春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

聴力にあった補聴器フィッティング

2015-05-30 13:42:35 | ブログ

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、那珂川町活動エリア)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ

 

 

先日、補聴器を使用しているご両親の相談に

ご家族が来店されました。

ある出張業者さんから

補聴器を購入し、

ご自宅で何度も調整してもらっているそうですが、

一向にきこえが改善せず、

せっかく購入した補聴器の効果が

全く感じられないということです。

 

 

ご本人がいらっしゃらなかったので

詳細はわからなかったのですが、

ご使用されている補聴器の

 ・メーカー

 ・仕様のタイプ

 ・使用の状況

などをお聞きいたしました。

 

 

話の状況から

おそらく、難聴の度合いは中等度と推測され、

弁別能(ことばの聞き取り能力)のスコアが

あまり高くないのではないかというものでした。

 

 

幸い、ご使用されているご本人が

当店に歩いてこれるところにお住まいだったので

翌日、再来店のお約束。

 

 

来店されて驚いたのは、

ご両親とも両耳で補聴器を購入されていました。

特に効果が出ていなかったのは、お父様の方で、

補聴器を購入した業者さんは

熱心にご自宅で調整されていたようですが、

補聴器を装着し、1対1の会話でも

聞き返しが多く、

スムーズにお話ができる状況ではありませんでした。

お持ちの補聴器は、

シーメンス社製のRICタイプ、

こもらないよう、オープン仕様でした。

(機種名は業者さんが特定されるので控えておきます。)

 

 

耳鼻科さんで検査された聴力データをお持ちで、

それによると

平均聴力レベル(4分法)が、

 右:52.5dB

 左:53.8dB

高音漸傾型の中等度。

弁別能は、

 右:85%(80dB)

 左:75%(90dB)

とそれほど悪いスコアではありません。

ただし、注意点は

気導聴力と骨導聴力に差があり、

やや伝音難聴の特性が出ていました。

この状態でRICのオープンフィッティングでは、

調整を繰り返しても

満足する聞こえにはならないでしょう。

 

 

お客様には、耳栓をモールド化(オーダーメード耳栓)に

することを推奨し、

応急処置でダブルチップの耳栓を採用。

フィッティングの計算式を

DSL/IO式に変更、

低音と高音がしっかりと補正できるよう

ややパワーフィッティングにしました。

 

 

補聴効果としては、

20ワードの単語を

1.5mの距離で口元を隠して行ったところ、

90%の正解率。

また、対話形式で5つほど簡単な質問

(生年月日やきのうの食事の内容など)をしたところ、

すべて間違えずに答えられました。

ご本人以上に

ご家族が聞こえの改善に驚かれていました。

 

 

次にお母様の状況。

やはりシーメンス社製のRICタイプを

オープン仕様で使われていました。

聴力を測定すると

 右:41.2dB

 左:45.0dB

聴力だけ見るといずれも軽度難聴で

左の方がやや低下していました。

ただし、弁別能は、

 右:90%(80dB)

 左:100%(70dB)

という状態で、左耳には補聴器が必要なかったかもしれません。

ご本人も左側に使わなければならないとは思っていなかったようです。

対処としては、

右のみ使用する前提で、

耳栓をクローズ(密閉)型耳栓に変更し、

フィッティング計算式を

NAL-NL1式を採用しました。

低音域の利得を加えず、

言葉の聞き取りに重要な中域~高音域の利得を重視。

 

 

業者さんは、『両耳が基本』と

メーカーさんに教わったことを忠実に実行されているのでしょうが、

ケースバイケース。

左右聴力が同等でも

両耳仕様にしない方が良いこともあります。

結果的に

お母様は、こもり感が改善し、

補聴器を使用しての聞き取りの実感を持たれるようになりました。

注意点として、

将来的に残った補聴器も使うことをお伝えしております。

 

 

ご家族は、

 「やはり補聴器の業者さんは、

  『認定補聴器技能者』資格を持っていないと・・・」と

資格の有無について再認識されているようでした。

出張販売の業者さんがすべて悪いわけではないですが、

『認定補聴器技能者』資格の有無は、

その業者さんが信頼できるかの目安になると思われます。

 

 

 

 

本日は、以上です。

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補聴器購入まで2年・・・

2015-05-23 11:16:58 | ブログ

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GW後、あるお客様が来店されました。

実は、2年ほど前に一度来店されたということです。

当店がオープンして間もない頃でしたが、

夕方の時間帯にご家族で来店されたことを思い出しました。

 

 

その時の聴力は、

軽度から中度に差し掛かる程度でしたが、

弁別能(ことばの聞き取り能力)が75%でした。

店頭で補聴器の試聴を行っていただき、

ある程度の補聴効果はあったのですが、

やはり補聴器を付けることに抵抗があるご様子で

再来店されませんでした。

 

 

2年という時間が経過して

きこえが更に低下したことを

ご本人もご家族も実感されたようで

意を決しての

ご来店となりました。

 

 

再度、聞こえの状態を調べてみると

聴力は完全に中等度難聴に・・・

弁別能は、65%。

日常生活の中、

顕著にきこえの上での不具合が多くなったそうです。

ご本人様は、

今尚、補聴器を付けることに

抵抗を持っておられます。

 

 

多くの補聴器屋さんが言っておられるように、

補聴器は

ご本人が付ける気にならないと

購入しても

『タンスの肥やし』になってしまいます。

 

 

補聴器は決して安い(易い)買い物ではありません。

むしろ高額な買い物となります。

 「何十万もする補聴器を買ったが、全然使っていない。」

と言われる補聴器使用者は少なくないです。

 

 

今回は、1週間の補聴器貸出を

当店の方から提案させていただきました。

最近の補聴器には、

『データロギング』という機能が搭載されており、

この機能は、補聴器を

 ・1日何時間使用しているか?

 ・どのような場面でどのくらい使用しているか?

 ・メモリー別に、どのくらい使用しているか?

などを記録して、

我々補聴器屋さんが把握できる便利な機能です。

 

 

お客様とご家族に、この機能のことを説明し、

1週間しっかり補聴器を使っていただくようお伝えしました。

この機能を説明しておくと

貸出中のお客様は、

 「使ってないとバレてしまう…」と思われるようで

しっかり使っていただけます。(笑)

 

 

貸出期間中、

ベストフィッティングを行うことは不可能。

お客様にはあえて

補聴器を付けている時の不具合を説明しておきます。

通常、補聴器は

ある程度の時間をかけて

その方にあったフィッティングを行っていくもの。

限られた貸出期間中に

十分な満足を得られることは

少ないかもしれません。

ただ、全く補聴器を付けないより、

 「やはり、付けたほうが『きこえる』。」と

実感していただくことが重要です。

 

 

1週間後、ご家族で来店され、

今度は、補聴器を付けてみようと

前向きなご決断をされました。

 

 

 

最近の補聴器は、

小型化や全自動化が進み

見かけの上で、目立たなく

使う上で、面倒でなくなってきました。

また、カラフルなボディや

スタイリッシュなデザインのものも多く、

 「地味」

 「年寄りくさい」

といった補聴器のマイナスイメージを払拭しています。

 

それでも、使う方にとっては

スムーズに購入に踏み切れるものではありません。

老眼鏡を購入するくらい気軽になるには

まだまだ時間がかかりそうです。

 

 

 

 

本日は、以上です。

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