・相談件数は、約5倍に増加しています。

 

 

これは、あくまでも国民生活センターに寄せられた件数ですので、実際のトラブル件数はこの10倍、20倍はあるかもしれません。

 

 

相談の内容については、「補聴器の価格」や「業者の信用性」に関するものが多いようです。

補聴器の購入者は、ほとんどが高齢者になります。

「不当に高額な補聴器を購入させられた。」様な事例が増えると、健康食品や羽毛布団のマルチ商法のような商材と同様にみられてしまいます。

 

 

中には、購入者と販売者の信頼関係ができていなかったために、苦情に発展するケースもあります。

実は、私もメーカー営業時代、販売店さんとお客様とのトラブルで、そのお客様が消費者センターに相談されるまでに至りました。

私は、その地区のメーカー営業責任者として、販売店さんとお客様の間に立ち、相談センターの担当の方と相談しながら、調整役を行いました。

 

 

内容は、オーダーメード補聴器の形状の不具合からくるハウリングが長年お客様を悩ませ、精神的な苦痛を与えられたということです。

お客様の要望としては、6年前に購入した補聴器が、一度も満足のいくものではないので返品したいという希望です。

 

 

販売店さんは、何度か耳型の再採取を行い、数回のシェル再作(型直し)を行い、ハウリングが発生しないよう調整の努力も行われていました。

一方のお客様は、耳がシワ耳(年を取って肉にハリがなくなってたるみがでてくる状態)で非常に難しい状況でした。

私も立ち会いを行って、製作工場のスタッフ同席のもと最終的な型直しを行う段取りまで行っていました。

※普通、ここまでの処置を行うと、メーカーも販売店も販売上の利益はなくなってしまいますが、利益を度外視した対応です。

 

 

結果的には、お客様自身がこの最終的な対応をキャンセルされて相談センターに苦情報告されてしまいました。

最終的には、購入時の半額の金額で返品を受けることで、お客様はご納得されました。

 

 

この件に関しては、販売店側に(処置上の)不手際はなく、お客様の誤解によるものが大きかったと思われます。

しかし、(説明上の)不手際がなかったか?というと実際のところわかりません。

 

 

私が立ち会った時点では、すでに販売店とお客様との間に信頼関係はなかったように思います。

 

 

相談センターの担当の方も、補聴器に関する苦情は年々増えてきており、すべてが販売者側に問題があるケースばかりではないと言われてました。

 

 

そもそも、補聴器は購入してすぐに、大きな効果が出せないことと、購入者自身が即効性の効果を期待していることに問題があるのかもしれません。

また、「クーリングオフ」という消費者を守る制度(言葉)が独り歩きし、商品に納得いかなければ返品(キャンセル)がいかなる場合も可能であると思いこまれていることもあるかもしれません。

 

 

「クーリングオフ」は、訪問販売やキャッチセールスに適用される制度で、消費者自身が自ら販売店に出向いて購入した場合、適用されるものではありません。

ただし、補聴器の販売店側に、『いい加減な』販売がないかというと、これも否めないと思われます。

 

 

消費者、特に補聴器適用者は、10年、20年前に比べて成長してきており、安易な補聴器販売はできなくなってきています。

補聴器販売店は、補聴器を販売する『技術』、『設備』をきちんと整え、消費者に対して、補聴器の『効果』やきこえの『説明』をきちんと行わなければなりません。

 

 

私の同僚が、「補聴器はメガネのほど消費者に対し、『市民権』を得ていない!」と言っておりますが、まったくその通り。

高齢者が増えつつある今、メーカーや販売店などによる『補聴器の啓蒙活動』が一層必要でしょう。

 

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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JAPAN補聴器フォーラム2013

2013-04-25 11:27:41 | 補聴器業界

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昨日、ある補聴器メーカーの営業さんが訪問されて、補聴器業界の話で盛り上がりました。

内容は、『JAPAN補聴器フォーラム2013』のイベントについてです。

補聴器業界が初めて行うビッグイベント!他の業界でいうと東京モーターショーや映画祭(規模は違いますが・・・)みたいなものだと思います。

 

