春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

補聴器の試聴・貸出しは何のために行うのか?

2017-07-30 09:00:00 | 補聴器を上手に買う
春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、那珂川町活動エリア)『かすが補聴器専門店』のブログ

 

 
 
 
 
補聴器を購入する際、

一定期間貸出しを受けて

日常生活や仕事の環境で

試すサービスがあります。

 

貸出・試聴の期間は

補聴器屋さんによって様々ですが

1週間から長いところでは3ヶ月。

 

いきなり補聴器を購入して

「こんなはずじゃなかった!」と

お客様が後悔しないよう

補聴器屋さんで行われるものです。

 

補聴器屋さんによって

いろいろな考え方がありますが

私が考える「補聴器の試聴・貸出し」とは

補聴器購入が初めての方の場合、

・補聴器を通じてのききとり

・補聴器の使い方(装着や電池の入れ方など)

・補聴器のグレードやメーカーを比較試聴

といったことが目的だと思います。

 

貸出・試聴の期間は

できるだけ長い時間補聴器を装用して

今後数年間使っていけるかどうかを

良く見定めてください。

 

最近の補聴器は

「データログ」という記録機能を持っているので

その方が補聴器を

・1日当たり何時間使用しているか?

・どのような環境下でどの程度使用しているか?

・プログラム機能があれば、どのプログラムをよく使っているか?

など詳細に記録して表示してくれます。

 

たまに、

貸出期間中、ほとんど使っていない方がおられ、

なぜ使わなかったのかをお尋ねすると

 

「外出するときにだけ使ったので、あまり使わなかった。」

「一人のときが多かったので、使う必要がなかった。」

というお答えが返ってきます。

 

当店では貸出期間中

1日当たりの使用時間を

最低4時間使っていただくようお願いしております。

 

「たった4時間」と甘く見ないでください。

1日サボると2日目は8時間

2日サボると3日目は12時間

補聴器を使わなければなりません。

 

補聴器屋さんは

貸出期間中の補聴器データも重視しています。

これは、後々の補聴器調整にも

大きく役立つからです。

 

「借り物だから大事に使わなくては…」

という思いが先立ち

使うことが遠慮がちになっては本末転倒。

 

徹底的に使って

補聴器の購入を失敗しないようにしなくてはなりません。

 

多少の違和感があっても頑張ってみましょう。

 

補聴器とは

耳に異物を入れるわけですし、

きこえなかった「音」を

きこえるよう音を拡大しています。

「自然」であったり「違和感がない」わけありません。

 

補聴器を使って

「きこえのリハビリ」を行っていると思うようにしましょう。


補聴器とことばのききとり能力(弁別能)

2017-07-29 09:00:00 | 補聴器を上手に買う
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難聴の方が補聴器を購入するのは

補聴器を使用して

「きこえる」ようになることが目的です。

 

高額な補聴器を購入すれば

「きこえる」のは当然と思われるでしょう。

 

ここで注意していただきたいことは

ご自身の「きこえの能力」を超えて

補聴器がきこえを補正することは

非常に困難であるという点です。

 

「きこえの能力」とは

「ことばのききとり能力=弁別能」です。

 

補聴器屋さんでは

弁別能測定といわれる

言葉のききとりテストを行います。

 

補聴器業界では

「67S語表」という検査CDを用いて

40dB~90dBの範囲内で

語音のききとり能力を調べます。

 

補聴器を使用した際

裸耳で聞き取った最高弁別能を

より小さな音量で到達できるよう目指します。

 

たとえば

裸耳で最高弁別能が80%(90dB入力時)であれば

補聴器を使用し

より小さい入力レベル(60~80dB)で

語音明瞭度スコア80%を出せるようにします。

 

しかし

高性能な補聴器を使ったり

補聴器調整を繰り返しても

最高弁別能80%の方に

語音明瞭度スコアを100%にすることは困難です。

補聴器屋さんは、のこりの20%が

補聴器を使用しても限界であることを

伝えなければなりません。

 

弁別能が極端に低く

通常会話でかなり苦労しているような

難聴者の方の場合、

「藁(わら)にもすがる」思いで

高額な補聴器を求め

大きな期待を持たれてしまいます。

 

 

 

最近は補聴器メーカーさんの努力や

メガネ兼業店さんのレベルアップもあり、

弁別能をきちんと調べるところは増えてきましたが

いまだに店頭で弁別能測定を行うと

「こんなことは初めてやってもらった!」

といわれることが多々あります。

 

補聴器の購入後に

「こんなはずじゃなかった!」

とならないよう

きちんと「弁別能」を測定してくれる

補聴器屋さんを選びましょう。


補聴器の装用耳を決定する(左右どちらに補聴器を使うか?)

