春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

補聴相談

2013-05-31 17:19:21 | きこえについて

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。

 

 

昨日、あるご夫婦が来店されました。

奥様が難聴の傾向があるそうで、補聴器の購入うんぬんはさておき、相談のみのご希望でした。

2年以上前に、耳鼻科で診断を受け、ドクターからは、「治療で治るものではないから、生活上困ることが多ければ、補聴器をした方がよい。」と言われたようです。

それから半年後、天神のある眼鏡店さんで補聴器の試聴を行い、よく聞こえたそうですが、値段を聞くと「両耳で50万円。あなたに合う補聴器はこれしかありません。」とのこと。

あまりの高額さゆえに、その時は購入を見送ったそうです。

 

 

最近は、度が進んだのか、TVの音量が大きくなり、家族からも指摘されているとか・・・

特に、娘さんとの会話のやり取りになると、何度も聞き直しをするため、最後には喧嘩腰のやり取りになるそうです。

 

 

ここまで、日常生活に支障が出ているにもかかわらず、『補聴器』を付けることに大きな抵抗があると言われています。

ご本人によると、

 「家にいるときは使いたくない。」

 「出かけるとき(他人との会話があるとき)だけ使いたい。」

という希望を持たれていました。

 

 

私は、少々きつい言い方だったかもしれませんが、

 「娘さんとのやり取りに支障を来しているのに、なぜご自宅で使わないんですか?」

 「日頃から使っていなければ、出かける時もきっと補聴器を付けないですよ。」

と補聴器を使う目的を明確にするようお伝えしました。

 

 

実際、当店のことを下調べして来店されるまでに1ヶ月以上かかっていたようです。

来店された理由は、ご自宅から近く、補聴器について調べてくれた娘婿さんが、

 「技術・設備が整った専門店で、資格(認定補聴器技能者)を持ったスタッフがいる店がいいよ。」

と勧めてくださったようです。

 

 

 ・ドクターから補聴器を勧められる

 ・眼鏡店で補聴器を試聴した

 ・TVの音量が家族と差がでてきている

 ・家族との会話で支障がある

 ・娘婿さんも近隣で補聴器専門店を調べてくれた

 

などなど、ご本人も難聴を自覚し、周囲も補聴器を勧めているにもかかわらず、今尚、悩まれています。

 

 

私は、補聴相談のみで聴力測定を行いませんでした。

当然、補聴器の試聴も勧めません。

私のこれまでの経験上、この方に(今)耳を計って、補聴器の試聴をし、仮に購入に至ったとしても、きっと使わないと思ったからです。

家族に無理やり連れてこられて、補聴器を購入した方が、結果、使わずに至っている事例を何度も見ています。

 

 

『補聴器』というものは、周囲が必要を促しても、結果として、ご本人が『使う気』にならなければ、『無用の長物(ちょうぶつ)』となります。

これは、購入後のアフター調整にも大きくかかわってきます。

 

 

最近の補聴器は便利になって、ほとんどの機種に、『データログ』という機能が搭載されています。

 

 ・累計補聴器使用時間

 ・1日当たりの補聴器使用時間

 ・どのような場面で補聴器を使っているか?

 ・プログラム設定(環境切り替え機能)をどの割合で使っているか?

 ・ボリュームの使用頻度

 

などが詳細に記録されて、我々フィッティング者が使用者の状態を分析することが可能です。

私の場合、1日当たりの補聴器使用時間が1時間未満の方は、あえて補聴器調整を行いません。

使っていないのに、不平不満を言われても、調整して問題の解決に至らないからです。

 

 

補聴器使用が初めての方には、1日3時間の使用を最初の目標設定にします。

そのくらいの使用頻度になれば、具体的に次の段階へのフィッティングに進めていきます。

 

 

お客様の『きこえの要望』は、ある意味『わがまま』です。

 「人の声だけきこえればいいのに、雑音が多くて・・・」

とよくおっしゃいます。

 

 