 

実は、あるメーカーさんから、このイベントの案内が届きました。

 

 

日本国内で補聴器を供給している大小ほぼすべての補聴器メーカーが展示ブースを設けています。

後援は、

 ・厚生労働省

 ・文部科学省

 ・国民生活センター

 ・日本耳鼻咽喉科学会

 ・日本聴覚医学会

 ・全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

 ・聴覚障害者教育福祉協会

 ・日本医療機器産業連合会

 ・テクノエイド協会

 ・日本ホームヘルス機器協会

 ・日本補聴器工業会

 ・日本補聴器技能者教会

 ・IHS日本支部

と補聴器や難聴者に携わる団体すべてです。

 

 

かつて、この規模で行われるイベントは日本国内ではなかったのではないかと思われます。

海外では、アメリカで『AAA(American Academy of Audiology)』、ドイツで『EUHA(European Union of Hearing Aid Acoustics)』という大きなイベントが毎年行われており、世界中の補聴器販売店やオージオロジストなどが見学に来ます。

 

 

身近な日本で、こういった補聴器に関する啓蒙的なイベントが大規模で行われることは、今後の高齢化社会で補聴器の認知度を高めていく上で、とても意味があることだと思います。

 

 

イベント内で行われる様々なセミナーも、各メーカーの製品開発の最前線や補聴器症例以外に、

 ・耳鳴りについてのトピック

 ・耳鼻科の先生による「耳ときこえ」のセミナー

 ・人工内耳

 ・介護・福祉関係者向けのセミナー

 ・子供向けのサイエンス・ラボ(音のふしぎ)

 ・消費者セミナーによる「かしこく補聴器を選ぶために」

などなど、補聴器関係者以外に一般の方が参加されて補聴器を身近に知っていただくに盛りだくさんの内容です。

 

 

6月15日(土)・16日(日)の2日間、東京の秋葉原(会場はアキバ・スクエア)にて開催されます。

もちろん、入場は無料なので、たくさんの方が来場してイベントが盛り上がることを期待しています!

詳細は、こちらをご覧ください。

 

 

かくいう私も、イベントは遠く九州から行きたいと思っております!

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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ワイデックスセミナー

2013-04-24 16:20:20 | 新製品

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昨日は臨時休業して、デンマークのメーカー、ワイデックス社の新製品発表セミナーに行ってきました。

私がメーカー営業時代、仕事先で一緒になったワイデックスの営業の方や販売店の社長さんなどにお会いできて嬉しかったです。

中には私が独立しで専門店を立ち上げたことをご存じない方もいらっしゃって、「ワイデックスさんに転職したかと思った!」とおっしゃる方もおられました。(笑)

 

 

今日は、ワイデックス社のセミナー報告を致します。

 

 

今回登場するのは、「Dream(ドリーム)」という製品です。

 

 

マーケティングにセンスがあると業界でも一目置かれているメーカーさんです。

パンフレットもスタイリッシュでかっこいいですね。

福岡会場は、参加者が60名くらいあり、会場はほぼ満席状態でした。

参加者全員に配られるプレゼントが、新製品Dreamのロゴが入った携帯トラベルグッズ(これもかっこいい)。

 

 

メーカーセミナーに参加する際、新製品資料以外にこういったプレゼントがあるのも楽しみの一つです。

私もメーカー時代、よく自分用や家族用にくすねてました。(笑)

 

 

今回の新製品、最大の特徴は、「True Input Technology(トゥルー・インプット・テクノロジー)」と言われる技術。

補聴器の簡単な構造は下図のしくみになっています。

 

 

通常、大きな音声が補聴器に入ってくるとき、使用者が不快感を感じないよう、入力時に原音を加工します。

さらに、入力の許容範囲を超えた場合、入ってくる音声に制限がかけられてしまい、原音の波形が歪(ゆが)められてしまいます。

 

 

新製品Dreamは、補聴器のハード面を見直し、入力の許容限界を大きく拡大した補聴器です。

 

 