2017-07-28 09:00:00 | 補聴器を上手に買う
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補聴器を使用する上で

左右どちらに使ったらいいのか?

両方に使ったらいいのか

初めて購入する際、

非常に悩む問題です。

 

補聴器屋さんやメガネ兼業店さんでは

基本的に両耳使用を提案されます。

 

当店でお世話になっている

耳鼻科の先生は

補聴器が初めての方の場合

片耳使用からスタートすることを薦められます。

 

現在、こちらの先生から紹介で来店された患者さんは

左右聴力に差があり、

きこえが良い方の左耳で貸出し試聴がスタートしました。

(※先生の指示は左耳での貸出試聴)

 

患者さんは

きこえが悪い方の右耳に使用すると思われていたようです。

 

店頭で弁別能(言葉のききとり能力)を測定すると

最高弁別能が

左右とも50%(90dB入力時)でした。

弁別能があまり良いスコアではないため

補聴器屋さんとしても

先生の指示通り

少しでも補聴効果を高めるには

純音聴力で良い方の左側に決定しました。

 

試聴貸出中、この患者さんは

周囲の方々に補聴器を試していることを伝え

それを聞いた方は

「なんで、悪い方にしなかったの?」と

一様に疑問をぶつけたそうです。

 

貸出開始時に

弁別能のスコアのことや

補聴効果のことを説明していたのですが

「補聴器は聞こえが悪い方にするものだ。」

という先入観が強くあり

説明を十分に理解されていなかったようです。

 

加えて周囲からも

間違った貸出試聴ではないかと言われ

さらに不安が増したのでしょう。

 

1週間後再来店、

再度、装用耳決定の理由を説明しました。

今回は説明を十分聞いて理解されましたが、

貸出中、

ご主人が運転する車に乗車して(助手席側)、

運転席から発せられるご主人の言葉が

ききとれず苦労したそうです。

 

ご夫婦で車の外出が多いようなので

使用状況を鑑み

装用耳を左から右に変更しました。

 

装用耳を決定するのは

非常に難しい問題ですが

補聴器屋さんは常に

補聴器をして最大の補聴効果が得られるよう考えて

使用する側を提案します。

 

聴力や弁別能の結果を基本に

・利き腕

・電話の使用

・職場や家庭の状況

・車の運転

様々なききとり環境を踏まえ熟考します。

 

少しでも疑問がある時は

「なぜ、右(または左)に補聴器を装用するのか?」

理由を納得するまで尋ねましょう。


クロス補聴器の弱点

2017-07-27 09:00:00 | 補聴器
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昨日から今日にかけて

「クロス補聴器デー」となっています。

 

昨日、立て続けに2件の

クロス補聴器貸出を行いましたが

 

本日は、以前から貸出ししていたお客様の

クロス補聴器ご購入と

すでに使用されているお客様が

修理だしとなりました。

 

当店では4セットの

クロス補聴器のデモ機を用意していますが

現在、すべて出払ってしまいました。(汗)

 

このようなことはオープン以来

初めてのことです。

 

スマホの普及で

インターネットによる検索が容易になったことと

補聴器をはじめとする

「クロス補聴器」や「一側性難聴(片耳難聴)」の情報が

入手しやすくなったことが原因かもしれません。

 

 

 

一側性難聴の方にとって

「クロス補聴器」は、

「希望の補聴器」とも言えますが、

すべての悩みを解消できるものではないことを

お伝えしたいと思います。

 

クロス補聴器の弱点は2つ。

①方向感はわからない(わかりにくい)

 

昨日、貸出しした10代の女の子に店頭で次のようなテストを行いました。

 

クロス補聴器を装着して目を閉じてもらい、

後方から声をかけ続け、

左後方から右後方へ移動しました。

 

声をかけられる方向と移動したことが

判別できるかお尋ねしたところ

まったくわからないとのことでした。

 

左耳が失聴の私が車の中でクロス補聴器を使用した際、

助手席に座った嫁の声はききとれるのですが

救急車が近づいてきたとき、

前から来ているのか、後ろから来ているのか?