耳から入ってくる音声情報は、『人の声』だけではありません。

『人の声』が3割だとしたら、残りの7割は、『環境音(雑音)』です。

健聴者が、聞こえている『環境音(雑音)』を補聴器を使用している『難聴者』の方が聞こえない(聞かせない)ことは、『自然な状態』とは言えません。

 

 

この聞こえていなかった『環境音』に対し、『脳』へのリトレーニングを行っていくことが、

 フィッティング×補聴器装用(慣れ)×装用時間

という公式になります。

「慣れてください」の一点張りでは話になりませんが、裏付けられたフィッティングと装用時間(補聴器使用に対する取り組み)が、聞こえの向上につながっていくと思っています。

 

 

しかし、昨日いらっしゃったお客様は、ここに来られただけでも『大きな第一歩』であることに間違いないので、前向きに検討していただきたいですね。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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アナログ的フィッティング(その2)

2013-05-29 14:04:15 | 補聴器の調整

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今日の福岡の天気はどんよりとした曇り模様、いつ雨が降り出してもおかしくない天気です。

昨日は、先日オーダーメード補聴器でCICタイプを両耳で購入いただいた40代の男性の方が、初回調整にいらっしゃいました。

データログを見ると、1日10時間以上使用されており、ほぼ、日中は補聴器を使用されていました。

ご本人曰く、「補聴器を付けると、今まで聞こえていなかった音に気付かされて、面白いですね。」とのこと…。

装用上の違和感もなくなり、とても快適なご様子でした。

若い方は、慣れも早く、前向きにご使用されるので、こちらとしても調整に手こずることが少ないです。

何より、補聴器に対してマイナスイメージをお持ちでないことが嬉しい限りです。

 

 

さて、本日は、「アナログ的フィッティング(その2)」です。

 

 

アナログフィッティングの代表的なものは、「トリマー調整」です。

アナログの補聴器がほとんどなくなってしまった今日では、「トリマー調整」を行う機種が希少となってしまいました。

「トリマー」とは、音質調整を行う際の「調整ネジ」のことで、専用のドライバーで調整をします。

 

 

補聴器本体のスペース上、この調整ネジは、3~4つほどしか付いていません。

代表的な調整器は、

 ・Gトリマー:利得(音量)調整器。

 ・NHトリマー:低音域調整器。

 ・NLトリマー:高音域調整器。

 ・MPO:最大出力調整。

 ・PCトリマー:出力制限器。

 ・TKトリマー:増幅度可変調整器。

などがあります。

 

 

トリマー調整は、アナログ補聴器の時代から行われている調整で、いわば音質調整の基本です。

補聴器屋さんでは、「補聴器特性器」という補聴器の音響特性を計測する機械で、補聴器から実際に出ている音(音響特性)を計測します。

 

 

調整トリマーを可変させると、音質が変わるので、当然、音響特性が変わってきます。

補聴器屋さんは、複数の調整トリマーを駆使して、お客さんのきこえに合わせた音質調整を行い、都度自分がイメージした音になっているか、特性器で計測して確認します。

 

 

調整ネジの微妙な回し具合で、音質が変わっていくわけですから、ある意味気が遠くなるような地味で地道なフィッティングと言えます。

補聴器屋さんが、補聴器を調整しながらヒヤリングチューブで補聴器の音を聞き、「アー」とか「イー」とか言っているのは、はた目で見ると滑稽な感じがします。

 

 

こうした音質調整の基本を熟知している補聴器屋さんは、パソコン調整が当たり前になったデジタル補聴器でも、メーカーやソフトの違いを苦にせず、巧みな補聴器調整ができるというわけですね。

昔ながらの補聴器屋さんは、ドライバーとヒヤリングチューブのみで補聴器フィッティングを行っていたわけですから、「音の職人」と言えるでしょう!