加工が加えられる前の原音(生音)をできるだけ維持して、きこえに反映させるということは、いわゆる「自然な音」にこだわった取り組みです。

 

 

もっとも衝撃だったのは、掃除機の音(大きな雑音)を補聴器の近くで加え、同じ距離から言葉を発したものがきれいに聞こえてきたデモンストレーションです。

これは、補聴器から入ってきた音を、赤外線ヘッドホンを通じて試聴したので、嘘偽りのないデモンストレーションでした。(驚)

 

 

また、音楽を補聴器を通じて聞いたときのサンプルを試聴しましたが、Dremを通して聴いた音楽の方が、断然ダイナミックで聴きごたえがありました!

この『原音を歪(ゆが)めない』新技術は、会話レベルの音声にも貢献していると思われ、聞き取りの向上も期待されます。

 

 

5月20日より発売開始ということですが、とても楽しみな新製品です。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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環境スイッチ(メモリースイッチ)

2013-04-22 11:51:50 | 補聴器をうまく使う

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。

 

 

昨日の定休日は、久しぶりに家族で実家に行きました。

実は、従妹に男の子が生まれたのでお祝いと様子見を兼ねて行ってきたのです。

生まれたての赤ちゃんは、かわいかったです!

うちの子供たちもちっちゃな赤ちゃんに興味津々でした。

 

 

さて、今日は補聴器の『環境スイッチ(メモリースイッチ)』について取り上げます。

 

 

昔のアナログ補聴器では、基本設定に対して、使用する方がボリュームで音量の加減をするしか方法がありませんでした。

小さなボリュームでお年寄りが細かく操作することは非常に難しいものです。

 

 

両耳で補聴器を使用する方の場合、左右のボリュームバランスが狂うと、方向感や聞き取りに影響がでることもあります。

 

 

 

『環境スイッチ』は、補聴器がデジタル化されたおかげで搭載された機能です。

 

最近の補聴器は、デジタルチップの機能が向上したため、基本設定でいろいろな場面で使用することが可能となりました。

 

例えば、雑音が多い環境(ショッピングセンターなど)や、静かな家の中などでは音声の状態が異なります。

 

その場面場面にあわせて、自動ボリューム機能や雑音処理機能、指向性機能(音声を拾う範囲を狭めて、会話音にフォーカスする機能)などが全自動で最適な状態に設定されます。

 

 

高機能な補聴器になれば、補聴器を使う方がどんな環境で使っているかのデータを蓄積・学習して、もっとも最適な状態に設定してくれたりするものもあります。

しかし、どんなに学習機能や環境認識機能が働いても、使用者の意思に連動しているわけではありません。

「この人の声が小さくて聞き取りにくいから、ボリュームが大きくなれ!」と念じてもボリュームが大きくなったりはしません。(笑)

 

 

デジタルの環境認識機能は、あくまでも周囲の音声レベルに応じて機能するので、使用者の聞き取り能力や好みが反映されるわけではありません。

そこで、補聴器をより使いやすくする機能が、「環境スイッチ(メモリースイッチ)」です。

 

 

耳かけ型の補聴器には、ほぼ標準装備で付いています。

耳あな型補聴器では、メーカーさんによりますが、標準装備しているものもあれば、オプション装備だったりします。

 

 

 

これは、あらかじめ補聴器に標準設定以外に2つめ、3つめの設定を作る機能です。

例えば・・・

 

 1.標準設定(ある程度万能に使える設定)

 2.騒がしい環境設定(雑音が多い環境などで使う設定)

 3.テレビ設定(テレビが聞きやすい設定)

 

など

 

 

ボタンを押すだけで、顕著に設定が変化しますので、その環境に合わせた使い方になります。

まったく異なる補聴器を2つ3つ持っているのと同じとも言えるでしょうね。

 

 

「小さなボタンを操作するのは、難しそう・・・」と思われる方には、リモコンで操作できるものもあります。

 

 

 

倦厭されがちな補聴器ですが、デザインや機能面が大きく向上してきています。

補聴器を長く、うまく使っていくために是非知っておいていただきたい機能です。

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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