右から来ているのか、左から来ているのか?

まったくわかりません。

 

音の死角はなくなっても、

聞こえているのは片耳だけなので

立体的な音のとらえ方は不可能です。

 

 

 

②選択聴取(聞き分け)ができない

 

周囲に環境音があったり

大人数の会話音声がある場所であったりすると

環境音や複数の会話音声が同時に

きこえる一方の耳に入ってくるため

聴きたい音声に集中する「選択聴取」が難しくなります。

 

これも昔、実験を行ったのですが

周囲にノイズを付加した状態で

正面から5つほど簡単な質問を被験者に行いました。

 

両耳聞こえる状態では

多少聞きづらい状況でも被験者は

5つの質問に正解することができましたが

片方に印象剤を注入して片耳聴の状態にしたところ

同じ状況下では

被験者はまったく質問に答えることができませんでした。

 

複数の音声が混ざり合って

一方の耳に入ってくると聞き分けがかなり困難になります。

 

私も居酒屋のような騒がしい場所で

クロス補聴器を使用しても

聞き分けすることはとても難しく

神経を使いすぎて非常に疲れます。

 

方向感や選択聴取というのは

両耳聴があってこそ可能になる能力と言えます。

 

 

 

これらのことを踏まえると

「クロス補聴器」の魅力が

半減してしまうかもしれませんが

きこえない範囲の音声がキャッチできるという点では

かなりの効果が期待できます。

 

 

是非、補聴器屋さんで

クロス補聴器の長所と弱点を体験し、

納得した上で

購入を検討してください。


クロス補聴器の貸出・試聴

2017-07-26 09:00:00 | 補聴器
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難聴にはいろいろありますが

中には、補聴器で効果が得られないものもあります。

 

「一側性(片耳難聴)」といわれる難聴は、

片方が難聴で

補聴器でも効果が得られないものです。

 

こうした難聴の場合、

「クロス補聴器」が有効となります。

この補聴器は

きこえない方の耳に「クロス送信機」を装着し、

きこえる方の耳には「補聴器」を装着します。

 

「きこえている方にも補聴器をするんですか?」

と疑問が生じると思います。

 

仕組みは、

クロス送信機でキャッチした

きこえない側の音声を

電波できこえる側の補聴器に飛ばします。

 

クロス

方向感まではとらえにくいですが

きこえの死角となっている

きこえない側の音声がキャッチできるのは

画期的です。

 

 

今日はなんと2件ものお客様が

クロス補聴器の問合せをしてこられました。

 

1件目は、30代の男性(左耳がきこえない)

この方は、

「クロス補聴器」をご存じありませんでしたが

仕事(美容師さん)上、

お客様と施術中の会話で苦労されているとのことでした。

 

 

 

2件目は、10代の女の子(右耳がきこえない)

ご家族の方がいろいろ調べて

「クロス補聴器」を知り、体験したいとご来店されました。

内装のお仕事をされており、

やはり仕事場の環境で聞き取りにくいそうです。

 

 

お二人とも

「クロス補聴器」を体験され

きこえない側からの音や会話がききとれることに

とてもびっくりされていました。

是非、仕事環境で試してみたいとのことで

1週間程度貸出しを行いました。

 

このブログで何度かお伝えしていますが

私自身、一側性難聴ですので

お二人のご苦労は他人ごとではありません。

私が今まで苦労してきた体験談をお話しすると

「そうそう!」と共感していただきました。

 

「クロス補聴器」が

すべてを解決してくれるわけではありませんが

今までの苦労や痛みを

少しでも和らげてくれることを

期待したいと思います。

試聴期間が有意義になればいいですね。