 

 

 

 

 

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フォナック社夏モデル

2013-05-25 13:36:09 | 新製品

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昨日は暑かったですね~。

すっかり夏です。

店内では、まだエアコンを付けていませんが、窓を開けると自然の風が吹き込んでくるので、暫くはこれでしのぎます。

室内でエアコンに当たりすぎると調子を崩してしまうので、できるだけ自然の風に当たっていようと思います。

 

 

さて、本日は、昨日に引き続き、メーカーさんの新製品を紹介します。

スイスの補聴器メーカー、『フォナック社の夏モデル』です。

 

 

フォナック社は、今年の1月に新チップを搭載した『Quest(クエスト)シリーズ』に追加モデルを発表します。

特に注目したいのは、追加モデルに、『オーデオQ』というRICタイプを3タイプ4グレード(全12機種)、高度・重度難聴モデルに評価が高い『ナイーダQ』の3モデル4グレード(全12機種)を追加した点です。

 

 

『Questシリーズ』は、言葉の聞き取りに特化した補聴器でしたが、発売時にRICタイプがありませんでした。

業界のトレンド商品であるRICタイプは、すべてのメーカーが注力しているモデルです。

当店でフォナック社を提案する際も、RICタイプは1世代前の機種を提案するしかありませんでした。

今回の追加モデルは、待ちに待った新製品です。

 

 

また、専門店で評価が抜群に良いナイーダモデル(パワー&防水タイプ)が、新型のエンジン搭載で登場!

パワータイプ補聴器の利用者は、夏の暑い時期、とてもシビアな使用状況となります。

ただ装着しているだけでも汗の影響が大きい上、夏場の炎天下では影響が尋常ではありません。

このクラスが防水処理されているのは、ユーザーにとって非常にメリットがあります。

 

 

更に、他社ではまだ最上位モデルの一部にしかない、周波数圧縮変換機能(聞き取りにくい高音域の音声を、聞こえが残存している周波数域に変換して聞こえやすくする機能)が、普及版モデルにまで標準装備されています。※サウンドリカバー機能

 

 

10万円台の機種にまでこのシステムが搭載されているのは、驚きです!

早くからこの機能を補聴器に取り入れていたからこそ可能なことかもしれません。

 

 

今回の夏モデルで、既製品群がフルラインナップとなりました。

あとは、オーダーメードタイプに普及版モデルが追加されれば、隙間のない商品構成になるでしょう。

今後のフォナック社が楽しみです。

 

 

 

 

 

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シーメンス社の夏モデル

2013-05-24 14:20:20 | 新製品

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今週は、ネットから当店のHPをご覧になって来店されたお客様が連続しています。

しかも、来られる方が比較的若い方で、現役で仕事をされていらっしゃるような方でした。

年々、インターネットを通じて補聴器に関する情報を集められているお客様が増えていることを実感しますネ。

メーカー時代の同僚が、「HPを所有していない販売店は、世の中に存在していないも同然!」と熱弁しておりましたが、いよいよ補聴器業界もそういう時代になってきたのでしょう。

ブログの更新も日々重要ですが、HPのネタも新鮮さを保っていないといけませんネ。

 

 

さて、本日は、シーメンス社の夏モデル(新製品)についてご紹介いたします。

 

 

今日の午前中、シーメンス社よりダンボールで新製品に関する販促物がドッサリ届けられました!

 

 

今年、2月に登場したD8シリーズ『micon(マイコン)シリーズ』の追加機種が登場します。

※D8シリーズというのは、シーメンス社の第8世代デジタル補聴器です。

 

 

今回登場するのは、『miconチップ』を搭載したモデルで、『3mi』という中間クラスの追加と『Insio(インシオ)』というオーダーメードシリーズの登場です。

普及版の登場は、もう少し先のようなので、フルラインナップが揃うのは、まだ先ですね。

 

 

『miconチップ』の市場評価は高く、現在ある新型補聴器のなかでもトップクラスと言えます。

 ・音声認識機能

 ・雑音抑制機能

 ・最大48chの精密な音づくり

 ・世界最高水準のハウリング抑制機能

 ・周波数圧縮変換機能

 ・IP67(防水・防塵の国際保護等級)取得の最高レベルの汗対策

などなど列挙するだけでも、たくさんのアピールポイントがあります。

 

 

今回の追加機種で、個人的に魅力的に思えたのが、オーダーメード補聴器のカラーラインナップです。

 

 

シェル部分が12色から選択できることも画期的ですが、フェースプレート部(電池蓋の部分)も「モカ」、「ダークブラウン」、「ブラック」などが選択可能です。※機種による

他のメーカーでは、フェースプレートは、単一で選べるところはありません。

小さな気配りですが、耳あな型補聴器を装用した際、耳穴部分を目立たなくするには、ダーク系のフェースプレートが最適です。

 

 

現在、海外メーカーの殆どは、レーザーマシーンでオーダーメード補聴器を製作しています。

機械が計測した耳型データーに従って、シェルを作っていきますので、本来のオーダーメードから自動化されていますが、カラーシェルの色付けに関しては、全くのハンドメイドになります。

シェルの内側を、工場の職人さんが一つ一つ配色されていくので、手間と時間がかかります。

 

 

多少の納期がかかっても、世界に一つの『ご自身の補聴器』を作るのは、特別感が増していいことだと思います。

今後のシーメンス社に大注目です!

 

 

 

 

 

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アナログ的フィッティング(その1)

2013-05-23 12:17:17 | 補聴器の調整

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今日も福岡の天気は良いのですが、空には靄がかかったようになっています。

本日のPM2.5の予測状況は、46.9μg/㎥(1日平均)となっています。

全国の環境基準が35μg/㎥なので、大幅超過。洗濯物を外に干せません!

店舗のお隣がコインランドリーなのですが、利用者が増えているような気がします。

 

 

さて、本日は、「アナログ的フィッティング」についてお伝えします。

 

 

デジタル補聴器が登場して20年近くになりますが、近年の補聴器担当者さんに至っては、アナログの補聴器をフィッティングする機会(経験)がほとんどなくなったかもしれません。

お客様の聴力を測定して、そのデーターをメーカーのソフトに入力⇒オートフィットで処方。

具合が悪ければ、ソフト上で音質調整。

この繰り返しかもしれません。

 

 

中には、パソコンに表示されたグラフとにらめっこ⇒グラフをいじっては、調整に悪戦苦闘とフィッティングの「ドつぼ」に陥ってしまっているかもしれません。

しかし、なかにはアナログ的(原始的)なフィッティングで解消することも多くあります。

 

 

例えば、耳かけ型補聴器を使用されている軽中度難聴のお客様が、「耳閉感(こもり感)」に悩まされているとします。

デジタル調整に陥っていると、低音域を下げて、効果が薄ければ、さらに下げて・・・と最終的にはイビツな周波数特性になったり・・・。

 

 

ここで、原始的な手段ですが、『耳栓』に着目します。

今まで、Mサイズ(標準)のものを使用されていたら、1サイズ小さいものに変更します(Sサイズ)。

場合によっては、さらに1サイズダウンしてSSサイズでもハウリングリスクはそれほど高くないかもしれません。

 

 

また、「カサ」の部分にはさみで切れ目を入れても、十分な効果が得られることがあります。

 

 

「耳閉感(こもり感)」の要素には、耳道内を圧迫しているために生じてしまうこともあります。

物理的に圧迫感を軽減してあげれば、容易に解消してしまうことも・・・。

 

 

最近の小型耳かけ型補聴器などは、フック部分がオープンフィッティング用の専用チューブと交換できるものもあります。

 

 

補聴器屋さんにとっては、初歩的で当たり前のことなのですが、意外に行なわれていなかったりします。

 

 

フック部分についても、掛りが悪く、すぐに落下したり、かけていると痛くなるようなことがあれば、フックのサイズを交換したり、場合によってはカーブがお客様に合うよう微調整したりすることも必要になってきます。

メガネ屋さんで、フレームの形状を調整するフィッティングに近いかもしれません。

「素早く、お客様の具合に合わせる。」これも経験が左右する技術と言えます。

 

 

私もメーカー営業時代から感じていましたが、老舗の補聴器屋さんほど、メーカーの調整ソフトだけに頼らない傾向が強いです。(笑)

パソコンに表示されている音響特性のグラフよりも、ご自身の耳で聴いた補聴器の音や補聴器特性器で図ったデータのみを信用されていますね。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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